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三角形の重心とは?座標の求め方と中線が2対1になる理由をやさしく解説

公開日

2025年2月11日

更新日

2026年7月26日

三角形の重心は、中学・高校の図形分野で必ず登場する基本的な概念です。「3本の中線の交点」「頂点の座標を足して3で割る」と覚えている方も多いでしょう。しかし「なぜその点が重心になるのか」を説明できる方は、意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、三角形の重心について、定義・座標の求め方・中線が2対1に分かれる理由・物理的な意味までを順にたどります。あわせて、外心や内心との違い、そして「四角形の重心も同じように頂点を平均すれば求まるのか?」という誤解しやすいポイントも整理します。

この記事のポイント

重心とは3本の中線が交わる1点で、その点で支えると三角形が釣り合う
座標は「3つの頂点の座標をそれぞれ足して3で割る」だけで求まる
重心は中線を頂点側から2対1の比に内分する
頂点の平均が重心になるのは三角形だけ。一般の四角形では成り立たない

結論|重心は「3頂点の平均」であり「支えると釣り合う点」

三角形の重心(英語では centroid)の定義と公式を先にまとめます。3つの頂点を A(x1, y1)、B(x2, y2)、C(x3, y3) とすると、重心 G の座標は次のとおりです。

G ( (x1+x2+x3) ÷ 3 ,  (y1+y2+y3) ÷ 3 )

そしてこの点には、次の3つの顔があります。①3本の中線の交点②中線を頂点側から2対1に内分する点③一様な厚さの三角形の板を1点で支えたときに釣り合う点。この3つがすべて同じ点になる、というのが「三角形の重心」という話の核心です。

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重心とは何か|中線の交点という定義

まず用語を確認します。中線とは、三角形の1つの頂点と、その対辺(向かい合う辺)の中点を結んだ線分のことです。頂点は3つあるので、中線も3本引けます。

この3本の中線は、必ず1点で交わります。これは「たまたま」ではなく、どんな三角形でも成り立つ定理です。そしてこの交点を重心と呼びます

重心はどんな三角形でも必ず内部にあります。鈍角三角形でも、極端に平たい三角形でも例外はありません。これは後で触れる外心や垂心との大きな違いです。

もう一つの捉え方が物理的な定義です。厚さが均一な板で三角形を作り、その板を鉛筆の先など1点で支えたとき、ちょうど釣り合って傾かない点——それが重心です。数学的な「中線の交点」と、物理的な「釣り合う点」が完全に一致する。ここが面白いところです。

三角形の重心を座標で求める

公式を実際に使ってみる

まずはシンプルな例から。頂点を A(0, 0)、B(a, 0)、C(0, b) とした直角三角形を考えます。公式に当てはめると、重心の座標は次のようになります。

XG = (0 + a + 0) ÷ 3 = a/3  YG = (0 + 0 + b) ÷ 3 = b/3

つまり重心は (a/3, b/3) です。x座標もy座標も、それぞれ独立に平均を取るだけで求まります。

数字を入れた例

A(1, 2)、B(7, 4)、C(4, 9) という三角形で計算してみましょう。

XG = (1 + 7 + 4) ÷ 3 = 12 ÷ 3 = 4  YG = (2 + 4 + 9) ÷ 3 = 15 ÷ 3 = 5

重心は (4, 5) です。三角形がどんな形であっても、この計算だけで済みます。回転していても、傾いていても、公式は変わりません。

なぜ中線は2対1に分かれるのか

重心のもう一つの重要な性質が、中線を頂点側から2対1の比に内分するというものです。つまり「頂点から重心まで」の長さは、「重心から対辺の中点まで」の長さの2倍になります。

これは座標の公式から確かめられます。辺BCの中点をMとすると、Mの座標は次のとおりです。

M ( (x2+x3) ÷ 2 ,  (y2+y3) ÷ 2 )

ここで、線分AMを頂点A側から2対1に内分する点の座標を計算してみます。内分点の公式より、x座標は次のようになります。

(1×x1 + 2×Mx) ÷ 3 = (x1 + (x2+x3)) ÷ 3

これはまさに重心のx座標そのものです。y座標も同じ計算になります。つまり「3頂点の平均」=「中線を2対1に内分する点」であることが、計算で確認できました。

この2対1という比のおかげで、重心から各辺までの距離は、その辺に対応する高さのちょうど3分の1になります。正三角形の重心が「高さの3分の1の位置」にあると言われるのは、この性質によるものです。

物理から見た重心|モーメントのつり合い

物体が回転せずに釣り合うためには、モーメント(力の大きさ × 支点からの距離)のつり合いが成り立つ必要があります。シーソーで、体重の重い人が支点に近づくと釣り合うのと同じ理屈です。

三角形の3つの頂点に、それぞれ同じ質量 m のおもりを置いた質点系を考えてみましょう。この系の重心は、モーメントのつり合いから3点の位置を平均した点になります。座標の公式とぴたりと一致します。

ここで注意したいのが、「3頂点におもりを置いた場合」と「三角形の板そのもの」は、本来まったく別の物体だという点です。それでも三角形の場合に限っては、両者の重心が一致します。これは三角形が持つ特別な性質で、当たり前のことではありません。

重心・外心・内心・垂心の違い

三角形には重心のほかにもいくつか特別な点があり、まとめて「三角形の五心」と呼ばれます。混同しやすいので整理しておきましょう。

名称 何の交点か 特徴
重心(G) 3本の中線 中線を頂点側から2対1に内分。3頂点の座標の平均。必ず内部にある
外心(O) 3辺の垂直二等分線 外接円の中心。3頂点から等距離。鈍角三角形では外部に出る
内心(I) 3つの内角の二等分線 内接円の中心。3辺から等距離。必ず内部にある
垂心(H) 各頂点から対辺への垂線 鋭角三角形なら内部、直角三角形なら直角の頂点、鈍角三角形では外部
傍心 1つの内角と2つの外角の二等分線 傍接円の中心。三角形1つにつき3つ存在する

さらに面白いのは、外心O・重心G・垂心Hの3点は必ず一直線上に並ぶという事実です。この直線はオイラー線と呼ばれ、しかも重心Gはこの線分を OG : GH = 1 : 2 に分けます。ここでも「2対1」が顔を出すのは、偶然ではありません。(正三角形の場合は五心がすべて1点に重なるため、直線にはなりません。)

四角形や円の重心はどう求めるのか

「三角形が頂点の平均で求まるなら、四角形も4つの頂点を平均すればよいのでは?」——ここが最もつまずきやすいポイントです。結論から言うと、一般の四角形ではそれは成り立ちません

頂点だけを平均した点(頂点重心)と、板としての釣り合いの点(面積重心)が一致するのは、三角形という特別な図形だけです。四角形では、面積の偏りが効いてくるため両者はずれます。

では一般の四角形はどうするか。対角線で2つの三角形に分割し、それぞれの重心を求めたうえで、面積の比で加重平均するのが正しい手順です。面積の大きい側に重心が引き寄せられる、と考えると直感的です。

図形 重心(面積の重心)の位置 頂点の平均で求まるか
三角形 3頂点の座標の平均
長方形・平行四辺形 2本の対角線の交点
一般の四角形 2つの三角形に分け、面積比で加重平均する ×
台形 上底 b・下底 a・高さ h のとき、下底から h(2b+a)÷{3(a+b)} の高さ ×
円・正多角形 中心

台形の式は、a = b(つまり長方形)を入れると h÷2 になり、b = 0(つまり三角形)を入れると h÷3 になります。すでに知っている結果とちゃんとつながっているか確認する。この癖をつけておくと、公式を丸暗記せずに済みます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 三角形の重心の座標を求める公式を教えてください。

3つの頂点の座標を A(x₁, y₁)、B(x₂, y₂)、C(x₃, y₃) とすると、重心 G の座標は「(x₁+x₂+x₃)÷3、(y₁+y₂+y₃)÷3」です。x座標どうし、y座標どうしをそれぞれ足して3で割るだけで求まります。三角形の形や向きに関係なく、どんな三角形でもこの公式が使えます。

Q2. 重心が中線を2対1に分けるのはなぜですか?

座標の公式から確認できます。辺BCの中点Mの座標は「(x₂+x₃)÷2、(y₂+y₃)÷2」です。線分AMを頂点A側から2対1に内分する点を内分点の公式で計算すると、x座標は「(x₁+x₂+x₃)÷3」となり、重心の座標と完全に一致します。したがって重心は中線を頂点側から2対1に内分する点だといえます。

Q3. 四角形の重心も、頂点の座標を平均すれば求まりますか?

一般の四角形では求まりません。頂点だけを平均した点と、板として釣り合う点(面積の重心)が一致するのは三角形の特別な性質です。長方形や平行四辺形のように対称性がある場合は一致しますが、いびつな四角形では両者がずれます。正しくは、対角線で2つの三角形に分け、それぞれの重心を面積の比で加重平均します。

Q4. 重心は必ず三角形の内部にありますか?

はい、どんな三角形でも重心は必ず内部にあります。これは中線が必ず三角形の内側を通ることから分かります。一方で、外心は鈍角三角形のとき外部に出ますし、垂心も鈍角三角形では外部に出ます。「必ず内部にある」という点は、内心と重心に共通する性質です。

まとめ|公式の裏側を見ると図形が面白くなる

三角形の重心について、要点を整理します。数学的には「3つの頂点の座標を足して3で割る」というシンプルな計算で求まり、幾何学的には「3本の中線の交点」であり「中線を2対1に内分する点」、そして物理的には「モーメントが釣り合う点」です。この3つがすべて同じ点を指しているというのが、重心という概念の面白さです。

さらに、頂点の平均で重心が求まるのは三角形だけという事実や、外心・重心・垂心が一直線(オイラー線)に並び、そこでも2対1の比が現れるという事実まで踏み込むと、公式の丸暗記では見えなかった世界が広がります。

普段何気なく使っている公式も、違う視点から見てみると新しい発見があるものです。図形の分野は、こうした「つながり」がとくに豊かな領域といえます。

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