z得点(標準化)とは|単位の違うデータを比べる方法をやさしく
公開日
2026年8月21日
更新日
2026年8月16日
この記事の主な内容
この記事のポイント
・z得点(標準化)とは「平均から、標準偏差いくつ分 離れているか」を表す数字
・計算は「(値 − 平均)÷ 標準偏差」だけ
・標準化で単位を消して相対的位置を比べられる。ただし比較集団と標準偏差の定義をそろえる必要がある
・おなじみの偏差値も、実はz得点から作られている
「数学80点と英語80点、どちらが平均から離れている?」——同じ点数でも、平均やばらつきが違えば集団内での位置は変わります。その相対的位置を比べる道具がz得点です。統計やデータ分析で使われ、偏差値もz得点を変換したものです。
この記事では、z得点(標準化)とは何かを、計算方法や偏差値との関係を交えてやさしく解説します。なぜ標準化するのか、実務でどう使うのかまで、累計3万人以上を指導してきた和からの視点でお伝えします。
z得点(標準化)とは|「平均から標準偏差いくつ分か」
z得点は、ある値が平均から標準偏差の何個分離れているかを表す標準化得点です。「標準化」は元の値を共通の尺度へ変換する操作で、その結果の一つがz得点です。
平均と同じ値はz=0、平均より上ならプラス、下ならマイナスです。ただし、どの集団・期間から平均と標準偏差を計算したかで値は変わります。z得点だけでなく、基準集団も一緒に記録します。
計算方法|「(値 − 平均)÷ 標準偏差」
z得点 = (値 − 平均) ÷ 標準偏差
平均60点・標準偏差10点のテストで80点なら、z=(80−60)÷10=+2です。これは「平均より標準偏差2個分上」を意味します。平均70点・標準偏差20点の別テストで80点ならz=+0.5です。
z=2だから上位何%とまでは、分布の形を仮定しないと決まりません。また標準偏差が0、つまり全員が同じ値なら割り算ができず、z得点は定義できません。
なぜ標準化するのか|単位の違うデータを比べる

図:標準化で同じものさしにそろえる
標準化すると単位が消え、平均からの相対的位置を共通の尺度で表せます。平均やばらつきが違うテストの点数も、「その集団内で平均からどれだけ離れたか」という観点で比較できます。ただし科目の意味や難易度そのものが同じになるわけではありません。
身長(cm)や体重(kg)、売上(万円)や件数も、それぞれを同じ平均・標準偏差の定義で標準化すれば、元の単位ではなく相対的位置を並べられます。標準化したデータは、計算に用いた定義に対応して平均0・標準偏差1になります。標本か母集団か、欠損値をどう扱うかを混ぜないことが重要です。
偏差値との関係|身近なz得点の応用
実は、受験でおなじみの偏差値も、z得点から作られています。関係は次のとおりです。
偏差値 = z得点 × 10 + 50
平均ちょうど(z=0)なら偏差値50、z=+2なら偏差値70、z=−1なら偏差値40。z得点をそのまま使うと小数やマイナスで分かりにくいので、平均50・標準偏差10になるように変換したのが偏差値です。「偏差値はz得点の“見やすい版”」と捉えると、すっきり理解できます。
実務での使いどころ
z得点は、店舗や期間ごとの指標を「各基準集団の平均からどれだけ離れたか」で並べるときに使えます。ただし売上と不良率のように、望ましい向きが違う指標は符号をそのまま合算せず、意味をそろえてから読みます。
外れ値の候補を探す用途にも使えますが、単純に「|z|が2や3を超えたら異常」と確定はできません。小標本、歪んだ分布、複数の外れ値がある場合はz得点が誤解を招くことがあります。NISTも、外れ値は候補として調査し、分布やデータ生成過程を確認するよう示しています。
参考:NIST「Detection of Outliers」
和から式|z得点を読む前の5点チェック
| 確認項目 | 問い |
|---|---|
| 基準集団 | 誰・どの期間の平均と標準偏差か |
| 向き | 大きいほど良い指標か、悪い指標か |
| 分布 | 強い歪み、裾の重さ、外れ値はないか |
| 標準偏差 | 標本ならSTDEV.S、母集団全体ならSTDEV.Pか |
| 判断 | zだけで確定せず、元データと業務理由を確認したか |
たとえば店舗売上のzが+2でも、「好調」と即断せず、キャンペーン・休業・店舗規模・入力ミスを確認します。z得点は結論ではなく、追加確認する場所を見つける道具です。
向きの違う指標は、そのまま足さない
ある店舗の売上がz=+1.2、苦情率がz=+1.0だったとします。どちらも平均より高いのですが、売上は大きいほうが望ましく、苦情率は小さいほうが望ましい指標です。生のz得点を足すと2.2になり「総合的に高い」と見えますが、意味はそろっていません。
和から式では、総合評価へ進む前に「大きいほど望ましい向き」へ統一します。苦情率の符号を反転して−1.0とすれば、単純平均は(1.2−1.0)÷2=0.1です。ただし、指標の重要度や集計期間が違えば単純平均が適切とは限りません。符号・重み・基準集団を決めた記録を残してから集約します。
よくある質問(FAQ)
Q1. z得点に単位はありますか?
ありません。「平均から標準偏差の何個分か」という比なので元の単位は消えます。ただし、比較する基準集団と期間は明記します。
Q2. Excelで標準化できますか?
=STANDARDIZE(値, 平均, 標準偏差)で計算できます。標準偏差は、標本ならSTDEV.S、母集団全体ならSTDEV.Pを使い分けます。旧STDEVは互換性のため残る関数です。
Q3. z得点が大きいほど「良い」のですか?
z得点は平均からの向きと距離であり、良し悪しではありません。売上ならプラスを好意的に読む場面がありますが、不良率ではマイナスのほうが望ましい場合があります。
Excel関数:Microsoft統計関数リファレンス
まとめ|相対的位置を比べ、結論は元データで確かめる
z得点は「(値−平均)÷標準偏差」で、基準集団の平均からの相対的位置を表します。単位を消して並べられますが、指標の意味まで同じにはなりません。基準集団・向き・分布・標準偏差の定義を確認し、外れ値の候補は元データと業務理由まで調べます。
1. z得点は平均からの距離を標準偏差単位で表す
2. 標準偏差0では計算できず、S/Pの定義もそろえる
3. |z|だけで異常確定せず、分布と元データを確認する
とはいえ、「標準偏差やz得点を、実務のデータ分析でつかえるようになりたい」という方も多いはずです。和からの統計・データ分析教室では、標準化のような基礎から実務の分析まで、一人ひとりの理解に合わせてマンツーマンでサポートしています。まずは無料カウンセリングで、つまずきを一緒に解きほぐしてみませんか。
統計検定の受験を考えている方は、統計検定対策(3級・2級)の個別指導もあわせてご覧ください。
関連記事
・信頼区間の意味|「95%」が示すものと示さないもの
・統計検定2級・準1級対策講座の選び方|独学/オンライン/マンツーマン徹底比較2026
・Excelピボットテーブルの極意|データ分析の85%はこれで足りる
<監修/和から株式会社 堀口智之>
新着記事
同じカテゴリーの新着記事
同じカテゴリーの人気記事
この記事に関連する教室: 数学教室 → 社会人の学び直し講座 →





