パスカルの三角形とは|組み合わせと確率の宝庫をやさしく解説
公開日
2026年8月23日
更新日
2026年8月16日
この記事の主な内容
この記事のポイント
・パスカルの三角形とは、「すぐ上の2つの数を足す」だけでできる、数のピラミッド
・並ぶ数の正体は組み合わせの数(nCr)。だから確率や場合の数と直結する
・二項展開(a+b)のn乗の係数がそのまま並んでいる
・各行の和は2のn乗、斜めに足すとフィボナッチ数列——隠れた模様が満載
数学の世界には、シンプルなのに驚くほど奥深いものがあります。その代表がパスカルの三角形。作り方は「上の2つを足すだけ」という、小学生でも分かるルールなのに、組み合わせ・確率・二項展開・フィボナッチ数列まで、さまざまな数学がここに姿を現します。
この記事では、パスカルの三角形とは何かを、その作り方から隠れたパターンまで、累計3万人以上を指導してきた和からの視点でやさしく解説します。数学の“つながり”の面白さを、肩の力を抜いて味わってみてください。
パスカルの三角形とは|「上の2つを足す」三角形

図:パスカルの三角形(上の2つを足す)
パスカルの三角形は、次のように作られる数の三角形です。一番上は「1」。各段の両端は「1」。そして、それ以外の数は、すぐ上にある2つの数を足したものになります。
1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
上から1段目、2段目と数えると、4段目は「1, 3, 3, 1」、5段目は「1, 4, 6, 4, 1」です。数式では一番上をn=0の行とするのが一般的なので、5段目はn=4の行です。名称は17世紀のブレーズ・パスカルに由来しますが、同じ三角形はそれ以前から中国・ペルシャ・インドなどで研究されていました。
並ぶ数の正体|組み合わせ(nCr)
この三角形に並ぶ数には、ちゃんとした“正体”があります。それは組み合わせの数(nCr)——「n個からr個を選ぶ方法は何通りか」を表す数です。
たとえば「4個から2個を選ぶ組み合わせ」は6通りで、n=4の行(上から数えて5段目)の中央「6」と一致します。n行目の左からr番目を0から数えると、その値は組み合わせ nCr です。行番号を0から数えると、二項展開や確率との対応がずれません。
二項展開の係数になっている
もう一つの顔が、二項展開の係数です。(a+b)を何乗かに展開したときの、各項の前につく数字が、パスカルの三角形にそのまま並びます。
たとえば(a+b)の2乗は a²+2ab+b² で、係数は「1, 2, 1」。これは三角形の3段目そのもの。(a+b)の3乗なら係数は「1, 3, 3, 1」で4段目。展開の面倒な係数を、足し算だけで求められる——これがパスカルの三角形の実用的な強みです。
隠れたパターン|数学がつながる瞬間
パスカルの三角形には、ほかにも美しいパターンが隠れています。
n=0から数えた行の和は2のn乗です。「1, 2, 1」はn=2なので和は4、「1, 3, 3, 1」はn=3なので和は8です。これは偶然ではありません。n行目が(a+b)のn乗の係数なので、a=1、b=1を代入すると、左辺は(1+1)のn乗=2のn乗、右辺はその行の数の合計になります。
斜めに数を足していくと、フィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8…)が現れます。さらに、奇数のマスだけ色を塗ると、フラクタル図形「シェルピンスキーの三角形」が浮かび上がります。たった一つの足し算ルールから、組み合わせ・式・確率・図形がつながって現れるところに、パスカルの三角形の面白さがあります。
確率とのつながり|コイン投げで考える
公平なコインをn回投げるとき、表がr回出る並び方はnCr通りです。そのため、n=4の行「1, 4, 6, 4, 1」は、4回投げて表が0〜4回出る場合の数に対応します。
全結果は2の4乗=16通りなので、確率は順に1/16、4/16、6/16、4/16、1/16です。「6」は確率そのものではなく場合の数で、確率にするには16で割ります。コインの表裏が同確率で独立という前提も忘れないようにします。
歴史と性質:Wolfram MathWorld「Pascal’s Triangle」。名称以前の中国・ペルシャ・インドでの研究についてはMacTutor History of Mathematicsも参照。
和から式|3分で確かめる4つの実験
| 実験 | 確認できること |
|---|---|
| n=0〜5の行を書く | 両端1、内側は上2つの和 |
| 各行を足す | 1, 2, 4, 8, 16, 32=2のn乗 |
| n=4の行を16で割る | 公平なコイン4回の確率 |
| 奇数だけ色を塗る | シェルピンスキー型の模様 |
「段目」と「n」を混ぜず、最初に一番上をn=0と書くのがコツです。数の並びを自分で作ると、組み合わせ・二項展開・確率が同じ行に対応していることを確認できます。
和からでは、模様を見つけたら「予想→別の行で確認→式で理由を説明」の順で楽しむことをおすすめしています。たとえば行の和を1、2、4、8と観察して2のn乗と予想し、次の行で確かめたあと、(1+1)のn乗で説明します。発見と証明を往復すると、暗記ではなく数学のつながりとして残ります。
よくある質問(FAQ)
Q1. パスカルの三角形は何の役に立つのですか?
組み合わせの数や二項展開の係数を、足し算だけで求められます。確率・場合の数の計算で実際に使えますし、何より「シンプルなルールから豊かなパターンが生まれる」数学の面白さを体感できる、格好の題材です。
Q2. 数学が苦手でも楽しめますか?
楽しめます。作り方は「上の2つを足す」だけです。一番上をn=0として数段書き、行の和が2のn乗になることや、公平なコイン投げの確率に対応することを確かめてみましょう。
Q3. nCr(組み合わせ)が分からなくても理解できますか?
はい。組み合わせの記号を知らなくても、「上の2つを足す」というルールと、できあがる数の並びを眺めるだけで十分楽しめます。興味がわいたら、そこから組み合わせや確率へ広げていくと、理解が深まります。
まとめ|n=0から数えると、組み合わせ・展開・確率がそろう
パスカルの三角形は、両端を1、内側を上2つの和として作ります。一番上をn=0とすると、n行目の数はnCr、行の和は2のn乗で、二項展開や公平なコイン投げの確率と対応します。名称はパスカルに由来しますが、同じ三角形はそれ以前の中国・ペルシャ・インドなどでも研究されていました。
1. 一番上をn=0として行番号をそろえる
2. n行目は組み合わせnCr、行の和は2のn乗
3. コインの確率は場合の数を2のn乗で割る
とはいえ、「こうした数学の面白さを、もう少し体系立てて学んでみたい」という方も多いはずです。和からの大人の数学教室では、教養としての数学から実務に効く数学まで、一人ひとりの興味に合わせてマンツーマンでサポートしています。まずは無料カウンセリングで、学びたいテーマを一緒に見つけてみませんか。
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<監修/和から株式会社 堀口智之>
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