歩留まり・不良率の計算|製造現場の数字の読み方をやさしく
公開日
2026年7月28日
更新日
2026年7月19日
この記事の主な内容
この記事のポイント
- 歩留まりとは、投入した材料や数量のうち良品として得られた割合のこと
- 歩留まり率・不良率の計算は、基本的に割り算で求められる
- 工程が複数あるときの全体歩留まりは、平均ではなく各工程のかけ算で考える
- 歩留まりを改善するには、工程別に数字を見て、改善すべきポイントを見つけることが大切
製造や品質管理の現場でよく使われる「歩留まり」。
「言葉としては聞いたことがあるけれど、いざ計算するとなると少し不安」という方も多いのではないでしょうか。
でも、安心してください。歩留まりの計算に必要なのは、難しい数学ではありません。基本は、割り算とかけ算という算数レベルの数字力です。
この記事では、歩留まり・不良率の計算方法から、複数工程があるときの全体歩留まりの考え方、さらに数字を改善につなげる見方までを、累計3万人以上の学びをサポートしてきた和からの視点でやさしく解説します。
和からならではの「現場で使える数字力」
和からでは、歩留まりの計算を「公式を覚えて終わり」にはしません。割合の考え方を、品質管理・工程改善・コスト判断など、実際の仕事で使える形まで落とし込むことを大切にしています。数トレ教室や統計・データ分析の法人研修、QC検定・品質管理の統計 個別指導では、一人ひとりの目的や現場の課題に合わせて、マンツーマンまたは法人向けにサポートしています。
歩留まりとは|「投入したうち、良品がどれだけ得られたか」
歩留まり(ぶどまり)とは、投入した材料や数量のうち、良品として得られた割合のことです。
たとえば、100個分の材料を投入して、良品が90個できたとします。この場合、歩留まりは90%です。つまり歩留まりは、「投入したものを、どれだけ無駄なく良品にできたか」を表す指標といえます。
歩留まりが高いほど、ロスが少なく効率的に生産できている状態です。一方、歩留まりが低い場合は、どこかの工程で不良やロスが発生している可能性があります。材料費や人件費、納期にも関わるため、製造現場や品質管理でとても重要な数字です。
歩留まり率・不良率の計算方法
歩留まり率と不良率の計算は、とてもシンプルです。
歩留まり率(%)= 良品数 ÷ 投入数 × 100
不良率(%) = 不良品数 ÷ 検査数 × 100
たとえば、1,000個を投入し、その1,000個を検査した結果、良品が920個、不良品が80個だった場合を考えてみましょう。
歩留まり率 = 920 ÷ 1,000 × 100 = 92%
不良率 = 80 ÷ 1,000 × 100 = 8%
この例では、ロスが不良品だけであれば、歩留まり率92%と不良率8%を足して100%になります。
ただし、実際の現場では、不良品以外にも、材料の目減り、端材、廃棄、再加工によるロスなどが発生することがあります。その場合、歩留まり率と不良率が単純に「100%の裏返し」にならないこともあります。
ここで大切なのは、「何を分母にするか」をはっきりさせることです。投入数をもとにするのか、検査数をもとにするのか、完成数をもとにするのかによって、計算結果の意味は変わります。
歩留まりや不良率を比較するときは、計算式や分母の定義をそろえるようにしましょう。
工程が複数あるときの全体歩留まり|平均ではなくかけ算で考える

図:工程を通るほど全体歩留まりは目減りする
歩留まりで少しつまずきやすいのが、工程が複数あるケースです。
加工、組立、検査のように複数の工程を順番に通る場合、全体の歩留まりは、各工程の歩留まりを平均して求めるのではありません。基本的には、各工程の歩留まりをかけ算して求めます。
たとえば、3つの工程があり、それぞれの歩留まりが95%だったとします。
0.95 × 0.95 × 0.95 = 約0.857(85.7%)
各工程だけを見ると95%なので高く感じますが、3工程を通すと全体歩留まりは約85.7%になります。工程が増えるほど、小さなロスが積み重なり、全体の歩留まりに大きく影響します。
| 各工程の歩留まり | 工程数 | 全体歩留まり |
|---|---|---|
| 95% | 3工程 | 約85.7% |
| 95% | 5工程 | 約77.4% |
| 99% | 5工程 | 約95.1% |
| 90% | 5工程 | 約59.0% |
この表から分かるのは、各工程のわずかな差が、全体では大きな差になるということです。
たとえば、1工程あたり95%と99%では、差は4ポイントに見えます。しかし、5工程を通すと、全体歩留まりは約77.4%と約95.1%になり、大きな差になります。
だからこそ、歩留まり改善では、全体の数字だけでなく、工程ごとの数字を丁寧に見ることが大切です。
歩留まりを改善するには|工程別に数字を見る
全体歩留まりがかけ算で決まるということは、1つの工程のロスが全体に影響するということです。
そのため、改善の第一歩は、工程ごとに歩留まりを分けて測ることです。全体の歩留まりだけを見ていても、どの工程でロスが出ているのかは分かりません。
たとえば、次のような工程があったとします。
| 工程 | 歩留まり | 見方 |
|---|---|---|
| 工程A | 98% | 比較的安定している |
| 工程B | 82% | ロスが大きく、優先的に確認したい |
| 工程C | 96% | 大きな問題は見えにくい |
この場合、まず注目したいのは工程Bです。工程Bの歩留まりを改善できれば、全体歩留まりへの効果が出やすくなります。
ただし、改善の優先順位は、歩留まりの低さだけで決まるわけではありません。改善にかかる費用、作業時間、安全性、品質への影響なども合わせて考える必要があります。
大切なのは、数字を見て「どこから確認すべきか」を考えることです。歩留まりは、現場改善の入口になる数字といえます。
よくある誤解と注意点
歩留まりについて、つまずきやすいポイントを整理しておきましょう。
誤解1:全体歩留まりは各工程の平均で求める
これはよくある誤解です。複数工程の全体歩留まりは、平均ではなく、基本的には各工程の歩留まりをかけ算して求めます。95%の工程が3つある場合、全体歩留まりは95%ではなく、約85.7%になります。
誤解2:歩留まりと直行率は同じ
歩留まりと直行率は似ていますが、意味が少し違います。
直行率は、手直しや再加工をせずに、一度で良品になった割合を表します。一方、歩留まりは、手直しして最終的に良品になったものを含める場合があります。そのため直行率と歩留まりの数字がずれることがあります。
誤解3:不良率が下がれば、必ず歩留まりが上がる
不良品だけがロスであれば、この考え方はおおむね正しいです。しかし、実際には不良品以外にも、材料の目減り、端材、廃棄、再加工によるロスなどが発生することがあります。
そのため、不良率と歩留まりを見るときは、何を不良とし、何をロスとして数えているのかを確認することが大切です。
歩留まりを現場改善に活かす3つのコツ
歩留まりは、計算して終わりではありません。現場改善につなげるには、次の3つを意識すると使いやすくなります。
1. 分母をそろえて比較する
歩留まりを比較するときは、投入数、検査数、完成数など、分母の定義をそろえましょう。分母が違う数字を比べると、正しく判断できないことがあります。
2. 全体だけでなく工程別に見る
全体歩留まりだけでは、どこでロスが起きているのかが分かりません。工程別に歩留まりを出すことで、改善すべきポイントが見えやすくなります。
3. 前月・前年・他ラインと比較する
歩留まりは、単独の数字だけでは良し悪しを判断しにくいことがあります。前月、前年、他ライン、類似製品と比べることで、変化や異常に気づきやすくなります。
この「割合で見る」「工程別に分ける」「比較する」という考え方は、品質管理だけでなく、売上分析、コスト管理、在庫管理などにも応用できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 歩留まりの計算に専門的な数学は必要ですか?
いいえ。歩留まりの計算に、専門的な数学は必要ありません。基本は、割合を求める割り算と、複数工程を考えるときのかけ算です。
むしろ大切なのは、「何を分母にするか」「どの工程でロスが出ているか」「前月や他ラインと比べてどうか」を考える視点です。
Q2. 全体歩留まりは、なぜ平均ではなくかけ算なのですか?
各工程を「通過する割合」として考えるためです。
たとえば、工程1を95%が通過し、そのうち95%が工程2を通過し、さらにそのうち95%が工程3を通過する場合、全体では0.95×0.95×0.95と考えます。
そのため、1つひとつの工程の歩留まりが高く見えても、工程数が増えると全体歩留まりは下がりやすくなります。
Q3. 歩留まりはどれくらいを目標にすべきですか?
歩留まりの目標値は、製品、材料、工程、業界によって大きく異なります。そのため、一律に「何%なら良い」とは言い切れません。
まずは、自社の過去データと比べて改善しているか、他ラインや類似製品と比べて差があるかを見ることが大切です。絶対値だけでなく、変化や比較に注目しましょう。
Q4. 歩留まりの改善には、統計や品質管理の知識も必要ですか?
最初は、割合とかけ算の考え方だけでも十分に始められます。ただし、原因分析やばらつきの把握、工程能力の確認、不良の傾向分析まで行う場合は、統計や品質管理の知識が役立ちます。
和からでは、割合の基礎から、品質管理で使う統計、QC検定対策、現場データの読み解き方まで、目的に合わせて学べるサポートを行っています。
まとめ|歩留まりは「割り算」と「かけ算」で読みやすくなる
歩留まりは、投入した数量のうち、良品として得られた割合を表す数字です。基本の計算は、良品数を投入数で割るだけなので、難しい数学は必要ありません。
一方で、工程が複数ある場合は注意が必要です。全体歩留まりは平均ではなく、各工程の歩留まりをかけ算して考えます。小さなロスでも、工程が増えるほど全体に大きく影響します。
今日のポイントをまとめます。
- 歩留まり率は、基本的に「良品数 ÷ 投入数 × 100」で求める
- 不良率や歩留まりを比較するときは、分母の定義をそろえる
- 複数工程の全体歩留まりは、平均ではなくかけ算で考える
- 改善するには、全体だけでなく工程別に数字を見る
- 歩留まりは、品質管理やコスト改善につながる大切な指標
とはいえ、「現場の数字を見ても、どこから改善すればよいか分からない」「歩留まりや不良率を、品質管理やコスト判断に活かせるようになりたい」という方も多いのではないでしょうか。
和からの数トレ教室では、割合や比較といった数字の基礎から、仕事で使う数字の読み方まで、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンでサポートしています。
また、製造現場や品質管理部門向けには、統計・データ分析の法人研修や、QC検定・品質管理の統計 個別指導もご用意しています。まずは無料カウンセリングで、お手元の数字をどのように活かせるか、一緒に考えてみませんか。
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監修:和から株式会社 堀口智之
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