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マスログ

2021/11/21

魅惑の比率「プラスチック比」をご存じですか?


こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回はあまり知られていない、「プラスチック比(または、プラスチック数)」といわれる比率についてお話していきます。数学的なデザインやアートの世界では「黄金比」や「白銀比」が有名ですが、プラスチック比とはどのような性質を持つのでしょうか?なお、黄金比や白銀比に関する話題は以前マスログで書かせていただきましたので、興味のある方はご覧ください。

デザインとアートの不思議な比率~黄金比と白銀比~

もう一つの白銀比~黄金比の一般化~

1.プラスチック比とは

まずはプラスチック比について提示しておきます。黄金比は\(1:\frac{1+\sqrt{5}}{2}\)と書かれ、この無理数\(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\)のことを「黄金比」よ呼ぶことがあります。今回のプラスチック比も\(1:\rho\)という形で書かれ(\(\rho\)はギリシャ文字で「ロー」と読みます)、この\(\rho\)のことを「プラスチック比」または「プラスチック数」と呼びます。さて、この\(\rho\)の具体的な値ですが、以下のようになります。

\begin{align*}
\rho=1.324717957244746025960908854\ldots
\end{align*}

以降はこの数\(\rho\)について言及するため、「プラスチック数」と呼ぶことにします。

2.プラスチック数の語源

プラスチック数\(\rho\)は、オランダの建築家 Hans van der Laan(1904~1991)により発見され、実際の建築やデザインに応用されました。黄金比や白銀比のようなネーミングと異なり、「プラスチック」の元々の語源である「形成する、発達する」という意味を込め、「プラスチック数=形を与える比率」と名付けられたようです。

「聖ベネディクトスベルク修道院」
画像©JasonJohn Paul Haskins
https://www.flickr.com/photos/pallrokk/8192844564/in/photostream/

1967年、彼はこのプラスチック数を使って聖ベネディクトスベルク修道院を設計しています。

3.プラスチック数の性質

それではいよいよプラスチック数の性質について解説しましょう。いくつか性質が知られていますが、個人的に最も美しいと感じた性質をご紹介します。まず、正方形を3つの相似(あるいは合同)な長方形で分割することを考えます。最初に思い浮かぶのは以下のような単純な「3等分」でしょう。

この他にも、以下のような\(1:3/2\)の長方形で分割することもできます。

確かに相似な長方形のみで3分割できています。しかし、実はもう1通り3分割する方法があります!それが以下のようなタイプです。

!?って感じですよね!絶妙な3分割になっています。実はこの長方形を設計するのに「プラスチック数」が現れます。具体的には、以下の図における\(x/y=\rho=1.32471\ldots\)となるのです!!

4.さいごに

いかがでしたでしょうか?今回は正方形を3つの相似な長方形で分割するという、一見シンプルな問題に「プラスチック数」という、魅惑の数が潜むことを説明してきました。
次回はプラスチック数と方程式について踏み込んだ記事を書いてみようと思います。お楽しみに!

プラスチック数と3次方程式

↑つづきはこちら!

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<文/岡本健太郎>