クラスに同じ誕生日の組がいる確率はどれくらい?
公開日
2022年7月20日
更新日
2022年7月20日
↓↓↓動画で見たい方はこちら↓↓↓
みなさんこんにちは。和からの数学講師の伊藤です。突然ですが、これまでに自分と同じ誕生日の方に出会ったことはありますか?私が初めて出会った同じ誕生日の人は、中学時代の友人でした。それから、人気アイドルグループ日向坂46の齋藤京子さんも同じ誕生日だそうです(ちなみにこの方は生まれ年も同じです)。と、それは置いておいて、何人かは知ってはいますが…自分と同じ誕生日の人って、意外と出会えないものです。それもそのはず、目の前にいる人が同じ誕生日である確率は、だいたい1/365です。
では、もう一つ質問させてください。同じクラスに、同じ誕生日の組が一つでもありましたか?
そもそもクラス全員の誕生日なんて知らないかもしれませんが、数学的に考えると、おそらく多くの方は、そういった組み合わせに出会っていると思われるのです。今回はちょっと不思議なこの現象をお話しようと思います。
この記事の主な内容
1.今回使う確率の考え方
今回は一年を365日として、一年のうちのどの日に生まれることも同様に確からしいとします。つまり、誕生日が均等に分布していて、どの日に生まれる確率も1/365ということにしておきます。
さて、「少なくとも1組同じ誕生日がいる確率」を求めたいのですが、これを直接求めるのはなかなか難しいものです。というのも、少なくとも1組というのは、別に2組いても問題ありませんし、3人が同じ誕生日だったりしても良いわけです。こうなると、同じ誕生日の組が2組いる場合と3組いる場合と…それから3人同じ誕生日になる場合と…というように、それぞれの場合に分けて考えなくてはならず、非常に大変です。
そこで、こういった場面で役に立つ余事象という考え方を使っていきます。これは「少なくとも1組同じ誕生日の組がいる」という現象の真逆にあたる「同じ誕生日の組が1つもない」確率から考えてみようというものです。
これを使えば、例えば「同じ誕生日の組が1つもない」確率が1/10だとしたら、1からこの確率を引いた9/10というのが、「少なくとも1組同じ誕生日の組がいる」確率だということが分かるのです。これを使って、実際に確率を求めてみましょう。
2.40人のクラスに同じ誕生日の組がいる確率
さて、実際に40人のクラスに同じ誕生日の組がいる確率を求めてみます。余事象の考え方を使いたいので、最初に同じ誕生日の組が1つもない確率を考えてみます。
まず、このクラスのAさんとBさんの誕生日が異なる確率を考えてみると、BさんがAさんの誕生日以外の364日のうちどこかが誕生日である確率なので、364/365です。99.7%ぐらいなので、まず同じ誕生日にはなりませんよね。
では、もう一人のCさんの誕生日がAさんともBさんとも異なる確率はいくつになるでしょうか。これは、また残った363日のうちのどこかが誕生日になる確率なので、363/365です。ということは、Aさん、Bさん、Cさんの3人が異なる誕生日である確率は、\(364/365 \times 363/365\)で求めることができて、だいたい99.1%となります。
このように考えていくと、クラスの40人全員が違う誕生日になる確率は、次のように表すことができます。
\begin{align*}
\frac{364}{365} \times \frac{363}{365} \times \frac{362}{365} \times \cdots \times \frac{326}{365}
\end{align*}
これを実際に計算してみると、およそ11%という結果になるのです。つまり、40人のクラスで少なくとも1つ同じ誕生日の組がいる確率は、100%から11%を引いた89%ということになります。これが、今回求めたかった確率ですね。信じられないかもしれないのでもう一度言うと、40人のクラスに同じ誕生日の組がいる確率は、だいたい89%ぐらいということになるのです。
3.和からのセミナーで同じ都道府県の人がいる確率
それでは最後に、この考え方を応用して、和からのセミナーに10人の方が参加されたとして、そのなかに同じ都道府県の方がいる確率を考えてみましょう。とはいっても、都道府県ごとに人口が違うので、先ほど考えていたような「どの都道府県に住んでいるかは同様に確からしい」という仮定はあまりに現実的ではありません。なので、今回はあくまで参考程度と捉えていただければと思います。
さて、お客様がどの都道府県から参加される確率も1/47であったとすると、実際の計算は先ほどの通りです。まずは同じ都道府県から参加されている方が一人もいない確率を計算してみましょう。
\begin{align*}
\frac{46}{47} \times \frac{45}{47} \times \frac{44}{47} \times \cdots \times \frac{38}{47}
\end{align*}
これは実際に計算してみると、およそ28%となります。つまり厳密な値ではありませんが、100%から28%を引いた72%というのが、今回求めたかった確率です。こちらも意外と高い確率なのではないでしょうか?実際のセミナーでは、どれくらいの確率で同じ都道府県の方がいるのかとても気になりますね。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は直観に反する確率ということで、誕生日に関する話題を取り上げてみました。実際に計算をして、誕生日や都道府県が同じ人がいる確率というのを求めてきたのですが、思ったよりも高い確率だと思われたのではないでしょうか。次のマスログでは、こういった直観に反する確率の話題をもう少し掘り下げて考えてみようと思います。それでは、また次回のマスログでお会いしましょう!
●和からのセミナー一覧はこちら
●お問い合わせフォームはこちら
<文/伊藤智也>