「同じ誕生日の組がいる確率」を違う視点で見てみる
公開日
2022年7月23日
更新日
2022年7月23日
↓↓↓動画で見たい方はこちら↓↓↓
みなさんこんにちは。和からの数学講師の伊藤です。前回、40人のクラスに同じ誕生日の組が少なくとも一組いる確率を計算しました。すると、およそ89%の確率で同じ誕生日の組がいるという、なかなか信じがたい結果が出てきました。今回はこの結果をもう少し考察して、確率をイメージでとらえていこうと思います。
この記事の主な内容
1.〇〇人いれば、50%の確率で同じ誕生日の組がいる?
まず、計算方法は同じですが、前回とは違った見方で「40人のクラスに同じ誕生日の組がいる確率」という問題を考えてみましょう。この場合、まずは40人のクラスに同じ誕生日の組が1組も存在しない確率を考えればよかったのですが、その確率というのは、数式で次のように表現できました。
\begin{align*}
\frac{364}{365} \times \frac{363}{365} \times \frac{362}{365} \times \cdots \times \frac{326}{365}
\end{align*}
この式を、こんな風に書き換えてみようと思います。
\begin{align*}
\frac{364}{365} \times \frac{363}{365} \times \frac{362}{365} \times \cdots \times \frac{365-(n-1)}{365}
\end{align*}
ここで、\(n\)というのは、クラスの人数です(前回は\(n=40\)でした)。さて、この式が0.5を超えないようなギリギリの\(n\)の値を見つけることで、「同じ誕生日の組が1つもない確率を50%にするには、クラスに何人の生徒がいればいいか」が分かるのです。
ということで、\(n\)に1から順番に数字を代入していって、確率が50%を下回る瞬間を探してみました。結果、\(n\)に22という数字を代入してみると、初めてこの値が0.5を下回りました。ということは確率的に考えると、20人前後の人がいれば、1組同じ誕生日の人たちがいてもまったくおかしな話ではないということになるのです。
こういった確率の問題を、もう少し直観的に理解してみたいと思うのですが、その前に、ちょっと話題はそれますがこんなことを考えてみます。
2.ガチャを何回引けば当たる?
最近のSNS上のゲーム(いわゆるソシャゲ)を見てみると、多くにはガチャという機能が実装されています。ガチャであたりを引くと、ゲームを有利に進められるキャラクターや武器が手に入るため、プレイヤーはみんなこのガチャを引きます。が、あたりが出る確率はかなり低く、1%や2%という世界です。そうすると、一度はこんなことを考えてしまうものです。
確率1%だから、100回ぐらい引けば当たるよね!
パッと見たところ、それらしいことを言っていますよね。当たる確率は1/100なのだから、100回この試行を行ったら、当たる確率は1、つまり100%だと考えたくもなります。ただ、ご経験もあるかと思いますが、こういったガチャを100回引いても当たるとは限りません。なぜなら、あたりを引く確率が1%のガチャを100回引いても当たらない確率というのが、先ほどと同じように計算できるからです。それが以下のような計算になります。
\begin{align*}
\left( 1-\frac{1}{100} \right)^{100}
\end{align*}
誕生日の問題で364/365や363/365とされていた部分が、すべて共通の(1-1/100)に置き換わったようなイメージで、これが100回かけ算されているということです。この値を計算してみると、大体0.34ぐらいになります。つまり少なくとも1回あたりを引く確率は、100%から34%を引いた66%程度しかないということになるのです。
今回お話したいのがこの部分で、確率1%の試行を何回行えばあたりを引けるか…という問題に答えていきたいと思います。もう少し具体的に、何回ガチャを引けば、90%の確率であたりが引けるかを考えます。これは、先ほどの数式の試行回数に当たる部分を変えてみれば良さそうです。つまり、
\begin{align*}
\left( 1-\frac{1}{100} \right)^{n}
\end{align*}
この式の\(n\)の部分が試行回数になるので、\(n\)を大きな値にしていって、一回も当たらない確率が10%を切る、といった数字を探してみると良さそうです。これも計算機で計算してみると、ちょうど230回になるようです。発生する確率が低い事象の場合、だいたい直観の2倍ぐらいの回数をこなせば、9割近くの確率であたるという結果になりました。
3.誕生日が被る確率を別の視点で見てみる
さて、ここでまた誕生日のお話に戻ってみようと思います。まず考えておきたいのは、クラスに40人の生徒がいるとき、2人を指名するとしたら、何通りの指名の仕方が考えられるかということです。これは確率の考え方から、780通りあるというように計算ができます。
この780という数字が何を意味しているかというと、「クラスの中から2人選んで誕生日が一緒かどうかを調べる」という試行を、780回繰り返せるということです。すると、365通りある誕生日の比較という試行を、その倍以上の780回繰り返せるということです。
ということは、先ほどのガチャの確率と同じような考え方をすると、365通りある試行を、その数の倍以上の780回行えるということなのです。これが、クラスに同じ誕生日の組が存在する確率が90%近くになっていた理由だったのです。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。クラスに同じ誕生日の組がいる確率というのを、イメージでとらえてみました。弊社では、こういった確率的な考え方からデータ分析を行う、推測統計学のセミナーというのもご用意しております。ぜひ推測統計学を学んで、データ分析のスキルを高めていってください!
●和からのセミナー一覧はこちら
●お問い合わせフォームはこちら
<文/伊藤智也>