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筆算とは【算数からやさしく解説】

公開日

2022年3月9日

更新日

2026年7月26日

この記事のポイント

筆算とは、数を位ごとにたてにそろえて紙に書き、位ごとに計算していく方法です
くり上がり・くり下がりは「あふれた分を上の位へ送る/上の位から1つ借りる」しくみです
・筆算の本当の価値は答えの速さではなく、計算のプロセスが目に見えることにあります
・電卓やExcelがある大人にとっては、暗算力と数の感覚を育てる練習として意味があります

結論|筆算は「位ごとに分けて計算する」しくみ

筆算(ひっさん)とは、数を一の位・十の位・百の位…とたてにそろえて紙に書き、位ごとに計算していく方法です。暗算のように頭の中だけで処理するのではなく、途中の手順を紙の上に残しながら進めます。

筆算の考え方を一言でいえば、「大きな計算を、位ごとの小さな計算に分ける」ということ。そして各位の答えが10以上になったら、あふれた10のかたまりを1つ上の位へ送る——これがくり上がりです。この2点さえ押さえれば、たし算・ひき算・かけ算・わり算のどの筆算も同じ理屈で理解できます。

168+57=225 のたし算の筆算を、百の位・十の位・一の位に分けて示し、くり上がりの1を矢印で表した図
筆算は「位ごとに分けて計算し、あふれた分を上の位へ送る」しくみ

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筆算とは?|紙に書いて位をそろえる計算方法

筆算とは、その名のとおり「筆(ペン)で書きながら行う計算」のことです。小学校で最初に習う計算手法のひとつで、たし算・ひき算・かけ算・わり算のすべてに筆算の形があります。

筆算でいちばん大切なルールは、位をたてにそろえて書くことです。一の位は一の位どうし、十の位は十の位どうしが同じ列に並ぶように書く。この「そろえる」という作業だけで、あとは各列を独立に計算していけばよくなります。逆にいえば、筆算のミスの多くは位がずれることから起きます。

たし算の筆算|くり上がりの正体

たとえば 35+29 を筆算で計算してみましょう。

まず一の位を計算します。5+9=14。ここで14を「10が1つと4」に分け、4を一の位に書き、10のかたまり1つを十の位へ送ります。これがくり上がりです。次に十の位。3+2=5に、送られてきた1を足して6。答えは64になります。

この手順を式の形で書き直すと、次のようになります。

35+29=(30+20)+(5+9)=50+14=64

つまり筆算は、数を「十の位のまとまり」と「一の位のまとまり」に分解して、それぞれ足してから組み立て直しているのです。くり上がりの1は魔法でも決まりごとでもなく、「一の位からあふれた10のかたまりが1つある」という事実を書き留めているだけ、ということになります。

ひき算のくり下がりも考え方は同じです。一の位が足りないときに、十の位から10を1つ借りてくる。借りてきた分だけ十の位の数字は1つ減ります。

かけ算の筆算|なぜ「ずらして書く」のか

かけ算の筆算では、2段目を1つ左にずらして書きます。学校では「そう書くもの」と教わりがちですが、これにもきちんと理由があります。

35×29 を分解してみましょう。

35×29=35×20+35×9
=(30×20+5×20)+(30×9+5×9)
=600+100+270+45=1015

筆算の1段目は「35×9」、2段目は「35×20」を計算しています。35×20は35×2の10倍ですから、35×2=70を求めたあと、それを1つ左にずらすことで自動的に10倍の位置に置いているわけです。ずらす操作は、「この段は10倍された値ですよ」という印なのです。

3けたの数をかけるときに3段目をさらに1つずらすのも、同じ理屈で「100倍の位置」を表しています。

筆算のメリット|「どこで間違えたか」が見える

筆算の最大の利点は、計算のプロセスが紙の上に可視化されることです。

暗算で答えを間違えた場合、どこで間違えたのかは本人にも分かりません。しかし筆算なら、くり上がりを書き忘れたのか、九九を間違えたのか、位をずらす場所を誤ったのかが一目で分かります。第三者が正しさを検証できるという点も重要で、学校のテストで途中式が評価されるのはこのためです。

これは仕事の資料づくりとまったく同じ構造です。結論の数字だけが書かれた資料は、間違っていたときにどこを直せばよいか分かりません。計算過程が追える資料は、チェックもやり直しも早い。筆算は、その姿勢を算数の段階で身につける練習でもあります。

筆算のデメリット|大人は実際どこまで必要か

正直に言えば、大人が実務で筆算を書く場面はほとんどありません。電卓があり、Excelがあり、スマートフォンがある。桁数の多い計算を紙で行うのは時間もかかり、むしろミスが増えます。

「筆算が速くできること」自体には、現代の仕事の中で直接的な価値はほとんどない——これは率直に認めてよい点だと思います。筆算が苦手だったからといって、数字に弱いということにはなりません。

大人が筆算を学び直す意味

それでも筆算を学び直す価値があるとすれば、それは「位ごとに分けて考える」感覚が身につくことにあります。

この感覚は、次のような場面で効いてきます。

暗算のスピード:248+196を「250+200−6」と組み替えて計算するような発想は、位の分解に慣れているほど自然に出てきます
おおよその見積もり:「単価1,980円×312個ならだいたい60万円台」と即座に見当をつけられる
桁の間違いに気づく力:資料の数字が1桁ずれていることに、違和感として気づける

また筆算は、決められた手順を繰り返して答えにたどり着くアルゴリズムの練習でもあります。複雑な問題を小さな手順に分解して順に処理する——これはプログラミングや業務フローの設計とまったく同じ思考です。筆算そのものが役に立つというより、筆算が持っている考え方が役に立つ、と捉えるのが実態に近いでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 筆算とはどんな計算方法ですか?

筆算とは、数を位(一の位・十の位・百の位…)ごとにたてにそろえて紙に書き、位ごとに計算していく方法です。頭の中だけで処理する暗算と違い、途中の手順がすべて紙の上に残るため、答えだけでなく「どう考えたか」を目で追えるのが特徴です。

Q2. くり上がりの「1」はどこから来るのですか?

ある位の計算結果が10以上になったとき、10のかたまりを1つ上の位へ送ったものが、くり上がりの「1」です。たとえば一の位で8+7=15になったら、15を「10が1つと5」に分け、5をその位に書き、10のかたまり1つを十の位へ送ります。逆にひき算では、上の位から10を1つ借りてくるのがくり下がりです。

Q3. かけ算の筆算で、2段目を1つ左にずらすのはなぜですか?

2段目は「十の位の数をかけた結果」だからです。35×29なら、1段目は35×9、2段目は35×20を計算しています。35×20は35×2の10倍なので、35×2=70を1つ左にずらして書くことで、自動的に10倍された位置に置かれます。ずらす操作は「これは10倍の値ですよ」という印なのです。

Q4. 電卓があるのに筆算を学ぶ意味はありますか?

実務では電卓やExcelを使えば十分で、大人が日常で筆算を書く場面はほとんどありません。それでも筆算を学ぶ価値は、答えを出す速さではなく「位ごとに分けて考える」感覚が身につく点にあります。この感覚は暗算やおおよその見積もり、桁の間違いに気づく力に直結し、仕事の数字を扱ううえでも効いてきます。

まとめ|筆算は「位」を理解するための道具

筆算とは、数を位ごとにそろえて書き、位ごとに計算していく方法です。くり上がりは「あふれた10のかたまりを上の位へ送ること」、かけ算で段をずらすのは「10倍の位置を表すこと」——どちらも意味を知れば、暗記するべき決まりごとではなくなります。

大人にとっての筆算は、速く計算するための道具ではなく、数の仕組みを体で理解するための道具です。位の感覚が育てば、暗算も見積もりも桁のチェックも自然に強くなります。「算数からやり直したい」と感じている方は、ぜひこの視点で筆算を見直してみてください。

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<文/堀口智之 監修/和から株式会社 堀口智之>

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