数学的な「切り絵」が数学セミナーの表紙に!
公開日
2021年3月23日
更新日
2021年3月23日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回は報告です!この度、数学の超人気雑誌「数学セミナー」(日本評論社)2021年度4月号の表紙に、私岡本の数学的デザインの切り絵が掲載されました!
今回のマスログでは、数学セミナーや表紙の切り絵について紹介していこうと思います。
この記事の主な内容
1.数学セミナーとは
まず、「数学セミナー」についてですが、数学関係の方の間では知らない方はいないのではないかというほど有名な数学雑誌です。実際に1962年創刊で、約60年続く歴史ある雑誌でもあります。おおよそ前半が特集で、後半は連載というスタイルとなっており、今回の4月号も新年度ということで、新しい連載がいくつかスタートしています!
2.4月号の特集
さて、今回の4月号の特集は「なぜこの数学を学ぶのか」という、非常に興味深い内容です!大学の授業で数学を学ぶ、あるいは個人で数学の本を読んでみるものの、「なかなか理解が進まない」「思っていた数学と違う」「何のために学ぶのかいまいちわからない」という方も少なくないでしょう。今回の特集ではそういった不安や疑問を持つ方や、今後数学を学んでいきたい方に向けての道標をコンパクトにまとめた内容になっています!
大きく「数学全般」「線形代数」「位相空間論」「関数論」「圏論」「数学史」というトピックでそれぞれ先生方が大変面白くかつわかり易く執筆されています。上記のトピックに少しでも気になるかたは必見です!
3.4月号の連載
続いて、4月からスタートした連載についていくつかトピックを選んで簡単に紹介します!
千葉逸人先生による「力学系とスペクトル理論」では、時間が進むにつれて変化する「力学系」と、行列の“無限版”である「線形作用素」の関係を、具体例を通して基礎的な部分から最新の話題まで解説されます!第1回の内容からもう面白いので必見です!
正井秀俊先生の「群と幾何をみる/無限の彼方から」では、「オカンと幾何と群」というタイトルで、「オカン(お母さん)」がド忘れしてしまった“幾何”を、その性質や特徴をもとに探っていくという斬新なコント風の導入となっており、今後の連載内容がびっくりするほどまとめられています。第1回だけで、ドキドキできる内容です!このほかにもたくさんの魅力的な連載がありますので、気になる方は是非書店へ!!
4.表紙の切り絵作品について
今回の表紙の切り絵のタイトルは「fractus」といい、「フラクタル」という言葉のルーツとなっています。この理論の創始者ブノア・マンデルブロによって名づけられました。切り絵の主なモチーフは有名なフラクタル図形の一種である「シェルピンスキー・ギャスケット」となっており、周りに雲のようなモクモクした閉曲線が漂っています。シェルピンスキー・ギャスケットについては以前何度かマスログで取り上げたので、こちらも併せてご覧ください!
閉曲線(ループ)で描かれる模様はグラフ理論の簡単な考察により、二色で塗り分けられることが知られています。そこで、このシェルピンスキー・ギャスケットの周りの閉曲線を白黒で塗り分け、境界線を越えることで、ガスケットの部分を「くり抜く」、「残す」の作業を逆転させています。
簡単にいうと、上の図のようにループ模様内部のエリアで白黒を反転させて、白い部分だけを切り抜くイメージです。
なお、fractusは「断片雲」という意味もあり、もくもくしたループ模様は雲を意識しました。引き続き表紙を担当させていただきますので、今後の表紙もお楽しみに!
4.さいごに
いかがでしたでしょうか?数学セミナーが気になる方はこちらから!
数学セミナー2021年4月号 日本評論社
また数学的デザインに関して関しては和からでいくつかセミナーを行っていますので興味のある方は是非ご参加ください!
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<文/岡本健太郎>