AI研修を内製化するには?社内講師・推進者を育てる3段階ロードマップ
公開日
2026年9月16日
更新日
2026年10月16日
この記事の主な内容
この記事のポイント
- AI研修の内製化とは、研修の企画、教材づくり、実施、更新の一部または全部を社内で担うことです。
- 最初は、自社の利用ルールの説明や身近な業務の演習など、社内で教えられる範囲から検討します。
- 共通教材を整える、部署で試す、講師と更新担当へ引き継ぐ、という3段階で進め方を整理できます。
- 外部研修の利用は選択肢のひとつです。社内の知識、担当者の時間、必要な専門性に応じて組み合わせます。
AI研修を内製化するには、まず「どの内容を、誰が社内で教えるか」を決めます。教材を用意するだけでなく、研修を担当する人、質問を受ける人、内容を見直す人まで明らかにしておくことが大切です。
すべての講座を一度に社内へ移す必要はありません。この記事では、内製化する範囲の具体例から、社内講師を育てる3段階の進め方、担当者が替わっても続けられる引継ぎまでを説明します。
AI研修の内製化とは何か
AI研修の内製化とは、これまで外部に依頼していた研修や、新しく始める研修の一部または全部を、自社で企画・運営できるようにすることです。教材を作る、演習を教える、受講者の質問に答える、ツールや社内ルールの変更に合わせて内容を更新する、といった仕事が含まれます。
たとえば、次のような分担が考えられます。いずれも説明用の例であり、特定の企業の導入実績ではありません。
- 利用ルールの説明を内製する:承認済みのツール、入力できる情報、困ったときの連絡先を、社内担当者が説明します。その他の講座は必要に応じて外部に依頼します。
- 身近な業務の演習まで内製する:会議メモの要約や社内向け資料の下書きなどを題材に、社内講師が操作と確認方法を教えます。
- 研修の企画・実施・更新を社内で担う:社内に必要な知識と担当者の時間を確保できる場合は、対象業務に合わせた教材の作成や改訂も進めます。判断が難しい内容の相談先は別に決めておきます。
自社の用語や手順に合う演習を作りたい、配属後も質問できるようにしたい、社内ルールの変更を教材へ反映したい、といった目的から内製化を検討できます。費用が下がるかは、外部研修の料金だけでなく、教材の作成・更新、講師の準備、質問対応、運営事務にかかる時間も含めて比較します。
内製する範囲と担当を先に決める
内製化に向く範囲は、会社によって異なります。頻繁に行う研修、自社の業務やルールに深く関わる内容、社内に教えられる人がいる分野から検討すると、担当と教材を具体化しやすくなります。
最新情報の確認や高度なデータ分析、情報セキュリティなども、社内に適切な専門担当がいれば連携できます。社内だけでは対応しにくい部分は、必要に応じて外部の講師や専門家を利用します。外部に任せる範囲を一律に決めるのではなく、必要な知識、担当者の時間、更新や評価を続けられるかを見て判断します。
役割も分けておきます。現場で活用を支える「推進者」は、部署の課題やつまずきを集め、試し方を共有する役割です。「社内講師」は、学ぶ順序を組み立て、演習を進め、受講者の理解を確認する役割です。同じ人が兼ねる場合もありますが、どちらも通常業務に加わるため、上司が担当時間を確保します。

内製化の3段階ロードマップ
進め方の一例として、共通教材の準備、部署別の試行、講師と更新担当への引継ぎ、の3段階に整理できます。決まった期間を待って次へ進むのではなく、それぞれの段階で何を確認できたかを見て判断します。
| 段階 | 取り組むこと | 次へ進む前の確認 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 共通の基礎、利用ルール、教材と相談先を整える | 講師候補が演習を実施し、基本的な質問への回答先を説明できるか |
| 第2段階 | 部署の業務に近い題材で、小規模な研修を試す | 受講者の質問や誤答をもとに、教材と進め方を直せたか |
| 第3段階 | 社内講師と更新担当へ引き継ぎ、継続運営を試す | 別の担当者でも実施でき、変更時の見直しや相談に対応できるか |
第1段階|共通教材と相談先を整える
最初に、生成AIの基本操作、入力できる情報、出力の確認、困ったときの相談先をそろえます。自社で利用を認めているツールを使い、演習には架空のデータや利用が認められた公開情報を用意します。
社内に教えられる人や既存の教材があれば、それらを確認して活用できます。知識や教材が足りない部分には、公式資料、外部研修、専門家の支援などを組み合わせます。外部研修を受けること自体が、この段階の必須条件ではありません。
講師候補は、AIへの関心や詳しさに加えて、現場業務の理解、説明力、質問を受ける時間、判断できないことを専門担当へつなぐ姿勢を見て選びます。まず候補者自身が演習を行い、操作と確認手順を説明できるかを確かめます。
第2段階|部署で試し、教材を直す
次に、部署でよくある仕事に近い題材を使い、少人数で研修を試します。たとえば、架空の会議メモから決定事項を整理する、公開資料をもとに説明文の下書きを作る、といった演習です。業務上の情報を使う場合は、利用が認められた範囲を確認します。
推進者や講師候補は、どこで操作が止まったか、どの用語が伝わらなかったか、出力を確かめる際に何が難しかったかを記録します。うまくいった依頼文だけでなく、確認が必要だった出力や、修正した理由も教材へ反映します。
教える経験が少ない場合は、経験のある社内担当者との共同進行や、必要に応じた外部講師の支援を利用できます。小規模な実施と振り返りを繰り返し、講師候補が自分で説明し、質問に対応する場面を増やしていきます。
第3段階|講師と更新担当へ引き継ぐ
教材と進め方が整ったら、社内講師が新しい受講者への研修を担当します。教材には、説明する順序、演習の進め方、確認するポイント、よくある質問を残し、担当者が替わっても実施できるかを試します。
あわせて、教材を見直す責任者と代替担当を決めます。利用ツールの仕様変更、社内ルールの変更、演習で見つかった問題など、何が起きたら見直すかを共有します。判断が難しい内容については、情報システム、法務などの社内専門担当や、必要に応じて外部の専門家へ相談できるようにします。
各部署で得た事例を共有する場も、業務に合う頻度で設けます。便利だった使い方に加えて、うまくいかなかった条件や人が確認した箇所を共有すると、他部署が適用できる範囲を判断しやすくなります。
会議メモの要約講座を引き継ぐ具体例
引継ぎでは、スライドだけでなく「何ができればよいか」と「講師が何を確かめるか」を残します。以下は、会議メモの要約を教える講座の記入例です。架空の教材を使う想定で、実際の会社の事例ではありません。
- 受講対象と目標:生成AIを初めて使う社員。短い会議メモから決定事項、担当者、期限を整理し、元のメモと照合できることを目標にする。
- 使用するもの:会社で利用を認めたツールとアカウント、講師が用意した架空の会議メモを使う。
- 演習の進め方:整理したい項目を指定してAIへ依頼し、出力を元のメモと一つずつ比べる。必要に応じて依頼を調整し、再度確認する。
- つまずきやすい点:未定の担当者や期限をAIが補っていないか、提案が決定事項として扱われていないかを見る。
- 理解度の確認:受講者が、元のメモで確認できた内容と未確認の内容を分けて説明できるかを確認する。
- 研修後の相談先:操作の質問、業務上の判断、情報の取り扱いについて、それぞれ誰へ相談するかを記入する。
- 教材の管理:責任者と代替担当、版番号、見直し日を記入する。ツールや社内ルールが変わった場合の確認手順も残す。
入力ルールや出力を確かめる手順など、全員に共通して伝える部分はそろえます。一方、部署で使う用語や演習の題材は、必要に応じて変えられるようにします。
別の担当者がこの記録を使って研修を試し、説明に迷った箇所や足りない資料を補うと、引継ぎに必要な情報を確かめられます。講師一人の経験に頼らず、教材と相談先を共有しておくことが、継続して運営するための準備になります。
確認に使った一次情報
確認日:2026年8月21日。内製化の期間と範囲は、役割・対象業務・情報リスクに合わせて調整してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 社内講師にする人は、どう選べばいいですか?
現場業務の理解、説明力、相談を受ける時間、社内ルールを守る姿勢を見ます。詳しさだけで選ばず、判断できないことを情報システム・法務などへつなげられる人にし、上司が講師業務の時間を確保します。
Q2. 内製化には、どのくらいの期間がかかりますか?
対象人数、教材の準備状況、講師候補の経験、担当者が確保できる時間によって変わります。一律の期間を目標にせず、小規模な研修を試し、受講者の質問や誤答を教材へ反映し、代替担当でも実施できるかを確認して次へ進みます。
Q3. 小さな会社でも内製化できますか?
小規模でも可能ですが、知識と運営を1人に集中させない設計が必要です。まず教える範囲を絞り、主担当と代替担当、教材の見直し方法を決めます。社内で判断できない内容は、必要に応じて外部の専門家へ相談できるようにします。
まとめ|教える範囲を決め、小さく試して引き継ぐ
AI研修の内製化では、まず自社で教える範囲と担当を決めます。共通教材を整え、部署で小さく試し、社内講師と更新担当へ引き継ぐ、という順で進め方を整理できます。
- 自社の業務、知識、担当者の時間に合わせて、内製する範囲を選ぶ。
- 演習で出た質問やつまずきを教材へ反映し、教える経験を積む。
- 代替担当、教材の更新、判断が難しい場合の相談先まで準備する。
社内で担える部分と、必要に応じて支援を受ける部分を組み合わせ、実施と見直しを続けられる形を目指します。
自社に合った内製化の進め方や社内講師の育て方についても、ご相談いただけます。和からの生成AI研修では、土台づくりから社内講師の育成、その後の継続的な支援まで行っています。導入事例もご覧ください。まずはお問い合わせから、現状をお聞かせください。
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<文/和から株式会社 法人研修担当>
<監修/和から株式会社 堀口智之>
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