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AIリストラは日本でも起きているのか|米国でAIを理由に挙げた削減計画は2026年1〜9月に12万人

公開日

2026年11月3日

更新日

2026年11月3日

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米国では、企業がAIを理由に挙げて発表した人員削減計画が2026年1〜9月に12万136人となり、削減計画全体の約2割を占めました。一方、日本の上場企業の早期・希望退職募集は同じ期間に5,345人(速報値)と前年同期の半分以下で、AIを理由に挙げた例はまだ一部です。日本でAIの影響が出るなら、解雇より採用の絞り込みや配置転換の形をとりやすいと考えられます。

米国では、AIを理由にした人員削減が2026年に急増

米国の再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスは、企業が発表した人員削減の人数を、発表で挙げた理由ごとに毎月集計しています。

  • 2025年1〜9月:削減計画946,426人のうち、AIを理由に挙げたもの17,375人
  • 2026年1〜9月:削減計画573,195人のうち、AIを理由に挙げたもの120,136人(理由別で最多)
  • 2025年通年:削減計画1,206,374人のうち、AIを理由に挙げたもの54,836人

和からで割合を計算すると、2025年1〜9月は17,375÷946,426=約1.8%、2026年1〜9月は120,136÷573,195=約21.0%です(2025年通年では54,836÷1,206,374=約4.5%)。削減計画の総数は前年同期より39%減っています。削減の総数が減るなかで、AIを理由に挙げる削減の割合が急に大きくなっています。

AIに触れて人員削減を発表した米国企業

企業の公式発表から、AIに触れた例を3つ挙げます。

  • アマゾン(2025年10月):コーポレート部門で約1万4,000人分の職を減らすと発表。社員向けメッセージで、今の世代のAIを「インターネット以来、最も変革的な技術」と位置づけた
  • HP(2025年11月):AIの導入と活用を掲げた施策の一環として、2028年度末までに世界の従業員を約4,000〜6,000人減らす見込みと決算発表で公表
  • ブロック(2026年2月):株主への手紙で、従業員を1万人超から6,000人弱へ減らすと表明。AIなどの「インテリジェンス・ツールが、会社をつくり動かすことの意味を変えた」と説明

ただし、アマゾンのジャシーCEOはその後の決算説明会で、削減は「AI主導ではない、少なくとも今は」と述べたと報じられています。AIが原因の削減なのか、AIを背景の一つとして語っただけなのかは、発表文からは区別できません。

「AIを理由に挙げた」は、AIが原因と確かめた数字ではない

チャレンジャー社の数字は企業の発表を数えたもので、何を測っているかに注意が要ります。

数字 何を数えたか 出典
120,136人 米国企業が2026年1〜9月に発表した削減計画のうち、AIを理由に挙げた人数。複数年にわたる計画も発表時の人数で記録する チャレンジャー社
20,219人 2025年1〜9月に「AIの可能性もある技術更新」を理由にした人数。AIと明言した17,375人とは別に数えている。2026年1〜9月は同じ項目が12人しかなく、以前ここに入っていた分がAIに数えられている可能性がある チャレンジャー社
4% AIを使うサービス企業のうち、過去6カ月にAIを理由に人を減らした企業の割合(2026年8月、NY州・NJ州北部)。採用を減らしたのは約15%、従業員を再教育したのは3分の1強 ニューヨーク連銀

和からで、AIと「AIの可能性もある技術更新」を合わせて比べると、2025年1〜9月の37,594人(17,375+20,219)に対し、2026年1〜9月は120,148人(120,136+12)で、約3.2倍です。AIだけで比べた約6.9倍(120,136÷17,375)より小さく、増え方の一部は数え方の変化による可能性があります。英調査会社オックスフォード・エコノミクスは2026年1月、過去の採用しすぎなどによる削減を、AIを理由にして良いニュースに見せている企業があるのではないかと指摘したと報じられています。「AIを理由にした削減」は企業の申告を数えた数字で、AIで仕事がなくなった人数を測ったものではありません。

日本:早期・希望退職は減り、AIを挙げた例はまだ一部

東京商工リサーチ(TSR)の「上場企業の早期・希望退職募集」の集計です。

  • 2025年:43社・17,875人(前年比78.5%増)。直近決算が黒字の企業が約7割
  • 2026年1〜9月:22社・5,345人(速報値。前年同期は34社・11,909人)
  • AIを挙げた例:OKI(沖電気工業)は「AI・DXの進展に伴う業務プロセスや役割の変化」への対応などを理由に、55歳以上・勤続10年以上の社員などを対象とした特別措置を実施し、グループで668人が応募

和からで計算すると、2026年1〜9月の人数は前年同期の5,345÷11,909=約45%です。TSRの記事で理由にAIやDXが出てくるのはOKIだけで、ほかは構造改革や不採算部門の整理、年齢層の適正化が中心です。上場企業の早期・希望退職を見る限り、日本でAIを理由に挙げた人員削減は、まだOKIのような一部の例にとどまります。

銀行では、みずほフィナンシャルグループがAIを、人を減らす話より配置を変える話として語っています。同社は2026年10月、金融業務の知識を持つ非エンジニア社員を3カ月でAIアプリケーション開発人材に育てるプログラムの本格運用を発表しました。2026年2月の報道によると、同社はAIで事務作業を10年で5,000人分減らし、余った人員を営業などに配置する方針で、広報はメールで「人員削減ではなく」配置転換だと説明しています。

日本では、影響は解雇より採用と配置に出やすいと考えられる

厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」は、解雇について一般的に次のように説明しています。

  • 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇はできない(労働契約法第16条)
  • 経営上の理由による整理解雇は、「人員削減の必要性」「解雇回避の努力」「人選の合理性」「解雇手続の妥当性」に照らして厳しく判断される
  • 「解雇回避の努力」の例として、配置転換や希望退職者の募集が挙げられている

このため日本では、AIで仕事が減っても、採用を絞る、配置を変える、早期退職を募るといった形をとりやすいと考えられます(個別の判断は専門家にご相談ください)。米国でも、先のニューヨーク連銀の調査では、AIを理由に人を減らした企業(4%)より採用を減らした企業(約15%)の方が多くなっています。日本でAIの影響を見るなら、解雇の人数より、採用数と配置転換の動きを追う必要があります。仕事がなくなる不安そのものは、FOBO(仕事が不要になる不安)の記事で米国の調査を読んでいます。

人を減らすより、空いた時間を判断の仕事に回す

米国の数字が示しているのは、AIを理由に挙げる削減が増えたことで、AIが仕事を置き換えた量ではありません。解雇のハードルが高い日本企業にとって現実的なのは、AIで空いた時間と人を、データを読んで判断する仕事に回すことです。空いた時間がどこへ行くかは、AIで空いた時間の行き先を調べた記事で整理しています。

和からの人材高度化研修は、AIで空いた時間を使って、データを分析し、AIの答えを鵜呑みにせず判断できる社員を育てる法人研修です。職種別のコースもあります。

参考・出典

監修/和から株式会社 堀口智之

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