FOBOとは?|仕事が不要になる不安、米就業者の27%で過去最高
公開日
2026年10月1日
更新日
2026年10月1日

FOBO(Fear of Becoming Obsolete)とは、技術の進歩によって自分の仕事や技能が不要になるのではないかという不安のことです。米国の世論調査会社ギャラップが2023年の記事でこの略語を使い、生成AIの広がりとともに目にする機会が増えました。ギャラップが2026年9月に発表した調査では、技術によって自分の仕事がなくなることを心配している米国の就業者は27%で、過去最高になりました。ただし、この調査の就業者は507人で、誤差は±6ポイントあります。この記事ではFOBOの出どころと元の数字を確かめたうえで、誤差を踏まえると27%から何が言えて何が言えないのかを計算で読みます。
この記事のポイント
- FOBOは、技術によって仕事や技能が不要になるのではないかという不安です。
- 米国の就業者27%は過去最高ですが、標本誤差を踏まえて幅で読む必要があります。
- 属性別の差は各層の標本数と誤差幅がないと、統計的に確かとは判定できません。
この記事の主な内容
FOBOはギャラップが2023年に使った言葉で、命名者は分かっていない
FOBOという略語が確認できるのは、Gallup(2023年9月11日)のLydia Saadによる記事で、「Fear of becoming obsolete, or FOBO」と書かれています。ただ、誰が最初に言い出したのかは分かっていません。同じ略語で「Fear of Better Options(もっと良い選択肢があるかもしれない不安)」を指す使い方もありますが、これは別の概念です。取り残される不安を表すFOMO(Fear of Missing Out)とも違います。
FOBOの中身について、Fortune(2026年4月5日)は、解雇される不安というより、自分が「無価値になる(irrelevant)」不安だと説明しています。同じ記事は、AIによる失業を主な懸念に挙げる働き手が4割に達し、前年からほぼ倍増したというKPMGの調べも紹介しています。
雇う側の見方も似ています。Gallup Workplace(2024年2月1日)によると、Fortune 500企業の最高人事責任者(CHRO)の72%が、3年以内にAIが職を置き換えると予想していました(2023年2〜3月、95人)。FOBOは職を失う不安というより、自分の技能が価値を失っていく不安を指す言葉です。
FOBOの元になったギャラップ調査では2026年に27%が不安を感じている
Gallup(2026年9月15日)の記事によると、「技術によって自分の仕事が不要になるのが心配だ」と答えた米国の就業者の割合は、次のように推移しています。2024年の数値は推移表に含まれていません。なお、この2026年の記事自体は「FOBO」という語を使っていません。
| 調査年 | 心配している就業者の割合 |
|---|---|
| 2017年 | 13% |
| 2018年 | 15% |
| 2019年 | 17% |
| 2021年 | 15% |
| 2023年 | 22% |
| 2025年 | 20% |
| 2026年 | 27% |
2026年の調査は8月3日から24日にかけて成人1,200人に行われ、そのうち就業者は507人でした。就業者の誤差は±6ポイントです。属性別では大卒が25%、非大卒が29%、年齢別では18〜44歳が34%、45歳以上が19%でした。ギャラップは、2023年以降に大卒層で不安が高まった理由の一つとして生成AIツールを挙げています。
その変化は2023年の調査(8月1日〜23日、成人1,014人、うち就業者491人、誤差±5ポイント)にすでに表れていました。大卒層は2021年の8%から2023年に20%へ上がった一方、非大卒層は22%から24%とほぼ横ばいでした。年収別でも、10万ドル未満が17%から27%、10万ドル以上が12%から17%に上がっています。もともと大卒層には少なかった不安が、2023年を境に大卒層にも広がったことが読み取れます。
FOBOの27%は「21〜33%のどこか」と読み、前年比より長期の倍増を見る
まず誤差の意味を確かめます。ギャラップが示す±6ポイントを95%信頼水準の誤差幅として読むと、同じ方法で調査を繰り返したときに作られる区間の約95%が母集団の値を含む、という意味です。今回の目安は27−6=21%から27+6=33%です。「本当の値が95%の確率でこの中にある」と断定するものではありませんが、27%という一点より21〜33%の幅で受け取る方が適切です。
次に、前年の20%から27%への7ポイントの上昇を考えます。7ポイントは±6ポイントより大きいので、上昇は確かなように見えます。しかし2つの調査を比べるときは、両方の誤差を合わせて考える必要があります。独立した2つの調査の差の誤差は、それぞれの誤差を2乗して足し、平方根をとって求めます。2025年の調査も同じ±6ポイント程度だとすると、√(6²+6²)=√72≒8.5ポイントです(検算: 8.5²=72.25)。7ポイントの上昇はこの8.5ポイントの内側に収まるため、1年分の比較だけでは「不安が増えた」とは言い切れません。
一方、2017年の13%から2026年の27%への変化は14ポイントで、8.5ポイントを大きく上回ります。27÷13≒2.08なので、約2倍です(検算: 13×2.08≒27.0)。しかも2023年以降の3回はいずれも20%以上で、2017〜2021年の13〜17%より高い水準が続いています。1回の調査のぶれでは説明しにくい動きです。
属性別の数字は、全体の±6ポイントをそのまま使って判定できません。大卒25%と非大卒29%の差は4ポイント、18〜44歳34%と45歳以上19%の差は15ポイントですが、各層の標本数と誤差幅が必要です。元記事は若年層の不安が高い傾向を報告していますが、この記事に掲載された数字だけから有意差を独自に判定することはできません。比較的確かに言えるのは、全体の値が2017年の13%から2026年の27%へ上がり、ギャラップが過去最高と報告していることです。
FOBOには自分の仕事をタスクに分けて向き合う
FOBOを和らげる第一歩は、何を不安に感じているかを分けて考えることです。Forbes JAPAN(2026年8月28日)は、世界経済フォーラム(WEF)の「Future of Jobs Report 2025」にある「2030年までに既存スキルの39%が変化するか陳腐化する」という見通しと、WTWの920職種の分析で、構造化された役割ではタスクの最大72%が自動化できるとされた結果を紹介しています。どちらも、仕事がまるごと消えるという話ではなく、仕事の中身の一部が入れ替わるという話です。
そう考えると、自分の仕事をタスクに分け、AIに置き換わりやすい部分と、自分が判断を担う部分を見分けることが現実的な対処になります。気をつけたいのは、AIに任せきりにして自分の技能が衰えていく流れです。これについては既刊の「AIデスキリングとは?」で扱いました。また、AIが判断のペースを決め、人間がその手足として従わされる逆ケンタウロスの働き方になると、仕事が不要になる不安は一段と現実味を帯びます。
学び直しを考える場合も、不安に押されて手当たり次第に講座を選ぶより、かける時間と費用に見合う効果があるかを先に見積もる方が確かです。その考え方は既刊の「AIスクールROI」の記事で取り上げています。FOBOには、仕事全体ではなくタスク単位で、どこを自分の判断として残すかを決めることで向き合えます。
よくある質問
FOBOとFOMOはどう違うのですか?
FOMO(Fear of Missing Out)は、周りが得ている情報や機会を自分だけが逃しているのではという不安です。FOBO(Fear of Becoming Obsolete)は、技術の進歩で自分の仕事や技能が不要になるのではという不安で、向きが違います。AIの話題では、流行に乗り遅れる焦りがFOMO、自分の価値が下がる怖さがFOBOと考えると整理しやすくなります。
FOBOには別の意味もあるのですか?
同じ略語で「Fear of Better Options」、つまりもっと良い選択肢があるかもしれないと考えて決められない状態を指す使い方があります。この記事で扱っているFear of Becoming Obsoleteとは別の概念です。記事や会話で見かけたときは、どちらの意味かを文脈で確かめてください。
27%という数字は日本の働き手にも当てはまりますか?
ギャラップの数字は米国の就業者を対象にした調査なので、そのまま日本に当てはめることはできません。国によって雇用の慣行やAIの導入の進み方が違うため、割合も変わりうると考えるのが自然です。日本の状況を知りたいときは、日本で行われた調査の対象と誤差を確かめたうえで比べる必要があります。
FOBOと向き合うには、AIの出す答えのどこまでを任せ、どこを自分で確かめるのかを判断できることが支えになります。和からの生成AI研修は、AIの答えの確かめ方を統計の見方とあわせて考える研修です。調査の数字に振り回されず、自分の仕事とAIとの距離を落ち着いて考えたい方は、一度内容をのぞいてみてください。
<監修/和から株式会社 堀口智之>
同じことを生成AIに頼むなら、どう書けば思ったとおりに返ってくるのか。そのまま貼って使える「話しかけ方」を30個、A4・7ページにまとめました。資料づくり・メール・数字の整理・学び直しの、4つの場面別です。
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