フラクタルってなに?~その特徴と歴史その①~
公開日
2020年12月7日
更新日
2020年12月7日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今日は「フラクタル」と呼ばれる図形について解説いたします。
この記事の主な内容
1.フラクタルとは
みなさんはフラクタル図形って聞いたことありますか?すごく大雑把に言うと、「同じような図形が繰り返し現れる図形」のことです。例えば、雲や山脈、海岸線など、同じような形が繰り返されているので、図のように大きさの感覚がわからなくなってしまいます。。
このような「フラクタル」という概念は実はまだ新しく、できて100年も経っていません。
フラクタルの創始者はフランスの数学者ブノワ・マンデルブローです。マンデルブローは「名付けることは、知ることである」という西洋の諺にならい、「フラクタル」という言葉を造りました。由来は「fractus(破片)」から来ています。
この理論により、いままでの手法では扱えなかった、“複雑”な図形を数学的に扱えるようにしたのです!
2.フラクタルの2つの大きな特徴その1
マンデルブローは「フラクタル」というものを数学的に扱えるように大きく2つの特徴づけをしました。1つ目は「自己相似性」です。これは、最初にお話した通り、「同じような図形が繰り返し現れる様子」を意味します。例えば以下の図のような性質です。
この図は「シェルピンスキー・カーペット」といい、ポーランドの数学者ヴァツワフ・シェルピンスキーにちなんで名づけられています。図のように、正方形を9等分割して、真ん中の1つを取り除くという操作を“無限”に行うことによって得られます。結果的にもとの図形が縮小されたもので構成されています。たまらない美しさですね!
3.フラクタルの2つの大きな特徴その2
もう1つの特徴は「ギザギザ性」です。ものの形は普通「はっきり」としており、三角形や四角形、円など、境界線がある意味「スムーズ」につながっています。いままでの数学ではこのような理想的な形のものしか扱えませんでした。しかし、現実世界を見ると、例えば株価の推移や、煙突から出る煙の動きなど、実は私たちの周りにはギザギザで複雑な形であふれています。そこでフラクタルという理論が必要になってくるわけです。
上のグラフは「ワイエルシュトラス関数」という特殊な「ギザギザ感」を持った関数です。
4.さいごに
いかがでしたでしょうか?今回はフラクタルの誕生と必要性について簡単にお話をしてきました。次回は、特徴その1である自己相似性と「次元」という概念の見直しについてお話します。実はフラクタル図形の中には1次元と2次元の間に住む図形がいます!ゾクゾクしませんか!?次回、お楽しみに!
また、和からではフラクタルの考え方やExcelを使ったデザイン・描き方に関するセミナーを開催しています。興味のある方は現在無料で開催中の「Excelアート超入門セミナー」へ!
※今回ご紹介した図形は全てExcelで描いています。
●和からのセミナー一覧はこちら
●お問い合わせフォームはこちら
<文/岡本健太郎>