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電験三種に必要な数学とは|出題される計算分野と独学の進め方

公開日

2026年9月26日

更新日

2026年10月13日

この記事のポイント

  • 電験三種の数学は、四則演算・式変形・単位換算を土台に、科目や問題に応じて三角関数・ベクトル・複素数などを使います
  • 科目別に数学の使いどころを整理し、交流回路の具体例で式と電気の量の関係を確かめます
  • 公式過去問で必要な計算を特定し、つまずいた数学だけを戻って復習する進め方を紹介します

電験三種の数学対策 和から個別指導

電験三種に必要な数学は、四則演算・方程式・比・単位換算を土台に、交流回路で使う三角関数・ベクトル・複素数などです。理論、電力、機械、法規では扱う計算が異なるため、公式過去問で必要な範囲を確かめ、つまずいた数学を復習する進め方が役立ちます。

電験三種は、事業用電気工作物の保安監督に関わる資格です。この記事では科目別の数学と交流回路での使い方、独学の進め方を先に紹介し、最後に試験方式や電卓などの条件を整理します。

試験科目と必要な数学分野の早見表

電験三種 試験科目と必要な数学分野の早見表の図解

試験科目 計算で確認したい例 過去問で記録する点
理論 方程式、三角関数、ベクトル、複素数など 公式の選択、式変形、符号、単位
電力 四則演算、比、単位換算、三角関数など k・Mなどの接頭語、損失や効率の式
機械 比例式、三角関数、複素数、論理など 条件の読み分け、公式の適用範囲
法規 四則演算、比、設備管理の計算など 条文の条件、単位、端数処理

電験三種の合格に数学が欠かせない理由

電験三種の合格に数学が欠かせない理由の図解

電験三種は電気に関する資格ですが、実際の試験問題を見ると、理論科目を中心に計算問題が数多く出題されます。電気の法則や公式は、電圧・電流・抵抗の関係のように数式で表現されるものが大半であり、数式の意味を理解していないと、公式を暗記するだけでは応用問題に対応できません。

特に社会人になってから久しぶりに数学に触れる方の場合、三角関数や指数・対数、微分積分といった高校数学の内容を「昔習った気がするが内容は覚えていない」という状態で試験勉強を始めることもあります。まず公式過去問を解き、止まった理由が電気の知識なのか、式変形・単位換算などの数学なのかを分けると、復習範囲を絞れます。

科目別に見る必要な数学分野(理論編)

理論の過去問では、電気回路や電磁気などで数式を扱います。次の分野は代表例であり、必要な計算の例は、直近の公式過去問で確認してください。

三角関数とベクトル

交流回路では、電圧や電流が時間とともにsin波やcos波として変化します。波形の位相のずれや大きさを扱うために、三角関数(sin、cos、tan)の基本的な性質や、直角三角形の辺の比の考え方が必要になります。また、電圧と電流の関係を矢印(ベクトル)で表すベクトル図の理解も欠かせません。

複素数

交流回路の計算では、抵抗成分とリアクタンス成分をあわせ持つインピーダンスを、実数部と虚数部からなる複素数(例:R+jXのような形)で表します。電気の分野では虚数単位をiではなくjと表記する点も特徴です。複素数の四則演算やベクトルとの対応関係を理解しておくと、交流回路の計算の関係を整理しやすくなります。

過渡現象の理解に使われる微分積分の考え方

コンデンサやコイルを含む回路の過渡現象(スイッチを入れた直後などに電圧・電流が変化していく現象)を理解するには、簡単な微分・積分の考え方が使われます。ただし、実際にどの程度の式操作が必要かは、公式過去問を見て判断します。

科目別に見る必要な数学分野(電力・機械・法規編)

電力・機械・法規でも計算問題が出題されます。科目ごとの問題数や難易度は固定ではないため、分野名だけで優先順位を決めず、公式過去問で確認します。

電力科目

発電量、送電損失などの計算では、四則演算、比、単位換算、三角関数などを使うことがあります。対象年度の過去問から、式変形と単位で止まった問題を記録して復習します。

機械科目

電動機や変圧器の効率、同期発電機の特性を求める計算では、比例式や三角関数、ベクトル図の考え方が使われます。また、自動制御や論理回路の分野では、AND・ORなどの考え方を式で表すブール代数の基礎知識が必要になる場合もあります。

法規科目

法規でも設備管理に関する計算問題が出ることがあります。「暗記科目だから計算は後回し」と決めつけず、公式過去問で法令問題と計算問題の両方を確認してください。

交流回路の例で数学の使い方を確かめる

たとえば、抵抗R = 3Ωと誘導性リアクタンスX = 4Ωを直列につないだ正弦波交流回路を考えます。インピーダンスはZ = R + jX = (3 + j4)Ωと表せ、その大きさは|Z| = √(3² + 4²) = 5Ωです。抵抗成分とリアクタンス成分を直角の矢印として描くと、複素数とベクトル図の対応も確かめられます。

電圧の実効値が100Vなら、電流の実効値は100 ÷ 5 = 20Aです。この回路の力率はcosφ = R ÷ |Z| = 3 ÷ 5 = 0.6、有効電力は100 × 20 × 0.6 = 1,200Wになります。三角比・平方根・複素数が、それぞれ何を求めるために使われるかを式と図で結びつけましょう。

公式過去問で不足する数学を見つけて復習する

まず取り組む科目の公式過去問を確認し、解けそうな計算問題を1題選びます。与えられた値と求める量に単位を添え、公式と途中式を書いてみましょう。分からない場合は解説と照らし、電気の知識、式変形、計算、単位のどこで止まったかを確かめます。

  • 式変形や手計算で止まるなら、正負の数、文字式、一次方程式、比例・反比例、分数、平方根の該当部分を復習します。
  • 交流の大きさや位相が分からなければ、三角比・三角関数、ベクトルの合成・分解、複素数を、回路の例題と結びつけて確認します。
  • 指数・対数や微分積分は、取り組む問題やその理解に必要になった箇所を復習します。微分は変化の割合、積分は面積や合計量という意味を押さえ、必要な式操作は公式過去問で確かめます。

復習後は元の問題を解き直し、桁・符号・単位を確認します。同じ分野の問題でも解けるか試し、慣れたら時間を計って演習しましょう。数学全体を順番に終えてから過去問に進む必要はありません。

数学の学び直しでつまずきやすいポイント

独学で数学を復習する際、多くの方が同じようなポイントでつまずきます。あらかじめ知っておくと、無駄な遠回りを減らせます。

  • 三角関数を公式として丸暗記してしまい、単位円やグラフのイメージと結びついていないため、角度が変わる応用問題に対応できない
  • 複素数の実数部と虚数部が、電気回路の抵抗成分とリアクタンス成分に対応しているという電気的な意味を理解しないまま計算だけを行っている
  • 対数の基本ルール(掛け算を足し算に変換できる、真数と底の関係など)を忘れており、対数を使う計算でつまずく
  • 微分積分について、公式の背景にある考え方を確認せずに数式操作だけを覚えようとして、少し形が変わった問題に対応できなくなる

これらのつまずきは、独学でも基礎に立ち返って一つずつ確認できます。ただし、どこでつまずいているのか自分では気づきにくいという点が、独学の難しさでもあります。

独学の限界を感じたら個別指導という選択肢も

電験三種の数学は、参考書や問題集を使えば独学で克服することも十分可能です。一方で、仕事や家庭と両立しながら学習時間を確保しなければならない社会人にとっては、「どこから復習すればよいのか分からない」「同じところで何度もつまずいてしまい先に進めない」といった悩みが学習の停滞につながる場合があります。

そうした場合は、自分の理解度に合わせて必要な範囲を確認できる個別指導を活用するのも一つの方法です。つまずいている単元を確認しながら学習を進めることで、学習の優先順位を整理しやすくなります。

電験三種の資格と試験制度

電験三種(第三種電気主任技術者試験)は、一般財団法人電気技術者試験センターの案内では、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(一定の発電所を除く)に関する保安監督を担う資格です。対象範囲には条件があるため、資格の業務範囲は公式案内で確認してください。

試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されており、4科目すべてに合格すると、第三種電気主任技術者試験の合格となります。科目ごとに出題内容の性質が異なり、数学との関わり方にも違いがあるため、科目ごとの特徴と受験条件を学習計画に反映させましょう。

  • 理論:電気理論、電子理論、電気計測、電子計測など
  • 電力:発電所・変電所、送配電線路、電気材料など
  • 機械:電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御など
  • 法規:電気法規、電気施設管理など

公式案内では各科目とも五肢択一方式で、筆記方式またはCBT方式を選択できます。日程、会場、申込方法は実施回ごとに公式情報を確認してください。

科目合格の免除は自動ではなく申請が必要です。公式案内では、最初に一部科目へ合格した試験以降、連続する最大5回まで、申請により合格科目の免除を受けられます。

試験で使える電卓にも制限があります。四則演算と開平計算を中心とするものに限られ、数式記憶、関数、印刷などの機能を持つ電卓は使用できません。受験予定回の受験案内で最新条件を確認しましょう。

試験制度の確認先

よくある質問

Q. 電験三種は数学が苦手でも合格を目指せますか?
A. 学習は可能です。まず公式過去問を解き、電気知識・式変形・計算・単位のどこで止まったかを分け、必要な範囲だけ復習します。

Q. 科目合格は何回まで免除されますか?
A. 公式案内では、最初に一部科目へ合格した試験以降、連続する最大5回まで、申請により合格科目の免除を受けられます。最新の受験案内も確認してください。

Q. 試験で電卓は使えますか?
A. 使用できますが、四則演算と開平計算を中心とするものに限られます。数式記憶、関数、印刷などの機能を持つ電卓は使用できません。

まとめ

電験三種は理論・電力・機械・法規の4科目からなる国家試験で、CBT方式や科目合格制度が用意されています。一方で、計算で使う分野は科目や問題によって異なります。公式過去問を起点に、電気の知識・式変形・計算・単位のどこで止まったかを確かめ、必要な数学へ戻ると学習範囲を絞れます。試験方式、日程、科目免除、使用できる電卓は、受験予定回の公式案内で最終確認してください。

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執筆:和から株式会社 数学講師
「大人のための数学教室 和から」を運営し、累計3万人以上に指導。法人200社以上の研修実績。

<監修/和から株式会社 堀口智之>

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