経理・財務に効く数字力|決算書を読む最低限の数学
公開日
2026年7月26日
更新日
2026年7月13日
この記事の主な内容
この記事のポイント
- 決算書を読むために必要なのは、高度な数学よりも割合と比較の視点
- まず押さえたいのは、主に損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュ・フロー計算書(CF)の3つ
- PLでは5つの利益、BSでは会社の財務体力を見る
- 初心者は3つの比率と、読む順番の3ステップから始める
「決算書を読めるようになりたいけれど、数字がびっしり並んでいて、何から見ればいいのか分からない」。
経理や財務の担当者でなくても、会社の数字を理解したい場面は増えています。
でも、身構えなくて大丈夫です。決算書の大枠をつかむために必要なのは、簿記の専門知識や高度な数学ではなく、割合(%)と比較という、算数レベルの数字力です。
この記事では、経理・財務の理解に役立つ数字力として、決算書を読むためにまず押さえたいポイントを、累計3万人以上の学びをサポートしてきた和からの視点でやさしく整理します。3つの決算書の役割、PLの5つの利益、押さえておきたい3つの比率、そして初心者におすすめの読む順番まで、「まず何を見ればいいか」が分かる内容です。
和からならではの数字の読み方
和からでは、決算書を「用語を暗記するもの」ではなく、仕事や経営の判断に使うための数字として扱います。数トレ教室や経営者の数字力 個別指導では、割合・比較といった基礎から、自社の売上、取引先の決算書、KPIなど実務に近い数字まで、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンで学べるのが特長です。
決算書を読むのに「高度な数学」は必要ありません
最初にお伝えしたいのは、決算書を読むために微分積分や難しい統計を使う場面はほとんどない、ということです。実際によく使うのは、「割合(○○率)」と「比較(前年・同業他社)」です。
たとえば、「営業利益率が上がった」「自己資本比率が同業他社より高い」といった見方は、どれも割合と比較で読み解けます。
つまり、数字の多さに圧倒される必要はありません。大切なのは、すべての数字を細かく見ることではなく、「どの数字を、何と比べるか」に絞ることです。ここを押さえるだけで、決算書の全体像はぐっとつかみやすくなります。
決算書は主に3つ|PL・BS・CFの役割

図:決算書3つの役割(PL・BS・CF)
決算書、つまり財務諸表にはいくつかの書類がありますが、初心者の方がまず押さえておきたいのは主に次の3つです。
損益計算書(PL)は、「もうけの成績表」です。一定期間にどれだけ売上があり、どれだけ利益が出たかを表します。
貸借対照表(BS)は、「財産のスナップショット」です。ある時点で、会社が何を持っているか(資産)、返済義務のあるお金がどれくらいあるか(負債)、返済不要の自己資本がどれくらいあるか(純資産)を表します。
キャッシュ・フロー計算書(CF)は、「お金の出入りの記録」です。利益が出ていても、手元の現金が不足すると資金繰りが苦しくなります。CFを見ることで、実際に現金がどのように動いているかを確認できます。
CFは「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分かれます。初心者の方は、まず本業で現金を生み出せているかを示す営業活動によるキャッシュ・フローを見るところから始めるとよいでしょう。
損益計算書(PL)の読み方|5つの利益
PLでまず押さえたいのが、5つの利益です。売上高から費用を段階的に差し引いていくと、性質の異なる利益が順番に出てきます。
①売上総利益(粗利)=売上高-売上原価。商品やサービスそのものから生まれるもうけです。
②営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費(販管費)。本業でどれだけ稼げているかを示します。初心者の方が特に注目したい利益です。
③経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用。受取利息や支払利息など、本業以外で通常発生する損益を含めた、会社の総合的な実力を表します。
④税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失。臨時的な利益や損失を含め、税金を差し引く前の利益です。
⑤当期純利益=税引前当期純利益-法人税等。最終的に会社に残る利益です。
初心者の方は、まず営業利益に注目してみましょう。本業でしっかり稼げているかどうかは、会社の状態を知るうえでとても大切なポイントです。
貸借対照表(BS)の読み方|会社の財務体力を見る

BSは、左側に資産、右側に負債と純資産が並ぶ形で表されます。左側と右側の合計は必ず一致するため、バランスシートとも呼ばれます。
BSで見たいのは、会社の財務体力です。全体のうち、返済不要の資金である純資産がどれくらいあるかを見ることで、財務の安定性を大まかに確認できます。
また、短期的な支払いに対応できるかも大切です。手元の資金や近いうちに現金化できる資産(流動資産)で、近いうちに支払う必要のある負債(流動負債)をまかなえるかを確認しましょう。
数字力で見る|押さえておきたい3つの比率
決算書は、そのまま読むと数字が多くて分かりにくいものです。そこで役立つのが、数字を比率(割合)に直して見る方法です。まずは次の3つから押さえておきましょう。
| 比率 | 計算式 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 営業利益 ÷ 売上高 × 100 | 本業でどれだけ効率よく利益を出しているか |
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資産 × 100 ※初心者は純資産を目安に見てもOK |
財務の安定性 |
| 流動比率 | 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 | 短期の支払い余力 ※まずは100%を下回っていないか確認 |
ここで大切なのは、計算した比率を前年や同業他社と比べることです。単独の数字だけでは、良いのか悪いのか判断しにくいことがあります。比較してはじめて、その会社の変化や特徴が見えてきます。
この「割合にする」「比較する」という2つの考え方こそ、決算書を読むための基本的な数字力です。
決算書を読む順番|初心者におすすめの3ステップ
決算書をいきなり細かく読もうとすると、途中で迷いやすくなります。初心者の方は、次の順番で大まかに見るのがおすすめです。
ステップ1:売上高と営業利益を見る(PL)。
本業で売上を伸ばせているか、営業利益が出ているかを確認します。前年と比べて増えているか、減っているかも見てみましょう。
ステップ2:自己資本比率と流動比率を見る(BS)。
会社の財務が安定しているか、短期の支払いに無理がないかをざっくり確認します。
ステップ3:前年・同業他社と比べる。
比率は、比較してはじめて意味が見えてきます。「前年より改善しているか」「同業他社と比べて高いか低いか」を確認しましょう。
余裕があれば、営業活動によるキャッシュ・フローも見てみましょう。本業で現金を生み出せているかを確認できるため、利益だけでは見えない資金繰りの状態をつかみやすくなります。
この3ステップだけでも、「本業で稼げているのか」「財務は安定しているのか」といった大まかな判断がしやすくなります。細かい項目は、慣れてから少しずつ見ていけば大丈夫です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 簿記の資格がないと決算書は読めませんか?
いいえ。簿記の知識があると理解は深まりますが、決算書を「読む」だけであれば、必ずしも資格は必要ありません。まずは、売上高、営業利益、自己資本比率など、見る数字を絞るところから始めてみましょう。割合と比較の考え方があれば、経理以外の方でも十分に読み始められます。
Q2. 利益が出ているのに倒産することがあるのはなぜですか?
利益と現金の動きは、必ずしも一致しないからです。たとえば、売上が計上されても入金が後日になる場合、手元の現金が不足して支払いができなくなることがあります。これが、いわゆる「黒字倒産」です。だからこそ、PLの利益だけでなく、CFでお金の流れを見ることも大切です。
Q3. どの数字から見ればいいか、いつも迷います。
まずは、売上高・営業利益・自己資本比率の3つに絞ってみてください。慣れるまでは、すべての項目を理解しようとしなくて大丈夫です。見る数字を絞り、前年や同業他社と比べることが、決算書に強くなる近道です。
Q4. 和からでは、決算書の読み方をどのように学べますか?
和からでは、決算書を単なる知識として学ぶだけでなく、「仕事や経営の判断にどう使うか」までを大切にしています。割合や比較といった数字力の基礎から、自社の決算書、取引先の数字、KPI、投資判断など、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンで学べる点が特長です。
まとめ|決算書は「割合と比較」で読みやすくなる
決算書を読むのに、高度な数学は必要ありません。まずは、PL・BS・CFの役割を押さえ、PLでは営業利益、BSでは自己資本比率や流動比率に注目しましょう。
そして、数字を比率に直し、前年や同業他社と比較することが大切です。この「割合と比較」の数字力があれば、経理以外の方でも会社の数字を読み解きやすくなります。
今日のポイントをまとめます。
- 決算書は、まずPL・BS・CFの役割を押さえる
- 初心者は、売上高・営業利益・自己資本比率から見る
- 比率は、前年や同業他社と比較して判断する
- 利益だけでなく、現金の流れにも目を向ける
とはいえ、「自社や取引先の決算書を、実際に手を動かしながら読めるようになりたい」「数字を仕事や経営の判断に使えるようになりたい」という方も多いはずです。
和からの数トレ教室では、割合・比較といったビジネス数字の基礎から、決算書の読み方まで、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンでサポートしています。まずは無料カウンセリングで、身近な数字を一緒に読み解いてみませんか。
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監修:和から株式会社 堀口智之
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