機会費用と機会損出【経済用語をやさしく解説】
公開日
2022年10月31日
更新日
2024年8月4日
この記事の主な内容
機会費用・機会損出の意味
機会費用・機会損出とは経済学や管理会計上の考え方で、行動選択と収益に関しての概念です。
機会費用とは意思決定の際に自分が選ばなかった選択肢による利益を指します。
もしこの行動を選択していれば、~の利益が発生したという考え方です。
反対に、機会損出とはある行動を取らなかったために被る損出のことです。
もしこの行動が実行できていれば、~の利益が得られたという考え方です。
ちょっと違いが分かりづらいかもしれませんが、共通点としては、両方架空の利益について考えているという点があります。
機会費用の例
機会費用は代替案の利益の中で最大のものという意味です。
現実における機会費用の例として、投資があります。商品A、B、Cに投資するという選択肢があり、商品Aの利益は30、商品Bの利益は50、商品Cの利益は40です。これらの商品の中から、Aに対して投資するという意思決定をしたとしましょう。
このとき、代替案B、Cの中で最大の利益をもたらすのは商品Bの50になります。よって、この場合の機会費用は50です。Aに投資することによる利益(30)が機会費用を上回らないため、Aを選択することが最適ではないと分かります。
機会費用という概念はこのように金銭的に計算できる例の他に、「Bを選んだほうが楽しい」・「Cを選ぶと人脈が増える」などという主観的な効用も考えることが多いです。
機会損出の例
機会損出はある行動を取らなかったことで失った利益です。
例えば飲食業を例に見ると分かりやすいでしょう。客を呼び寄せることを考えた時、店を開放的な雰囲気にする・呼び込みを行う・SNSマーケティングを行う、などと様々な施策が考えられます。
例えば、SNSマーケティングを行うことによって追加で一日3人の客が増えると考えます。この時、SNSマーケティングを行わないことによる機会損出は3000円(客単価)×3(人)=9000円になります。
このように、機会損出を考えることで経営課題の解決の糸口が見えてきます。例えば在庫管理や需要予測を徹底させることによって、品切れによる機会損出はなくなります。
まとめ
機会費用・機会損出という考え方は、ビジネスで意思決定をする上で非常に重要な考え方です。機会損出を防ぐためのアイデアとして最近ではIoTを用いた在庫管理システムを導入する会社も増えてきました。また、機会費用を考えることによって金銭的な損益だけでなくステークホルダーとの関係性や将来顧客の獲得などを見据えて意思決定を行うことができます。
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<文/須藤>