【和から株式会社】統計超入門
公開日
2024年11月11日
更新日
2025年1月28日
和から株式会社で実施している無料セミナー「統計超入門セミナー」の冒頭です。
数式を使わずに統計学の概要をつかみたい方は、是非、セミナーにご参加ください。
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みなさん、本日は「統計超入門セミナー」にご参加いただきありがとうございます。本セミナーでは、統計学が全く初めての方でも理解できるように、基礎から丁寧に解説していきます。一方で、少し統計学を勉強した経験のある方にも新たな発見があるよう、特に「統計学の歴史」に焦点を当てながら進めていきます。
なぜ「歴史」に注目するのでしょうか?それは、統計学という学問がどのような必要性から生まれ、どのように発展してきたのかを知ることが、学びを深めるためのモチベーションになるからです。統計学は、単に数字や計算式の学問ではありません。その背景には、人類の発展や社会の変化といった壮大なストーリーがあります。
それでは早速、統計学の歴史から見ていきましょう!
この記事の主な内容
統計学の起源と「3つの柱」
統計学には、3つの大きな柱が存在し、それぞれの柱が統計学を形作る重要な要素となっています。
・国の実態を捉えるための統計
・大量の事象を捉えるための統計
・確率的事象を捉えるための統計
これらは、統計学がどのように誕生し、どのような目的で利用されてきたかを知るための鍵となります。それでは、これらの柱について順番に深掘りしていきます。
1. 国の実態を捉えるための統計
統計学の語源である「statistics」は、ラテン語の「status(ステータス)」に由来します。この言葉は「国家」や「状態」を意味し、統計学のルーツが国や社会の実態を把握するために生まれたことを示しています。
国勢調査の起源
統計学の最初の用途は、国勢調査です。最も古い国勢調査は、今から約5000年前の古代エジプトに遡ります。ピラミッドの建設時、労働力の規模や人口を把握するために実施されたと言われています。このように、統計学のルーツは古代文明に根ざしており、人類が国家や社会を効率的に運営するための基盤を築いていました。
日本では、奈良時代に施行された「班田収授法」に関連する調査が最も古い国勢調査の例とされています。この調査では、土地の配分や税の徴収を目的に、人口や農地の状況を記録していました。
ナポレオンと統計学
統計学の発展に大きく寄与した歴史的な人物の一人がナポレオンです。戦争を繰り返していた彼は、戦略を成功させるために「敵国の状況」と「自国の状況」の両方を詳細に把握する必要性を感じました。このため、フランスでは統計局が設立され、国家規模での統計データの収集と分析が進められました。
ナポレオンの時代を経て、統計学は国家運営の重要なツールとして確立されました。このように、「国の実態を捉える統計」は統計学の基盤を形成した重要な要素なのです。
2. 大量の事象を捉えるための統計
次に、大量の事象を捉えるための統計について考えてみましょう。この分野は、一見偶然に見える現象の中に規則性を見出し、それをデータに基づいて説明することを目的としています。
死亡率の統計とエドモンド・ハレー
その代表例が「死亡率の統計」です。17世紀のイギリスでは、教会での死亡記録が詳細に残されており、エドモンド・ハレー(ハレー彗星で有名な科学者)がこれらのデータを用いて、年齢と死亡率の関係を分析しました。
彼の研究により、「高齢になるほど死亡率が上がる」という今では当たり前に思える事実が明らかになりました。この発見は、生命保険の設計や保険料の算定に活用され、統計学の実用性が大きく進展するきっかけとなりました。
3. 確率的事象を捉えるための統計
統計学の3つ目の柱は、確率的事象を捉えるための統計です。この分野は、サイコロやカードゲーム、賭博といった娯楽が起源となっています。
確率論の発展
サイコロの出目やカードの引き方など、いかに勝率を高めるかを研究する中で、確率という概念が生まれました。当時の学者たちはこれを真剣に研究し、確率論が体系化されました。
今日では、確率論は統計学だけでなく、天気予報やリスク管理、機械学習など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。このように、不純な動機から始まった確率論が、現代の科学技術を支える重要な概念となったのです。
統計学の2つの分類
統計学は、大きく次の2つに分類されます。
記述統計学
記述統計学は、データを整理し、グラフや表を用いて特徴を視覚化する手法です。たとえば、平均値や中央値を計算したり、ヒストグラムを作成してデータの分布を確認したりすることが該当します。これは、データの傾向を理解するための第一歩となります。
推測統計学
一方、推測統計学は、サンプルデータから母集団全体の特性を推測する手法です。たとえば、アンケート調査で得られたサンプルデータをもとに、全人口の意見を推測することが含まれます。検定、相関分析、回帰分析などの高度な分析手法がこの分野に該当します。
なぜ歴史を学ぶべきか?
最後に、統計学の歴史を学ぶ意義についてお話しします。統計学を学ぶ際、数字や公式に直接取り組むだけでは、「なぜそれを学ぶのか」というモチベーションを見失いがちです。しかし、統計学がどのような背景や必要性から生まれたかを知ることで、その学問が持つ意味や重要性を深く理解することができます。
統計学の歴史には、国家運営から保険設計、確率論の発展まで、人類の進歩を支えた多くの物語が詰まっています。こうした背景を知ることで、統計学の学びがより面白く、実感を伴ったものになるはずです。