ROE、ROA、ROI【経済用語をやさしく解説】
公開日
2022年12月15日
更新日
2024年7月29日
この記事の主な内容
ROE、ROA、ROIとは
ROE(Return on Equity)は自己資本利益率や株式資本利益率と呼ばれ、自己資本と収益を比べる指標です。ROEは利益÷自己資本×100という計算式によって計算されます。
ROA(Return on Assets)は総資産利益率や総資本利益率と呼ばれ、総資産と収益を比べる指標です。ROAは利益÷総資産×100という計算式によって計算されます。
ROI(Return on Investment)は投資利益率や投下資本利益率と呼ばれ、特定の事業に用いた資本とその事業による収益を比べる指標です。ROIは利益÷投資額×100という計算式によって計算されます。
なぜこれらの指標は重要なのか?
ROE・ROA・ROIなどの指標は異なる会社を評価し、比較することを可能とします。また、これらの指標は似たような規模、成長率、マージンを持つ会社同士を比較した時に最も価値を発揮します。そのため、新進気鋭のベンチャー企業と安定して成熟した大手企業はこれらの指標でうまく比較できないことがあります。
ROE・ROA・ROIのそれぞれの指標を用いることで、自己資本・総資産・投資額に対してどれくらい効率的に利益を生み出すことができたかを測ることができます。このことから、これらの指標は原則的には高ければ高いほど良いと言われています。
指標の使い分け
はじめに、ROEの値は企業の資本構成によって操作可能であるという点に注意しなければなりません。企業は負債比率を変えることによって財務レバレッジというものが上がり、結果としてROEの値が高くなります。自己資本100万円で1万円稼ぐとROEは1%ですが、負債を900万円加えて、10万円稼いだとき自己資本は変わらないのでROEは10%になります。このため、実質的な稼ぐ力が同じであっても負債を増やすことによってROEを上げることができてしまいます。
ROEはこのように株主が出資した額に対してのリターンが評価されるため、主に株主や投資を検討する投資家が重視します。反対に、ROAは負債も含めた総資産に対する収益性を評価するため幅広く利害関係者に利用されます。
また、ROAは業種ごとに収益構造が異なるため、異業種での比較には向きません。業界によって必要な設備や在庫が違うので、ROAを用いる場合は業界内での比較を行うのが良いです。ROEは異業種間で比較できるという強みがあります。
まとめ
これらの3つのファイナンス指標は略称が似ているため混同してしまうかもしれません。
ROEはReturn on Equity(株式)、ROAはReturn on Assets(資産)、ROIはReturn on Investment(投資)という言葉の略称です。それぞれEquity, Assets, Investmentの意味を覚えれば簡単に3つの指標を判別することができます。また、Returnとは日本語のリターンと同じ意味で収益のことを指しますので、これらのすべての指標が収益に関連していると分かります。
参考:ROE、ROA、ROI【経済用語をやさしく解説】-大人の数トレ教室
<文/須藤>