相対リスクとオッズ比の違い|検査・効果データの読み方をやさしく
公開日
2026年7月22日
更新日
2026年7月13日
この記事の主な内容
この記事のポイント
- 相対リスク(RR)は「何倍起こりやすいか」を表す、直感的に分かりやすい指標
- オッズ比(OR)は「起きた数 ÷ 起きなかった数」であるオッズ同士を比べる指標
- どちらも2×2の表(要因あり/なし × 起きた/起きない)から計算できる
- まれな出来事ではRR≒ORだが、よくある出来事ではORとRRの差が大きくなりやすい
- 健康記事やニュースでORをRRのように誤読しないことが大切
- 和からならではの、計算だけでなく「数字の読み解き方・伝え方」まで学ぶ視点
「この習慣で発症リスクが2倍に」「あの食品でリスクが下がる」——健康やビジネスのニュースで、このような「○倍」という数字を見かけることがあります。
ただし、この“○倍”という表現には、相対リスクとオッズ比という、似ているようで意味の違う2つの指標が混ざっていることがあります。違いを知らないまま読むと、リスクや効果を実際より大きく受け取ってしまうことがあるため、少し注意が必要です。
この記事では、相対リスクとオッズ比の違いを、2×2の表と具体例でやさしく解説します。どちらをいつ使うのか、なぜ数字がずれるのか、そして数字にだまされないための読み方までを、累計3万人以上の学びを支援してきた和からの視点でお伝えします。
そもそも「リスク」と「オッズ」は何が違う?
まずは、土台になる2つの言葉を整理しましょう。どちらも「起こりやすさ」を表す言葉ですが、計算するときに見ているものが違います。
リスクとオッズの違い|100人中20人に起きた場合
| 用語 | 意味 | 計算例 |
|---|---|---|
| リスク(確率) | 全体のうち、何件起きたか | 20人 ÷ 100人 = 20%(0.2) |
| オッズ | 起きた件数 ÷ 起きなかった件数 | 20人 ÷ 80人 = 0.25 |
リスクは、日常で使う「確率」とほぼ同じ感覚です。100人中20人に起きたなら、リスクは20%です。
一方、オッズは「起きた人」と「起きなかった人」の比で表します。同じ100人中20人に起きた場合でも、起きなかった人は80人なので、オッズは20÷80=0.25です。
このように、リスクとオッズはどちらも起こりやすさを表しますが、何を分母にしているかが違うため、同じデータでも数字が変わります。
相対リスク(RR)とは|「何倍起こりやすいか」

図:2×2の表と相対リスク・オッズ比
相対リスク(RR)は、2つのグループのリスク(確率)を割り算したものです。「ある要因があるグループ」と「ないグループ」で、結果の起こりやすさが何倍違うかを表します。
例で見てみましょう。ある習慣を続けたグループと続けなかったグループ、それぞれ100人で「改善した人数」を調べたとします。
| 改善した | 改善しなかった | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 習慣あり | 20人 | 80人 | 100人 |
| 習慣なし | 10人 | 90人 | 100人 |
相対リスクの計算手順
-
STEP 1:習慣ありグループのリスクを計算する
20人 ÷ 100人 = 20%(0.2) -
STEP 2:習慣なしグループのリスクを計算する
10人 ÷ 100人 = 10%(0.1) -
STEP 3:2つのリスクを割り算する
20% ÷ 10% = 2.0
この場合、相対リスクは2.0です。つまり、「習慣がある人は、ない人に比べて2倍改善しやすい」と読むことができます。
相対リスクは、確率同士を比べるため、直感的に理解しやすいのが特徴です。
オッズ比(OR)とは|オッズ同士を比べる指標
オッズ比(OR)は、2つのグループのオッズを割り算したものです。先ほどと同じ表で計算してみましょう。
オッズ比の計算手順
-
STEP 1:習慣ありグループのオッズを計算する
改善した20人 ÷ 改善しなかった80人 = 0.25 -
STEP 2:習慣なしグループのオッズを計算する
改善した10人 ÷ 改善しなかった90人 = 約0.111 -
STEP 3:2つのオッズを割り算する
0.25 ÷ 0.111 = 約2.25
この場合、オッズ比は約2.25です。相対リスクは2.0だったので、同じデータでも少し違う数字になることが分かります。
「それなら、分かりやすい相対リスクだけを使えばいいのでは?」と思うかもしれません。けれど、オッズ比が必要になる場面もあります。
代表的なのが、結果から原因をさかのぼる調査(症例対照研究)です。たとえば、先に「発症した人」と「発症していない人」を集め、そのあとで過去の生活習慣や要因を調べるような研究では、リスク(確率)を直接計算しにくいことがあります。このような場合に、オッズ比が使われます。
また、ロジスティック回帰という統計分析でも、結果はオッズ比として解釈されることが多くあります。
2×2表で整理する|相対リスクとオッズ比の公式
相対リスクとオッズ比は、どちらも次のような2×2表から計算できます。
| 起きた | 起きなかった | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 要因あり | a | b | a+b |
| 要因なし | c | d | c+d |
2×2表から計算するときの公式
相対リスク(RR)
要因ありのリスク ÷ 要因なしのリスク
RR = [a ÷ (a+b)] ÷ [c ÷ (c+d)]
オッズ比(OR)
要因ありのオッズ ÷ 要因なしのオッズ
OR = (a ÷ b) ÷ (c ÷ d) = ad ÷ bc
公式だけ見ると少し難しく感じるかもしれませんが、考え方はシンプルです。相対リスクは「全体のうち何件起きたか」を比べ、オッズ比は「起きた件数と起きなかった件数の比」を比べています。
相対リスクとオッズ比の違い|早見表
2つの指標の違いを整理すると、次のようになります。
| 相対リスク(RR) | オッズ比(OR) | |
|---|---|---|
| 計算のもと | リスク(確率)の比 | オッズの比 |
| 意味 | 何倍起こりやすいか | オッズが何倍か |
| 直感的な分かりやすさ | 高い | やや低い |
| よく使う場面 | 前向き調査・効果検証 | 症例対照研究・ロジスティック回帰 |
| 注意点 | 元のリスクの大きさも確認する | 相対リスクのように読まない |
数字にだまされない読み方|ORは「1から離れて」見えやすい
ここが、今回の記事でもっとも大切なポイントです。
先ほどの例では、相対リスクは2.0、オッズ比は約2.25でした。つまり、同じデータでも、オッズ比のほうが効果が強く見えることがあります。
注意:ORはRRより「1から離れて」見えやすい
「オッズ比は相対リスクより必ず大きい」と言い切ると、厳密には正しくありません。より正確には、オッズ比は相対リスクより1から離れて見えやすい指標です。リスクが上がる方向では大きめに、リスクが下がる方向では小さめに見えやすくなります。
一方で、めったに起こらない出来事では、相対リスクとオッズ比はかなり近い数字になります。発症率が数%以下のような場合は、OR≒RRと考えて差し支えない場面もあります。
問題になりやすいのは、よくある出来事なのに、オッズ比を「○倍起こりやすい」と相対リスクのように伝えてしまうケースです。これでは、リスクや効果を実際より大きく受け取ってしまうことがあります。
ニュースや健康記事で「リスク○倍」という表現を見たら、それは相対リスクなのか、オッズ比なのかを意識して読むことが大切です。
もう一つの例|よくある出来事だと差が開く
オッズ比と相対リスクの差は、「よくある出来事」ほど大きくなりやすいです。
たとえば、ある施策を受けたグループでは60%、受けなかったグループでは40%が「購入した」とします。
購入率60%と40%の場合
相対リスク
60% ÷ 40% = 1.5倍
オッズ比
施策ありのオッズ:60 ÷ 40 = 1.5
施策なしのオッズ:40 ÷ 60 = 約0.667
1.5 ÷ 0.667 = 約2.25倍
同じデータでも、相対リスクでは1.5倍、オッズ比では約2.25倍になります。
このオッズ比を見て「購入する確率が2.25倍になった」と伝えてしまうと、効果を大げさに表現してしまいます。正しくは、「購入オッズが約2.25倍」です。
少し細かい違いに見えるかもしれませんが、実務やニュースの読み解きではとても重要です。
ニュースで「リスク○倍」を見たときの確認ポイント
健康記事やニュースでは、数字が印象的に見える形で紹介されることがあります。そんなときは、次の順番で確認すると、数字を落ち着いて読みやすくなります。
「リスク○倍」を見たときの3ステップ
-
STEP 1:その数字は相対リスクか、オッズ比かを確認する
「リスク」と書かれていても、実際にはオッズ比の場合があります。 -
STEP 2:元のリスクがどれくらいかを見る
1%が2%になるのと、40%が80%になるのでは、同じ「2倍」でも意味が大きく違います。 -
STEP 3:絶対的な差も確認する
「何倍か」だけでなく、「何ポイント増えた/減ったのか」も見ると、実感に近い判断ができます。
たとえば、「リスクが2倍」と聞くと、とても大きく感じます。しかし、元のリスクが1%で、それが2%になった場合、相対的には2倍でも、絶対的な差は1ポイントです。
数字を読むときは、「何倍か」だけでなく、「もともとどれくらいの確率だったのか」をあわせて見ることが大切です。
実務・日常での使いどころ
相対リスクとオッズ比は、医療や健康分野だけの話ではありません。2つのグループで結果の起こりやすさを比べたい場面で広く使えます。
| 分野 | 調べたい例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| マーケティング | 施策を受けた人は購入しやすいか | 購入率・購入オッズの比較 |
| 人事 | 研修を受けた人は定着しやすいか | 定着率の違い |
| 医療・健康 | ある習慣と発症の関係があるか | 発症率・発症オッズの比較 |
| 品質管理 | ある対策で不良発生が減ったか | 不良率の変化 |
基本的には、直感的に伝えたい場合は相対リスクが分かりやすいです。一方で、症例対照研究やロジスティック回帰を使う場合は、オッズ比として結果を読むことが多くなります。
数字を伝えるときは、「何を分母にした“○倍”なのか」を一言添えると、誤解を防ぎやすくなります。
実務での伝え方|言い切りすぎないのが大切
相対リスクやオッズ比をレポートや会議で使うときは、数字をそのまま強く言い切らないことも大切です。
避けたい表現
「オッズ比が2.25なので、この施策を行うと購入率が2.25倍になります。」
おすすめの表現
「この施策を受けたグループでは、購入オッズが約2.25倍でした。ただし、購入率そのものの比較や、他の要因の影響もあわせて確認する必要があります。」
このように、「どこまで言えるのか」「どこから先は追加の検証が必要なのか」を分けて伝えると、数字を正しく活用しやすくなります。
和からならでは|計算だけでなく「数字の読み解き方」まで学ぶ
相対リスクやオッズ比は、公式に当てはめれば計算できます。けれど、実務で本当に大切なのは、出てきた数字をどう読み、どう伝え、どう判断につなげるかです。
和からでは、統計指標をただ暗記するのではなく、「分母は何か」「何と何を比べているのか」「その数字からどこまで言えるのか」といった、数字の読み解き方を大切にしています。
たとえば、同じ「リスクが2倍」という表現でも、相対リスクなのか、オッズ比なのか、元のリスクが何%なのかによって、受け取り方は変わります。こうした違いを理解できると、健康記事やニュースだけでなく、マーケティング・人事・医療・研究データなど、さまざまな場面で数字を落ち着いて扱えるようになります。
和からの統計・データ分析教室では、こうした統計指標の意味から、Excelでの集計、実務データの読み解き、ロジスティック回帰などの分析まで、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンで学ぶことができます。
「公式は見たことがあるけれど、実務でどう使えばいいか分からない」「自社データでリスクや効果を正しく比較したい」という方にとって、計算と解釈をつなげて学べることは、和からならではの特長です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、相対リスクとオッズ比のどちらを使えばいいですか?
前向きにデータを集められる場合、たとえば「要因あり/なしのグループを追跡して結果を見る」ような調査では、直感的に分かりやすい相対リスクが向いています。一方、すでに結果が出た人から過去の要因をさかのぼる調査や、ロジスティック回帰を使う場合は、オッズ比として結果を読むことが多くなります。目的と調査の形によって使い分けましょう。
Q2. オッズ比が1だと、どういう意味ですか?
オッズ比が1の場合は、2つのグループで差がない、つまり関係が見られないという意味です。1より大きければ起こりやすい方向、1より小さければ起こりにくい方向と読みます。相対リスクも同じく、1が「差なし」の基準です。
Q3. なぜオッズという少し分かりにくい指標を使うのですか?
リスクを直接計算しにくい調査設計でも使えることや、ロジスティック回帰と相性がよいことが大きな理由です。直感的には相対リスクのほうが分かりやすいですが、研究や実務の分析ではオッズ比が必要になる場面があります。
Q4. 「相対リスク減少(RRR)」とは何ですか?
相対リスク減少は、「相対リスクがどれだけ下がったか」を%で表したものです。たとえば、相対リスクが0.8なら、相対リスク減少は20%です。ただし、「リスク20%減」と聞くと大きく感じますが、元のリスクが小さい場合、実際の差はわずかなこともあります。ここでも、絶対的な差を見ることが大切です。
Q5. ニュースで「リスクが○倍」と見たら、何を確認すればいいですか?
まず、その数字が相対リスクなのかオッズ比なのかを確認しましょう。次に、元のリスクがどれくらいだったのかを見ます。最後に、「何倍か」だけでなく「何ポイント増えた/減ったのか」という絶対的な差も確認すると、数字をより正確に受け取れます。
Q6. 和からでは、自社データで相対リスクやオッズ比を相談できますか?
はい。目的やデータの形に合わせて、どの指標を見るとよいか、どのように表を作るとよいか、結果をどう解釈すればよいかを相談できます。必要に応じて、Excelでの集計やロジスティック回帰など、実務に合わせた分析方法まで学ぶことができます。
まとめ|「何の比か」を見抜けば迷わない
相対リスクは、リスク(確率)の比で「何倍起こりやすいか」を表します。一方、オッズ比は、起きた件数と起きなかった件数の比であるオッズ同士を比べる指標です。
まれな出来事では相対リスクとオッズ比は近い数字になりますが、よくある出来事では差が大きくなりやすく、オッズ比を相対リスクのように読むと、効果やリスクを大きく見積もってしまうことがあります。
今日から意識したいポイントは、次の3つです。
- リスク=全体に対する割合、オッズ=起きた件数÷起きなかった件数と整理する
- 直感的に伝えるなら相対リスク、調査設計や分析手法によってはオッズ比を使う
- 「○倍」を見たら、相対リスクかオッズ比か、元のリスクはいくつかを確認する
とはいえ、「自社のデータでこの2つをどう使い分けるか」「ロジスティック回帰まで踏み込みたい」という方も多いはずです。和からの統計・データ分析教室では、こうした指標の使い分けから実務の分析まで、一人ひとりの目的に合わせてマンツーマンでサポートしています。まずは無料カウンセリングで、お手元のデータの読み解き方を一緒に整理してみませんか。
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監修:和から株式会社 堀口智之
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