偏差値の計算方法とは?求め方の式・意味・注意点をやさしく解説【統計学】
公開日
2024年10月13日
更新日
2026年7月26日
受験や模試でおなじみの偏差値。「偏差値60はすごい」「偏差値50が平均」といった感覚は多くの方が持っていますが、どうやって計算しているのか、そして何を意味している数字なのかまで説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、偏差値の計算式とその意味を、実際の数値例を使いながらやさしく解説します。あわせて、偏差値を読むときに間違えやすいポイントや、Excelでの求め方も紹介します。
この記事の主な内容
この記事のポイント
・偏差値=(自分の点数−平均点)÷標準偏差×10+50
・偏差値は「平均が50、標準偏差が10」になるようにデータを変換したもの
・偏差値60は上位およそ15.9%、偏差値70は上位およそ2.3%(正規分布の場合)
・受ける集団が違えば偏差値は比較できない。0未満や100超えも理論上ありうる
結論|偏差値の計算式
偏差値 = (自分の点数 − 平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50
この式がやっているのは、「平均からどれだけ離れているかを、標準偏差何個分で測る」ことだけです。それを10倍して50を足すことで、平均が50・標準偏差が10の見やすい数字に変換しています。
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偏差値とは何か
偏差値とは、自分の成績が集団の中でどのあたりに位置しているかを数値化したものです。
なぜ点数そのままではいけないのでしょうか。たとえば「70点」と聞いても、それが良い成績かどうかは分かりません。平均が40点の難しいテストなら大健闘ですが、平均が90点のやさしいテストなら苦戦しています。点数だけでは、テストの難易度や集団のばらつきが分からないのです。
そこで、平均点からどれだけ離れているかを、ばらつきの大きさ(標準偏差)を基準にして測り直したものが偏差値です。
| 偏差値 | 意味 |
|---|---|
| 50 | ちょうど平均と同じ |
| 50より大きい | 平均より良い成績 |
| 50より小さい | 平均より低い成績 |
| 60 | 平均より標準偏差1個分だけ上 |
| 40 | 平均より標準偏差1個分だけ下 |
偏差値の計算方法|3ステップ
手順はシンプルです。
① 平均点を求める
② 標準偏差を求める(点数のばらつきの大きさ)
③ 式に当てはめる
偏差値 = (X − 平均) ÷ 標準偏差 × 10 + 50
Xは自分の点数です。式の前半(X−平均)÷標準偏差の部分をz得点(標準化得点)と呼び、「平均からの距離が標準偏差の何倍か」を表しています。z得点を10倍して50を足したものが偏差値です。
実際に計算してみよう
5人が受けたテストの点数が、30点・50点・60点・70点・90点だったとします。
ステップ1:平均を求める
(30+50+60+70+90) ÷ 5 = 60点
ステップ2:標準偏差を求める
平均との差は −30、−10、0、+10、+30。それぞれ2乗すると900、100、0、100、900。合計2000を5で割ると分散は400。その平方根をとって、標準偏差は20です。
ステップ3:式に当てはめる
| 点数 | 平均との差 | ÷標準偏差(20) | ×10+50 | 偏差値 |
|---|---|---|---|---|
| 30点 | −30 | −1.5 | −15+50 | 35 |
| 50点 | −10 | −0.5 | −5+50 | 45 |
| 60点 | 0 | 0 | 0+50 | 50 |
| 70点 | +10 | +0.5 | +5+50 | 55 |
| 90点 | +30 | +1.5 | +15+50 | 65 |
平均点をとった人がちょうど偏差値50になっていることを確認してください。また、点数の差(30点→90点で60点差)が、偏差値では35→65の30の差になっています。元のデータの形はそのままに、目盛りだけを付け替えているのが偏差値です。
偏差値と順位の関係
点数の分布が正規分布(左右対称の釣鐘型)に近い場合、偏差値からおおよその順位が分かります。
| 偏差値 | 平均からの位置 | 上位およそ | 100人中の順位の目安 |
|---|---|---|---|
| 70 | +標準偏差2個分 | 2.3% | 約2位 |
| 65 | +1.5個分 | 6.7% | 約7位 |
| 60 | +1個分 | 15.9% | 約16位 |
| 55 | +0.5個分 | 30.9% | 約31位 |
| 50 | 平均 | 50.0% | 約50位 |
| 45 | −0.5個分 | 69.1% | 約69位 |
| 40 | −1個分 | 84.1% | 約84位 |
この対応表が使えるのは、あくまで点数の分布が正規分布に近いときです。極端に難しいテストや、満点が続出するテストでは分布が偏るため、この目安は当てになりません。
偏差値を読むときの4つの注意点
① 集団が違えば比較できない
これがもっとも重要です。偏差値は「その集団の中での位置」を表す数字なので、受験者層が違うテストの偏差値を比べても意味がありません。難関大学志望者ばかりが受ける模試の偏差値55と、幅広い層が受ける模試の偏差値55では、実力がまったく違います。
② 100を超えることも、0を下回ることもある
偏差値は0〜100の範囲に収まる、と誤解されがちですが、そのような制限はありません。式を見れば分かるとおり、平均から標準偏差5個分離れていれば偏差値は100になります。実際、受験者の大半が低得点のテストで1人だけ満点をとると、偏差値が100を超えることがあります。
③ 人数が少ないと不安定になる
数人しか受けていないテストでは、1人の点数が平均と標準偏差を大きく動かすため、偏差値はあてになりません。上の例でも、90点の人が100点だったら全員の偏差値が変わります。
④ 分布の形が偏っていると解釈しにくい
正規分布から大きく外れた分布(極端に易しい・難しいテストなど)では、偏差値と実際の順位がずれます。偏差値60でも上位30%ということがありえます。
偏差値は便利な指標ですが、「誰と比べているのか」「何人が受けたのか」「分布はどんな形か」——この3つを確認せずに数字だけを見ると、判断を誤ります。
Excelで偏差値を求める方法
手計算をしなくても、Excelなら数式ひとつで求められます。点数がB2からB11に入っている場合の例です。
| 求めるもの | 数式 |
|---|---|
| 平均 | =AVERAGE(B2:B11) |
| 標準偏差 | =STDEV.P(B2:B11) |
| 偏差値 | =(B2-AVERAGE($B$2:$B$11))/STDEV.P($B$2:$B$11)*10+50 |
| z得点 | =STANDARDIZE(B2,AVERAGE($B$2:$B$11),STDEV.P($B$2:$B$11)) |
偏差値のセルは、下方向にコピーすれば全員分が一度に出せます(平均と標準偏差の範囲は$で固定しておくのがポイントです)。
標準偏差の関数にはSTDEV.P(母集団)とSTDEV.S(標本)の2種類があります。クラス全員など「対象者すべて」のデータならSTDEV.Pを使います。一般的な偏差値の計算もこちらです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 偏差値の計算式を教えてください。
偏差値=(自分の点数−平均点)÷標準偏差×10+50 です。前半の(点数−平均)÷標準偏差はz得点と呼ばれ、平均からの距離が標準偏差何個分かを表します。それを10倍して50を足すことで、平均50・標準偏差10の数字に変換しています。
Q2. 偏差値60はどのくらいすごいのですか?
点数の分布が正規分布に近い場合、偏差値60は上位およそ15.9%にあたります。100人中16位前後というイメージです。偏差値70なら上位2.3%、およそ100人中2位程度になります。ただし受験者層によって意味は変わります。
Q3. 偏差値は100を超えることがありますか?
あります。偏差値の式には上限も下限もありません。平均から標準偏差5個分離れていれば偏差値は100、それ以上離れれば100を超えます。受験者の大半が低得点のテストで1人だけ高得点をとった場合などに実際に起こります。
Q4. 違う模試の偏差値を比べてもよいですか?
おすすめできません。偏差値はその試験を受けた集団の中での位置を表す数字なので、受験者層が違えば同じ偏差値でも実力は異なります。難関校志望者中心の模試と、幅広い層が受ける模試とでは、偏差値55の意味がまったく違います。
まとめ|偏差値は「目盛りを付け替えた点数」
偏差値の正体は、点数を平均50・標準偏差10という共通のものさしに載せ替えたものです。計算式は(点数−平均)÷標準偏差×10+50。この式さえ分かっていれば、Excelでも手計算でも求められます。
大切なのは、偏差値が「集団の中での位置」を表す相対的な数字だという点です。受ける集団が変われば偏差値も変わりますし、人数が少なければ不安定になります。数字そのものより、「誰と比べた数字なのか」を意識して読むことが、正しい解釈につながります。
偏差値の背後にある平均・分散・標準偏差の考え方は、ビジネスのデータ分析でもそのまま使えます。売上のばらつき、品質のばらつき、顧客満足度の分布——同じ道具で読み解けるようになります。
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