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「先生、微分の計算がわかりません!」—合成関数の微分を理解する物語

公開日

2025年2月13日

更新日

2025年2月13日

みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡﨑です。

和からでは、学びに来る皆様のさまざまな「分からない」に答えるべく日々授業を行っています。今回はその中の一つ、合成関数の微分についての話をご紹介しましょう。

1.「先生、微分の計算がわかりません!」

Aさん:微分の計算を勉強しているんですが、この計算の意味が分かりません!

\begin{align*}
(g(f(x))’=g’(f(x))\times f’(x)
\end{align*}

先生:合成関数の微分を計算するための式ですね。複雑で、式だけ見ても意味が分かりづらいですよね。

Aさん:普通の多項式ならわかるんです。たとえば、

\begin{align*}
(x^3)’=3x^2
\end{align*}

Aさん:こういうのは納得できます。でも、こんな式になると意味がわからなくなるんです。

\begin{align*}
((3x^2+2)^4)’=4(3x^2+2)^3\cdot 6x
\end{align*}

Aさん:この後ろにくっついている謎の\(6x\)はどこから出てきたんですか!?

先生:なるほど。確かに、一見すると不思議に思うかもしれないですね。

先生:これは、 “変化の連鎖“をイメージするといいですよ。

Aさん:変化の連鎖……?

2.微分を変化の連鎖ととらえる

先生:例えば、ある社員の日給を\(x\)円とすると、月収\(f(x)\)はいくらになりますか?

Aさん:えーっと、1か月に20日くらい働くとして\(f(x)=20x\)ですね。

先生:そうですよね。では、年収\(g(f)\)は?

Aさん:年収は12か月分だから、ボーナスはいったん考えずに計算するなら\(g(f)=12f\)です。

先生:いいですね。では、Aさんの日給が1,000円上がったら、年収がいくら増えるか考えてみましょう。まず、月収は何円増えますか?

Aさん:えーっと、まず月収が…… 20×1,000=20,000円増えます。

先生:そうですね。 じゃあ、月収が20,000円増えたら、年収は?

Aさん:12×20,000=240,000円増えます!やった!

先生:この計算は、実は先ほどの合成関数の微分と同じです。

先生:日給 \(x\)の変化が月収\(f(x)\)の変化\(f’(x)\)を生み、それがさらに年収\(g(f)\)の変化\(g’(f(x))\)を生む。

先生:つまり、

\begin{align*}
(g(f(x))’=g’(f(x))\times f’(x)
\end{align*}

Aさん:月収の変化\(f’(x)\)にあたるのが謎の\(6x\)の正体だったんですね!

先生:その通りです。 直接年収の変化を求めるのではなく、まず月収の変化を考え、それを使って年収の変化を求める。

Aさん:なるほど……つまり、変化が一気に伝わるんじゃなくて、段階的に影響していくから、それを掛け算する必要があるってことですね!合成関数の微分、少し納得できてきました!

先生:よかったです!数学も、日給の計算も、『変化のつながり』を考えることが大事ですね。

3.さいごに

身の回りのちょっとしたことに置き換えることで、数学はもっと身近に、理解して活用することができるようになります。

和からでは、こうした高校や大学以上の数学を個別授業形式で学習することができます。お客様に合った授業が実現できるように柔軟に対応することができますので、個別授業に興味のある方はぜひ一度無料カウンセリングにご参加ください!

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<文/岡﨑 凌>

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