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数学の公式暗記から卒業!自分で導き出せるようになる方法

公開日

2025年3月2日

更新日

2025年2月27日

みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡﨑です。

和からでは、学びに来る皆様のさまざまな「分からない」に答えるべく日々授業を行っています。

今回はその中の一つ、三角関数を学びはじめた方との授業風景の一部をご紹介。

1.「公式が多すぎて覚えきれない!」

Aさん:先生、三角関数の公式が多すぎて、何が何だかわからなくなりました!

先生:確かに三角関数に関する公式は倍角、半角、合成などたくさんあって、全部覚えるのは大変ですよね。

Aさん:百歩譲って覚えたとしても、いざ計算問題を目の前にしてうまく使いこなせる気がしませんよ…

先生:それぞれの公式を覚えても、実際の問題では「半角の公式を使いましょう!」とは言ってくれないですからね。

先生:でも、実は三角関数に関連する公式は加法定理から簡単に計算できるものも多いので、加法定理をしっかり理解すれば自分で公式を導き出せるようになりますよ

Aさん:自分で公式を導くって響きがちょっとかっこいい…!

先生:しかも、自分で計算すると式の形が頭に残りやすいので、問題を解くときに「この式は使えるかな?」と着想しやすくなるのでおすすめです。

Aさん:自分で解けるようになりたいです!

先生:それでは、具体的に見てみましょうか。

2.加法定理とは?

先生:まず、加法定理はどんな式か覚えてますか?

Aさん:教科書で見たような気はするけど、どんなんだったっけ…?

先生:大丈夫ですよ。加法定理は角を足したり引いたりしたときの三角関数の値を求めるための公式です。

先生:教科書にはこのように書いていることが多いですね。

\[
\sin(\alpha + \beta) = \sin(\alpha)\cos(\beta) + \cos(\alpha)\sin(\beta)
\]

\[
\cos(\alpha + \beta) = \cos(\alpha)\cos(\beta) – \sin(\alpha)\sin(\beta)
\]

Aさん:あったあった!

先生:\( \alpha \)と\( \beta \)はそれぞれ角度を表します。例えば、\( \alpha = 60^\circ \)、\( \beta = 30^\circ \)として、\( \sin(60^\circ + 30^\circ) \)を計算してみましょう。

\[
\begin{aligned}
\sin(60^\circ + 30^\circ)
&= \sin(60^\circ)\cos(30^\circ) + \cos(60^\circ)\sin(30^\circ) \\
&= \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)
+ \left(\frac{1}{2}\right)\left(\frac{1}{2}\right) \\
&= \frac{3}{4} + \frac{1}{4} \\
&= 1
\end{aligned}
\]

Aさん:\( \sin(90^\circ) \)は\( 1 \)になるので、正しく計算できていますね。

先生:そうですね。\( \alpha \)と\( \beta \)がどんな角度でもこれらの式は成り立ちます。

Aさん:なるほど…でも、この定理が他の公式を求めるのにどう役に立つのかまだイメージできていません。

先生:心配いりませんよ。ここから加法定理を使って計算していきましょう。

3.加法定理で公式を自作する

先生:では、加法定理を使って三角関数の公式と呼ばれているものを計算してみましょう。教科書に載っていた公式で何か覚えているものはありますか?

Aさん:名前だけなら…例えば倍角の公式とか?

先生:いいですね、\( \sin \)関数の倍角の公式は、例えば次のように表されます。

\[
\sin(2\theta) = 2\,\sin\theta \cos\theta
\]

先生:倍角の定理は、名前の通り左辺の\( \sin \)関数が\( 2\theta \)となっています。

Aさん:この式がさっきの加法定理と関係があるんですか?

先生:もちろんです。先ほどの\( \sin \)関数の加法定理で、\( \alpha \)と\( \beta \)をどちらも\( \theta \)にしたら\( \sin(\alpha + \beta) \)はいくつになりますか?

Aさん:どっちも\( \theta \)になるということは…

\[
\sin(\alpha + \beta)
\quad = \sin(\theta + \theta)
\quad = \sin(2\theta).
\]

Aさん:倍角になってる…!

先生:その通りです。あとは順を追って計算すれば二倍角の公式になります。

\[
\begin{aligned}
\sin(2\theta)
&= \sin(\theta + \theta) \\
&= \sin(\theta)\cos(\theta) + \cos(\theta)\sin(\theta) \\
&= 2\,\sin(\theta)\cos(\theta).
\end{aligned}
\]

先生:\( \cos \)関数の二倍角や、半角の公式、三角関数の合成なども同じように加法定理から計算することができます。

Aさん:公式って、暗記するものだと思っていましたが、自分で計算して作れるんですね!

先生:公式を暗記することももちろん大事ですが、順を追って理解することで記憶違いが減らせますし、何より自分で計算して理解することで問題を解く際に「この形は倍角の公式で変形できるかも!」と考えることができるようになります。

Aさん:覚えた公式を組み合わせることで、より理解を深められそうですね!

4.まとめ

Aさん:つまり、

  • 加法定理を知っていれば、倍角の公式は作れる!
  • 半角の公式や三角関数の合成も自分で作れる!
  • 公式どうしの関係が分かれば、すっきり整理できて理解しやすくなる!
  • Aさん:今までただ暗記しようとしていましたが、公式のつながりが見えてきました!

    先生:いいですね。三角関数に限らず、自分で計算を進められるようになるには、暗記だけに頼らず自分で公式を作り出せるようにしっかり理解すると問題を解きやすくなりますので早速練習して見ましょう!

    5.さいごに

    数学は、ただの暗記ではなく、理解すればもっとシンプルになります。

    一つの考え方をしっかり身につければ、多くのことを自分の力で導き出せるようになります。

    そんな 「公式の本質を知りたい!」と思った方は、ぜひ私たちの学びの場へ!

    一緒に楽しく数学を深めていきましょう!

    和からでは、こうした高校や大学以上の数学を個別授業形式で学習することができます。お客様に合った授業が実現できるように柔軟に対応することができますので、個別授業に興味のある方はぜひ一度無料カウンセリングにご参加ください!

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    <文/岡﨑 凌>

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