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入試問題で数学を楽しもう!~三角比編~

公開日

2024年2月7日

更新日

2024年2月7日


みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡本です。今回は前回に引き続きの「三角比」や図形に関する入試問題を解いていきたいと思います。

1.1991年北海道大学

三角形ABC\angle A=120°, AB\cdot AC=1を満たす。\angle Aの二等分線とBCとの交点をDとする。
(1)AB=xと置いて、ADxで表せ。
(2)xが動くとき、ADの最大値とそのときのxの値を求めよ。

図形問題はとりあえず下手でもいいので絵を描くことがポイントです。まず\angle A=120°を意識した三角形ABCを描いてみます。次に二等分線を引いて、BCとの交点Dを描きます。

(1)から考えましょう。AB=xとすると、AB\cdot AC=1であることからAC=\frac{1}{x}となります。そして、求めたいのはADの長さですので、これをyと置いておきましょう。いろんな求め方があるかもしれませんが、せっかく、120°や二等分にした60°の情報もあるので、「三角形の面積」に注目していくことにします。図より、三角形ABCの面積は三角形ABDと三角形ACDの面積の合計に等しいことがわかります。また、三角形の面積は2つの辺の長さとその間の角度の「サイン」を使うことで計算することができます。これにより、
\begin{align*} &[\text{三角形}ABC\text{の面積}]=\frac{1}{2}AB\cdot AC \sin (120°)=\frac{\sqrt{3}}{4}\\ &[\text{三角形}ABD\text{の面積}]=\frac{1}{2}AB\cdot AD \sin (60°)=\frac{xy\sqrt{3}}{4}\\ &[\text{三角形}ACD\text{の面積}]=\frac{1}{2}AD\cdot AC \sin (60°)=\frac{y\sqrt{3}}{4x} \end{align*}
したがって、
\begin{align*} \frac{xy\sqrt{3}}{4}+\frac{y\sqrt{3}}{4x}=\frac{\sqrt{3}}{4}\Leftrightarrow xy+\frac{y}{x}=1\Leftrightarrow y=\frac{x}{x^2+1} \end{align*}
であることが求まりました。
(2)に関してですが、(1)で求めたADxの値によって変化するので、xの関数と考えることができます。関数の最大値などを求めるときは、通常微分を行ったりするものですが、今回はそこまでしなくてもよさそうです。というのも、ADの式は
\begin{align*} AD=\frac{1}{x+\frac{1}{x}} \end{align*}
であり、分母のx+\frac{1}{x}が最小値をとるとき、ADは最大になります。なお、x+\frac{1}{x}のようなタイプの最小値を求める問題は頻出で、「相加相乗平均の不等式」を利用します。
これにより
\begin{align*} x+\frac{1}{x}\geq 2\sqrt{x\cdot\frac{1}{x}}=2 \end{align*}
また、等号成立条件はx=\frac{1}{x}、つまりx=1となります(x>0であることから)。したがって、x=1のとき、ADは最大値\frac{1}{2}となることがわかりました。「三角形の面積の公式」、そして忘れたころに登場する「相加相乗平均の不等式」を等号成立条件まで正しく押さえておきえすれば、たとえ激しい二日酔いの中でも即答できます。

2.2011年京都大学

AB,辺BC,辺CAの長さがそれぞれ12,11,10の三角形ABCを考える。\angle Aの二等分線と辺BCの交点をDとするとき、線分ADの長さを求めよ。

先ほどの問題と似ています。この問題には様々な解法が考えられますが、なるべくシンプルに考えていこうと思います。まずは図を描いてイメージしましょう。

\angle Aにおける角の二等分線の性質から、AB:AC=BD:DCとなることがわかります。なお、AB:AC=12:10=6:5であり、BC=11であることから、BD=6, DC=5であることが明らかになりました。また三角形ABCにおける余弦定理より、\cos Bを求めることができます。
\begin{align*} \cos B=\frac{12^2+11^2-10^2}{2\cdot 12\cdot 11}=\frac{5}{8} \end{align*}
\cos Bの値がわかったので。三角形ABDに対して余弦定理を考え、ADの長さを求めることができます。
\begin{align*} AD^2=12^2+6^2-2\cdot 12\cdot 6\cdot \cos B=90 \end{align*}
したがって、AD=\sqrt{90}=3\sqrt{10}であることが求まります。余弦定理というのは、三角形に対して「2つの辺とその間の角の\cosがわかると、残りの辺の長さがわかる」つまり、「3つの辺の長さがわかると角の\cosがわかる」という様々な使い方があるのがポイントです。このように余弦定理を正しく理解していれば、逆立ちしながらでも容易に解くことができると思います。

3.さいごに

いかがでしたでしょうか?大学入試問題は受験では緊張感があってあまり楽しめるのではないかもしれませんが、数学の学び直しや、理解度の確認においては非常に有意義のあるもです。また、問題の背景や題材の元ネタなどがわかると単純に楽しんで取り組むことができます。最近では、脳トレ(脳の活性化のためのトレーニング)や生涯学習の一環として大学入試問題を趣味で解く方もいらっしゃいます。
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<文/岡本健太郎>

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