入試問題を通して数学を楽しもう!~2次関数編~
公開日
2024年2月5日
更新日
2024年2月5日

みなさんこんにちは!和からの数学講師の岡本です。いままで様々な数学に関する記事を書いてきましたが、今回は大学入試問題を岡本視点で解説し、数学の解き方や面白さを紹介していきたいと思います。
この記事の主な内容
1.2008年慶応義塾大学
放物線が与えられていますが、aという文字のため、位置が確定できていません。しかし、放物線の頂点がy=2x-1上に乗っているというヒントからaの値が確定できそうです!
まずは放物線(2次関数)の頂点を求めるために、「平方完成」を行いましょう。
\begin{align*}
y=x^2+ax-2=\left(x+\frac{a}{2}\right)^2-\frac{a^2}{4}-2
\end{align*}
したがって、放物線の頂点はaを用いて(-\frac{a}{2}, -\frac{a^2}{4}-2)と表すことができます。これがy=2x-1という直線上に乗っていることから、
\begin{align*}
-\frac{a^2}{4}-2=2\times \left(-\frac{a}{2}\right)-1 &\Leftrightarrow a^2-4a+4=0\\
&\Leftrightarrow(a-2)^2=0
\end{align*}
よって、条件を満たすのはa=2のときであることがわかります!頂点の求め方、直線上にあることの条件式がわかると簡単に解くことができます!
2.2006年滋賀大学
直線と放物線の交点に関する問題です。何も考えず、2つの式をイコールで結んで、交点のx座標を求めてもいいですが、ここでは悪手です。まずは最終的なヒントである、「PQ間の距離が5\sqrt{10}である」という条件をわかりやすくするために、ここでは交点P,Qのx座標をそれぞれ\alpha, \beta(\alpha<\beta)とおきましょう。このとき、P,Qのy座標は「y=3x+k上にある」という条件から3\alpha+k, 3\beta+kであることがわかります!(注意:PQは放物線上にあることから、\alpha^2-6\alpha+10, \beta^2-6\beta+10と表すこともできますが、2次の式であるためこの後の計算が煩雑になる可能性があるのでお勧めしません) このとき、PQの距離の2乗は三平方の定理から次のように表すことができます。
\begin{align*}
(PQ)^2 &=(\beta-\alpha)^2+(3\beta+k-3\alpha-k)^2\\
&=(\beta-\alpha)^2+9(\beta-\alpha)^2\\
&=10(\beta-\alpha)^2
\end{align*}
また、条件「PQ間の距離は5\sqrt{10}」であることから
\begin{align*}
(PQ)^2=10(\beta-\alpha)^2=(5\sqrt{10})^2=250 \Leftrightarrow (\beta-\alpha)^2=25
\end{align*}
したがって、今回の条件は「交点P,Qのx座標の差の2乗は25である」と言い換えることができました。それでは、実際に交点のx座標を求めてみましょう。2つの式をイコールで結び、次の2次方程式の解が求めるx座標です。
\begin{align*}
x^2-6x+10=3x+k &\Leftrightarrow x^2-9x+10-k=0\\
&\Leftrightarrow x=\frac{9\pm\sqrt{81-4(10-k)}}{2}
\end{align*}
したがって、\beta-\alpha=\sqrt{81-4(10-k)}であることがわかります。これにより
\begin{align*}
(\beta-\alpha)^2=81-4(10-k)=25 &\Leftrightarrow 81-40+4k=25\\
&\Leftrightarrow k=-4
\end{align*}
したがって、求めるkの値は4であることがわかりました。
このように、交点の座標や2点間の距離をなるべく簡潔に表現・計算を行うことができればきちんと正解を導くことができるようになります。
3.さいごに
いかがでしたでしょうか?大学入試問題は受験では緊張感があってあまり楽しめるのではないかもしれませんが、数学の学び直しや、理解度の確認においては非常に有意義のあるもです。また、問題の背景や題材の元ネタなどがわかると単純に楽しんで取り組むことができます。最近では、脳トレ(脳の活性化のためのトレーニング)や生涯学習の一環として大学入試問題を趣味で解く方もいらっしゃいます。
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<文/岡本健太郎>