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2021/04/13

エッフェル塔ができたのはこの人のおかげ!?数学者ソフィー・ジェルマンとは

皆さんはソフィー・ジェルマンという数学者をご存知でしょうか。血なまぐさい革命の渦中にあった18世紀のフランスで生まれ、当時の「女性は学問をするものではない」という価値観に囚われることなく自分の好きな数学を学び続け、女性として初めてパリの王立アカデミー受賞を成し遂げた偉大な数学者です。

ソフィー・ジェルマン(1776-1831)

ということで、本日は数学者ソフィー・ジェルマンについてみていきましょう。

ソフィー・ジェルマンってどんな人?

ソフィー・ジェルマンは1776年にフランスの裕福な商人の娘として生まれました。彼女は父の蔵書を拾い読みして見つけた本を読み、数学の問題に夢中になっているうちに兵士に殺されてしまった偉大な数学者、アルキメデスの話に心を動かされました。

そこまで夢中になれる数学はきっとこの世で一番魅力的な学問に違いない!ソフィーは数学の教科書を読み漁るようになりました。

そんなソフィーを心配したのは、彼女の両親です。当時のフランスは女性が勉強することに対して最も差別的であったと言われており、「女性に数学を考えることはできない」という価値観でした。実際に女性はどれだけ頭が良くても、高等教育を受けることは許されませんでした。両親はソフィーが夜にこっそり勉強していたのを知っていたので、ろうそくや暖かい服を取り上げ、布団にくるまって寝ることしかできないようにしました。しかしソフィーは毛布にくるまって勉強を続け、暖房設備のない時代、羽ペンのビンが凍るような寒さの中勉強を続けました。朝起きると机に向かったまま寝ていたソフィーに気づいた両親は、「これはどうにも止められそうにない」と、彼女の勉強を応援するようになります。

19歳を迎え、大学に入学して高等教育を受けることができなくても、彼女は諦めませんでした。教科書を手に入れて自分で勉強を続け、大学で出された課題を手に入れた彼女は男性の偽名を名乗り数学者ジョセフ・ルイ・ラグランジュに提出しました。その内容を見たラグランジュは「こんな優秀な学生がいたのか」と驚いて、ソフィーの家まで尋ねました。ラグランジュは優秀な学生が実は女性であったことにまた驚愕し、この若き天才数学者は一躍有名人になりました。

ジョセフ・ルイ・ラグランジュ(1736-1813)。微分積分を物理へと応用し、解析力学を生み出したオイラーと並んで18世紀最大の物理学者。

何をした人物なのか?

皆さんはクラドニ図形というものを聞いたことがあるでしょうか。「聞いたことない!」という方はまずはこちらの動画をご覧ください。

弦を擦ってテーブルを振動させることで、表面におかれた砂や塩などの細か物質が、まるで何かに操られているかのように特定のパターンを浮かび上がらせていますね。

テーブルを弦で擦って振動を起こすと、非常に規則的な模様が浮かび上がります。

このパターンは音の高さ(いわゆる周波数)によって異なり、高い音になる程複雑なパターンを描き、現在ではホログラムなどでも利用されています。ソフィーはこの複雑な模様について研究を行い、様々な振動に対してどのようなパターンが生み出されるのか法則を発見しました。この快挙により、女性初のパリの王立アカデミー受賞者となりました。

どんなことに活用されている?

ソフィーによる振動についての研究は、振動に対して強い建物を作るのに活用されました。パリにはエッフェル塔が建ち、さらに世界中に高層ビルや長い橋が次々に建造されました。高層建築ブームを支えた重要な理論は、実はこのソフィーが行った研究によりもたらされたものです。

エッフェル塔。1889年3月30日竣工。1889年のパリ万国博覧会の目玉となり、世界中から観光客が押し寄せた。

当時の女性の差別意識から、エッフェル塔に刻まれている「建造に貢献した72人の科学者」のリストに彼女の名前は入っていません。しかし当時の科学者たちは建築に必要な最も重要な計算に貢献した功績を認めており、中でも数学の歴史の中で5本の指に入るカール・フリードリッヒ・ガウス(1777-1855)は、一度は女性であると知った途端にソフィーとの交流を経ちましたが、彼女の晩年にはゲッティンゲン大学の名誉学位を授与するよう働きかけるようになったほどでした。

終わりに

いかがでしたでしょうか。彼女は学位や学ぶ場所がなくても、大学のポストを与えられなくてもひたむきに数学の研究を続け、その研究は現在の建築工学や材料工学の土台となりました。ソフィー・ジェルマンに興味が出た方は、こちらの絵本が楽しいイラストで分かりやすく描かれているので読んでみてはいかがでしょうか。


数字はわたしのことば バーバラ マクリントック(絵), シェリル バードー(著), 福本 友美子 (訳) ほるぷ出版

それではまた。

<文/岡崎 凌>
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