「歴史上最高の数学者」ガウス!一体何をした人物なのか(前編)
公開日
2022年6月20日
更新日
2022年6月20日
1792年頃、当時15歳の少年カール・フリードリヒ・ガウスは、1日15分ずつ時間をかけて1,000個ずつの自然数にそれぞれいくつの素数が現れるかを調べました。大きな数になるほど現れる素数が減っていくことに気が付いた彼は、約100年後に証明されることになる整数論の極めて重要な定理「素数定理」を予想しました。
後に「歴史上最高の数学者」と言わしめる大数学者ガウスの、数あるエピソードの一つです。みなさんは、毎日欠かさず続けていることはありますか?
今回は「数学王」の異名をとり、物理学でも電磁気学などで大きな貢献をしたガウスが、いったいどんな人物なのか、何を発見した人物なのか見ていきましょう。
どんな人?
ガウスは1777年にドイツ北部の都市ブラウンシュヴァイクで生まれました。両親とも学問とは全く無縁の家庭環境でしたが、彼は子供の頃から無類の天才ぶりを発揮していました。
ガウスが地元の小学校に入って間もないころ、ある教師が授業で出題した「1から100までの数字すべてを足すといくつになるか?」という問題を即答したことは、現代まで語り継がれています。
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + … + 100 = ?
この問題が出題された理由はその教師が学生に度々意地悪する人であったためとか、自分の雑仕事を済ませる時間稼ぎのためとか諸説ありますが、いずれにしろ順番に足し合わせて問題を解くのは相当な時間がかかります。しかし、ガウスは計算方法を工夫することで、わずか数秒で正しい答えを求めてしまったのです!
ところでこの問題、数列や部分和の扱いを学んだ現在の高校生からすると、計算方法自体はそこまで難しいものではありません。体系立てられた学問にほぼ触れたことがない小学生が発想だけでたどり着いたという点で、彼の天才ぶりが際立つエピソードとなっています。
彼にとってもはや学校の授業は不要であると気づき、算数教師のビュットナーは自費をはたいてより高度な算術の教科書をハンブルクから取り寄せ学ばせます。しかし、それもすぐに読み終えてしまい、「これ以上教えられることはない」と結論付けました。
教師たちは彼の父親に対し、大学で数学を勉強させるように何度も説得しました。大学に行く者がごく限られていた時代、当時レンガ職人であった父は早々に自分の仕事を継がせようと考えており、「職人に学問はいらない、大学など行かせる金もない」と突っぱねますが、領主のカール・ヴィルヘルム・フェルディナントからの経済的な援助を得て、説得を重ねるうちにとうとうガウスの数学の才能を認め、ガウスは1795年にゲッティンゲン大学に入学することになります。
その後ガウスが行った発見は、次回詳しく見ていきましょう。
<文/岡崎 凌>
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ガウス 整数論 (数学史叢書) カール・フリードリヒ ガウス (著), Carolo Friderico Gauss (原著), 高瀬 正仁 (翻訳) 朝倉書店