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2020/04/30

数学の現人神(アラヒトガミ)の一人、レオンハルト・オイラー 一体何がすごいのか


突然ですが、あなたの好きな数学者は誰ですか?

数学の歴史の中には、1人で数百年分の数学を発展させたと言わしめる人、神と交信して数式を授かる人など、様々な天才たちがいます。まだ推しを見つけられていない人は、今すぐ探してみてください。きっとあなたが夢中になる、とんでもない人が見つかるはずです。

ところで、4月は素晴らしい月です。数学界の2トップとも言える、オイラーガウスは2人とも4月生まれなのです!4月生まれのあなたは、もしかすると数学者の素質があるかもしれませんよ。今日は、そのうちの1人、レオンハルト・オイラーについてお話ししていこうと思います。

え?オイラーを知らない?そんなことを私たちの前で言うと、和からのスタッフは皆口を揃えてこういうでしょう。

オイラーを知らないなんて、もったいない!

オイラーが今の数学に与えているものは計り知れないものです。円周率のことをπなんて書き始めたのもオイラーですし、関数のことを表すf(x)も、sinやcos(いわゆるサイン、コサイン)もこの人が書き始めたものです。その意味では、もしこの記事を読んでいる方で、何かしら数学に恨みがある人は、おおよそこの人のせいです。でも、

数学のことは嫌いになっても、どうかオイラーだけは、嫌いにならないでください。」

オイラーってどんな人?

レオンハルト・オイラーはスイスのバーゼルに生まれ、幼い頃から数学に興味を持ち、父に教わっていました。もともと牧師である父の跡を継ごうとしていましたが、バーゼル大学に入学して、ヨハン・ベルヌーイの講義を聞いたあと、数学者になることを決意します。スイスの有名な数学一族ベルヌーイ家の数学者であるヨハンに師事し数学を学びました。18歳の時にはじめて論文を執筆し、20歳の時にパリの科学アカデミーの懸賞問題で入賞しました。以降めきめきと頭角を現していき、後世に語り継がれる天才としての才能を発揮していきます

オイラーの何がそんなにすごいのか?

人智を超えた能力を持つ者がひしめき合う数学者の中にあって、オイラーが神と呼ばれる所以とは何か。うちのスタッフに聞くと永遠に会話続きそうですが、ここでは3つ挙げてみようと思います。

執筆論文数が人類史上最多

 オイラーは、平均して年間800ページの論文を執筆していたと言われています。数年の話ではなく、初めて論文を書いたのが18歳の頃で、それを50年間続けたというから、この時点ですでに常人を超越しています。もちろん論文の内容も、数学の各分野を革新させるものばかりでした。オイラーが執筆した論文ページ数は5万ページを超え、その全集は2020年現在に至っても完結していません。30分で一本の論文を仕上げるとも、自分の子供を膝に乗せてあやしながら論文を書いていたとも言われており、何をどうすればそんなことが可能なのか、全く見当もつきません。

他の追随を許さない圧倒的な計算力

 オイラーは、ずば抜けた計算力と記憶力を持っていました。当時コンピュータのような大型計算機はもちろん、電卓すら存在しない世界で、オイラーの研究を支えたのは、この異次元の計算力です。8桁どうしの掛け算をわずか数秒で頭の中で解決してしまう、とも言われています。ちなみに私は1時間もらっても暗算でできる気がしません笑。まさに数学の神なのです。

何を勉強しても「オイラー」がある

 何より一番の脅威は、オイラーは現在存在する非常に多くの数学や物理学に関わっていることです。あなたがもし学生であったら、勉強してオイラーの名前を聞かないことはありません。いくつか挙げてみましょう。色々と用語が並びますが、雰囲気だけ掴んでいただければ大丈夫です。

まず幾何学において、様々な図形や立体には、オイラーの多面体定理と呼ばれる性質があります。正方形などの多角形や、立方体などの多面体(サイコロなどを想像してください)には、辺・頂点・面の数の関係に一定のルールがあることを導きました。

オイラーの多面体定理
$$V-E+F=2$$

 
整数の性質を調べる整数論においては、オイラーの定理を学びます。割り算のあまりに関する定理ですが、初等整数論のとても基本的な定理です。

オイラーの定理
$$a^{\varphi(n)}\equiv 1\pmod{a}$$

 
電気工学を学ぶ者は、オイラーの公式のおかげで回路に流れる電流を計算することができます。数学好きの方は、この有名すぎる公式に1度は夢中になったことがあるでしょう。2005年の映画「博士の愛した数式」で、登場する数学者の博士が最も気に入っていた数式のひとつです。

オイラーの定理
$$e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}$$

 
プログラミングを使ってシュミレーションを行う人は、オイラー法を使うでしょう。微分方程式などを数値計算によって求める時には、この方法が必要になります。

オイラー法
$$y(t+h)=y(t)+f(t,y)h+O(h^2)$$

 
物理現象を記述する解析力学という分野では、オイラー・ラグランジュ方程式が登場します。オイラーはニュートンが生み出した方程式を変形することによって、変分法と呼ばれる微分方程式の解法を導きました。

オイラー・ラグランジュ方程式
$$\frac{\partial F}{\partial v_i}(u(x),\partial u(x),x)-\frac{\partial}{\partial x^{\mu}}\left(\frac{\partial F}{\partial m_{i,\mu}}(u(x),\partial u(x),x)\right)=0$$

 
「自分は文系だから関係ない」と思ったあなた。安心してください。文系の領域にもオイラーはいます!マクロ経済学を学べばオイラー方程式に出くわしますし、社会学でネットワーク理論を学べばオイラーが基礎を築いたグラフ理論が現れます。音楽の世界でも、和音(音を組み合わせて鳴らすこと)の「音の心地よさ」を表す指標を作り出しているのです。

これでも、これでもほんの一部です。当時存在したあらゆる分野に貢献し、またオイラーが自ら新しく生み出した分野もたくさんあります。あなたが知っている他の「オイラーの定理」もあるでしょう。なんの誇張もなく、あなたが今まで勉強したもの、これから勉強を始めるものの先にはオイラーが待ち受けています。

おわりに

いかがだったでしょうか。最後に、そんなオイラーに関する名言をいくつか載せて、本稿は締めくくろうと思います。

  • 「人が息を吸うように、鳥が空を飛ぶように計算した。」
    – フランス学士院会員・フランソワ・アラゴ
  • 「おかげで気が散らなくなった。前より数学の研究に打ち込める。」
    – オイラー(失明した後の自身の言葉)
    失明した後も、目が見えな状態で文字が書けるように練習して、論文の執筆を続けました。集中力があれば大抵の困難も乗り越えられることを教えてくれますね。
  • 「オイラーを読め、オイラーを読め、オイラーは我々すべての師である。」
    – 現代確率論の祖・ラプラスのオイラー評

後世の数学者たちは、現代であってもオイラーの論文を読み、学びます。
数学が大好きなあなたも、オイラーのことを初めて知ったあなたも、このGWはぜひオイラーを読みましょう。

最後に、私がオススメするオイラーの本を紹介しておきます。

「オイラーの贈り物 東海大学出版会 吉田 武」
この本でオイラーを知った方も多いでしょう。一般向けの解説書で、オイラーの代名詞「オイラーの公式」を導くまでの数学が全て盛り込まれています。高校数学の振り返りにもなるので、ぜひ読んでみてください。

それでは、良いGWをお過ごしください。
<文/岡崎 凌>
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