カオスが織りなす数学アートの世界
公開日
2021年1月27日
更新日
2021年1月27日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回は「カオス・アート」について簡単に紹介しようと思います。
この記事の主な内容
1.カオス・アート
皆さんは「カオス」と聞くと何を思い浮かべますか?僕はコンビニでよく見るモンスターエナジーシリーズの「カオス」や遊戯王の「カオスソルジャー」を思い出します。その他、散らかった状態を見て「カオスだ。。。」と表現することもあります。
もともと神話の中では「無秩序で混沌とした状態」を意味し、そこから宇宙や天地が創造されたと説明されることがあります。また、非常に抽象的ですが、「カオス」とは「つかみどころがないが、莫大なエネルギーと可能性を秘めた母体」と考えることもできるようです。つまり、なんだかかっこいいのです!
2.カオスとは
こちらをご覧ください。これらは数式から生み出さられる、「カオス・アート」と呼ばれる描写です。
なんとこれらは全てExcelで描くことができます。神秘的で美しいですね!
3.カオスの定義
数学の世界にも「カオス」というものが存在し、(暫定的ですが)数学的な定義もあります。1975年に、数学者ジェームズ・A・ヨークと李天岩によって世界で初めて「カオス」の定義がなされました。その後、位相的な定義として、ロバート・デバニーによる次のような定義がスタンダードとされています。
1.初期値鋭敏性をもつ(sensitive to initial conditions)
2.位相推移的である(topological transitive)
3.稠密な周期軌道をもつ(dense periodic orbits)
つまり、なんだか難しくてかっこいいのです!
しかし、こうした定義ができているので、数学的に「カオス」というものを捉えることができます。そしてこうしたカオス現象の中にはある意味で安定した“吸引集合”というものが存在し、「アトラクター」と呼ばれています。上で示した描いた神秘的な図形は「アトラクター」を描いたものなのです。
4.さいごに
今回は「カオス」という、比較的新しい数学を使ったExcelアートを紹介してきました。Excelという身近なものを使って、思いもよらない複雑で神秘的なグラフィックが描けるというのはすごいですね!数学的な部分を少し学ぶだけで、オリジナルの模様を描くこともできます。
和からではこうしたExcelアートに関する無料のセミナーを開催しています。興味のある方は是非ご参加ください!
<文/岡本健太郎>