モーリーの奇跡
公開日
2021年1月29日
更新日
2021年1月29日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今日は初等幾何の有名(マニアック)な話題である「モーリーの奇跡」について語っていきたいと思います。
この記事の主な内容
1.フランク・モーリーの発見
古代ギリシャの時代から数多くの幾何学の問題が考察され、解決されてきました。特に三角形の合同や相似、角度や長さを使って証明されるものは「初等幾何学」と呼ばれています(注:「初等」とは「簡単」であるという意味ではありません。「初等的」とは、簡単にいうと「高度な道具を使わない」というだけのニュアンスなので、超難しい初等幾何学の問題も多く知られています。)難しい問題があるといっても、初等幾何学の問題は解決されつくされたように思われていました。
しかし、なんと1899年につぎのような定理がアメリカの数学者フランク・モーリーによって証明されました。
任意の三角形の各頂点から、角の3等分線を伸ばす。
2つの頂点の隣り合う3等分線の交点を結ぶと正三角形ができる。
言葉だとわかりづらいので図で考えてみましょう。
2.定理の内容をイメージしてみる
まず適当な三角形ABCを用意します。テキトーです。
そして、各頂点から角の3等分線を引きます。
すると、隣り合う3等分線の交点ができるはずです。
この交点を結んでみます。
何やら綺麗な三角形ですね。そうです。これは必ず正三角形になるのです!!
えー!!!!!!!!そんなバカな!!!と思いませんでしたか?僕は最初にこの定理を見たときに思いました。
3.モーリーの奇跡
他の三角形でも試してみましょう。例えば以下のような三角形でやっています。
三等分して、
交点を結ぶと
やはりそれらしい三角形が現れます!
何かすごいかって、こんなシンプルな結論が、古代ギリシャの時代から1899年までの間に誰一人として発見+証明をされずに残っていたことです!このことから、この定理は「モーリーの奇跡」とも呼ばれています。
4.さいごに
モーリーの定理の証明はいろいろ知られていますが、意外と一筋縄にはいきません。次回、三角比を使った証明を載せてみようと思います。お楽しみに!
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<文/岡本健太郎>