1,2,4,8,16そして?~レオ・モーザーからの挑戦状~
公開日
2020年12月21日
更新日
2020年12月21日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回は前回のマスログで扱った次の問題
に関連する話題についてお話しします。
この記事の主な内容
1.レオ・モーザーからの出題
カナダの数学者レオ・モーザー(1921~1970)は次の問題を考えました。
これは1969年にモーザーによって問題提起されたことから、「モーザーの問題」と呼ばれています。今回は\(n=6\)のときどうなるか考えてみることにします。
2.観察してみる
ひとまず、点の個数(\(n\)で表すことにします)の小さい方から順番に観察してみましょう。
たとえば、\(n=1\)のとき、円の内部には\(1\)の領域があります。\(n=2\)のとき、線を結ぶことで\(2\)つの領域に分かれます。
\(n=3\)のとき、図のように円内部は\(4\)つの領域に分かれ、\(n=4\)の場合、\(8\)つの領域となります。
\(n=5\)の場合、やや線が多くなりますが、最大で\(16\)の領域に分けられることがわかります。
さて、点の個数を\(n\)、分けられる領域の個数を\(a_n\)とおき、ここまでの観察をまとめてみましょう。
おや!?この流れは見覚えがありますね!
3.再び数字の規則の問題へ
さて、前節では円内部にできる領域の個数を観察しました。この流れは
の問題と同じ流れとなっています。安易に考えると、次は\(32\)になることが予測されますが、果たして正しいのでしょうか?実際に\(6\)個の点で、領域を分けてみましょう。
数えてみると、\(31\)の領域になっています。実はこれが最大の領域数となっています。
実は\(n=7\)のとき、最大\(57\)の領域に、\(n=8\)のとき最大\(99\)の領域に分かれることが知られています。このような数列\(a_n\)を提唱者にちなんでモーザー数列と呼びます。
なお、モーザー数列の一般項は以前のマスログで登場した“無理矢理予測モデル”
に一致します。つまり、ある意味で“実在する数列”だったわけです。
4.さいごに
いかがでしたか?世の中にはさまざまな数学の問題があふれかえっており、思わぬところで関係があったりします。むしろそういうところが数学の面白いところでもあります。
なお、このモーザー数列の一般項の導出について気になる方も多いかもしれないので、次回のマスログで解説してみることにします。お楽しみに!
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<文/岡本健太郎>