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【マスログ】高次元データとは?~高次元統計解析~

公開日

2025年3月12日

更新日

2025年4月13日

 

 

【マスログ】高次元データとは?~高次元統計解析~

皆さんこんにちは。今回は「高次元統計解析」と呼ばれる、現代的な統計学についてご紹介したいと思います。

実はこのテーマ、私が大学院時代に取り組んでいた研究テーマでもあります。いわば、従来の統計学とは全く異なる視点からデータ分析を進めていく、新しい形のデータサイエンスです。技術の進歩によって大規模なデータが手に入るようになった現代だからこそ、この分野が重要になってきていると感じています。

 

高次元データとは

まずは「高次元データ」とは何かという話から始めていきましょう。たとえば病院で健康診断を受けたとき、血圧や体重、血糖値などさまざまな項目が測定されます。仮に10個の項目を記録したとしたら、このデータは「10次元のデータ」と呼ばれます。

この「次元」という言葉は、データの持つ特徴の数、つまり項目の数を表しています。では「高次元データ」とは何かというと、この項目の数が非常に多く、場合によっては数万、数十万に達するようなデータのことを指します。

 

高次元データの例と背景

今の時代、科学技術の進歩によってこのような高次元データが身近に手に入るようになってきました。代表的な例として「遺伝子発現データ」があります。これは、人の遺伝子がどれくらい活発に働いているかを数値化したデータで、1人あたり数万項目もの情報が記録されます。

こういったデータを分析すれば、健康な人と病気の人の遺伝子の違いを発見し、たとえばがんの早期発見や治療法の確立につなげられる可能性があります。まさに医療の未来を変える力を持ったデータだと言えるでしょう。

 

従来の統計学との違い

ここで重要なのは、この高次元データが従来の統計学ではうまく扱えないことが多い、という点です。なぜなら、これまでの統計学は「サンプル数が項目数よりも圧倒的に多い」という前提のもとで成り立っていたからです。

たとえば100個のサンプルに対して10個の項目がある、という状況が一般的でした。ですが、高次元データの場合は逆に「項目数が数万、サンプル数はわずか数百」といった状況になることがよくあります。特に難病患者などはそもそも人数が少なく、観測コストも高いため、データを集めるのが容易ではありません。

 

高次元統計解析の登場

こうした背景のもと登場したのが「高次元統計解析」と呼ばれる新しい枠組みです。これは、次元数がサンプル数よりもはるかに大きいという状況に特化した統計解析の方法です。

このような枠組みでは、従来の機械学習や統計解析の方法では精度や理論的な保証が得られないことが多く、新しい理論や手法を一から考える必要があります。まさに、ゼロから統計の常識を再構築するような挑戦だと言えるでしょう。

 

これからの展開に向けて

今回の【マスログ】では、高次元データとは何か、その基本的な考え方や背景についてお話ししました。ここからさらに深掘りして、こういったデータに対して実際にどのような解析手法があるのかをご紹介していきたいと思います。

次回以降の記事では、高次元統計解析ならではのアプローチや応用例について触れていく予定です。ぜひ今後の更新にも注目していただけたら嬉しいです!

ということで、今回は「高次元データとは?」というテーマでお話ししました。次回の【マスログ】も、どうぞお楽しみに!

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