マスログ

2020/10/26

「密」を避けよう!19世紀にナイチンゲールが警告していた「3密」の危険性

今年2020年もあっという間に10月となり、少しずつ年の瀬が迫ってきています。コロナウイルスの流行や東京オリンピックの中止、内閣総理大臣の交代など、様々な大きな変化に直面した一年となりました。今年の流行語大賞にノミネートすると思われる言葉の1つは、何と言っても東京都知事の小池 百合子氏の「密です」。これは外せないでしょう。

流行するコロナウイルスの感染拡大を抑えるべく、政府により打ち出された「3密:密室、密接、密集」の回避。そんな「密」ですが、実は「密」の危険性に気づいたのは、なんと19世紀、かの有名なナイチンゲールだったのです!

ナイチンゲールってどんな人?について知りたい人は、まずこちらをご覧いただければと思います。

「クリミアの天使」看護師ナイチンゲール!その裏の顔とは

ナイチンゲールの功績は語っても語り尽くせないものではありますが、特筆すべきは様々なグラフを活用して、医療の現状を視覚的に伝えようとしたところが挙げられるでしょう。当時の医療と看護の劣悪な実態について当時問題視している人はいたものの、ようやく識字率が80%を超え始めた19世紀後半、生まれたばかりだった当時最先端の統計学を大半の人が知らなかった時代、難しい集計と数式を説明しても誰も理解できません。そもそも「衛生医療」などという概念すらなかった時代、「清潔な水を使うべき」「包帯は毎日取り替えるべき」といくら言葉を並べても人々にはその理由が分からず、納得してもらえませんでした。そんな中ナイチンゲールが活用したものが、統計学、それと統計学を伝えるためのグラフです。

ナイチンゲールは数学や統計学に明るくない多くの人々に医療衛生の重要性を理解を得るために、誰がみても一発で納得できるグラフを次々に開発していきました。そのグラフの一つが、こちらです。

図1. 当時のロンドン(左)、およびもっとも人口密度が高かったイースト・ロンドン(右)の人口の密集度を表す円グラフ。六角形の大きさが、一人当たりの面積を表す。
図2. 兵士たちがいた野営陣地各地における人の密集度を表す円グラフ。一目でどの地域も当時もっとも密集していたイースト・ロンドンを上回る密集度であることがわかる。

この図では、当時のロンドン、イギリス国内で最も人口が密集していたイースト・ロンドンの二箇所と、そして野営陣地(戦争中に野外に作る陣地)の3拠点の人口密度を表したグラフです。円の中にある六角形は、1人あたりの面積の大きさです。国内で最も人口密度の高い都市ですら、クリミアの野営陣地の方が遥かに密集していることが一目で分かります。

このグラフによって、いかに戦地が密集地であったか、感染症や伝染病のリスクが極めて高い状況にあったかを主張しました。彼女が非常に重要だと言っていたのは、

  • 密閉」と「密集」を避けること
  • 特に密閉(換気をしない)ことは最悪。
  • 現代のコロナウイルス流行の渦中にあって、繰り返し強調されていることに通じます。彼女の著した、現代の看護師のバイブル「看護覚書」には、こう書かれています。

    よい看護が行われているかどうかを判断するための規準としてまず第一にあげられること、看護者が細心の注意を集中すべき最初にして最後のこと、何をさておいても患者にとって必要不可欠なこと、それを満たさなかったら、あなたが患者のためにするすべてが無に帰するほどたいせつなこと、反対に、それを満たしさえすれば他はすべて放っておいてよいとさえ私は言いたいこと、それは「患者が呼吸する空気を、患者の身体を冷やすことなく、屋外の空気と同じ清浄さに保つこと」なのである。ところが、このことほど注意が払われていないことが他にあるだろうか?(ナイチンゲール『看護覚書』にて)

    必要なのは、適切な換気と新鮮な空気。ソーシャルディスタンスより密閉環境を作らない、適切な換気がなされた場であること、この重要性にナイチンゲールはいち早く気づいていたのです。この人類史上きっての難局を乗り切るために、歴史から学べることも多くあるのかもしれません。

    ナイチンゲールは看護師でありながら、「統計学の母」とも呼ばれる統計学の歴史上非常に重要な人物でもあります。そんなナイチンゲールなどの話をもとに、楽しく、使える統計学を学べるセミナーを開催中です。ご興味がある方は、ぜひこちらのURLから。

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    <文/岡崎 凌>
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