一般相対論的宇宙論セミナー(Ⅰ)
公開日
2021年8月8日
更新日
2021年8月8日
本講座の目標は、一般相対性理論を使った一様等方宇宙モデルを学ぶことにより、どのように宇宙が進化してきたか、現在の宇宙の到達点と現状を浮き彫りにしていきます。
宇宙像の出発点になったのは、1920年代から30年代にかけてハッブルにより行なわれた銀河の分布や運動の観測と、それによってもたらされた宇宙膨張の発見です。この発見は当時まだ生まれたての一般相対論と直ちに結びつき、宇宙の相対論的力学モデルを生み出しました。
また、1940年代にガモフらにより行なわれた熱い宇宙モデルの研究が、1965年の3K宇宙背景放射の発見により一躍注目を浴び、1960年代後半から70年代にかけて、熱いビッグバンモデルとよばれる宇宙進化の標準モデルが作られました。
1980年代に入ると、素粒子の統一理論の登場により、宇宙の進化をどんどんさかのぼることが可能になり、物質の起源や宇宙の一様等方性の起源が宇宙論の対象として研究されるようになりました。特に、インフレーションモデルと呼ばれる新たな宇宙モデルの登場は、宇宙のすべての現象を基礎法則から再構成できるのではないかという希望をもたらしてくれました。
これらの内容を学んでいくことにより、現在の宇宙論を浮き彫りにしていきます。
受講内容
本講座では、テキストに沿って本を読みながら宇宙につい理解を深めていきます。
しかしながら、内容が濃く、比較的数式を追うのも大変と予想されることから、テキストを3つに分けて、本講座は3分の1部分を(Ⅰ)とし、理解が深まるよう、極端に進みが早くならぬよう解説していきます。
※内容はお客様のご要望等によって変更することがあります。
受講対象
・宇宙や素粒子に興味のある方
・手を動かして、一緒に数式を追う努力をする方
・なかなか1人では進めないが、興味はあって、熱意を持って学習する方
※使用するテキストは本来大学3年程度の内容となり、大学初等の微分積分(微分方程式)、線形代数(行列)、群論、力学、一般相対論の知識があることが望まれます。しかしながら、できるだけ多くの方に受講して頂きたい思いから、本書を3分割にして、最低でも高校物理と高校数学Ⅲ(理系の微積分)と行列の計算程度ができる方であれば、読み進められるよう解説していきます。
※ただし、計算自体はかなり大変なものもございますので、最後まであきらめずに、しっかり耐えられる気力・体力をお持ちの方をお勧め致します。
必要な数学知識
モデルプラン
本講座は、使用テキストの4つの章を大きく3つに分け、(Ⅰ)では前半の1宇宙モデルと2物質の進化の最初の部分まで進むことを目標にします。(Ⅱ)は、(Ⅰ)の続編としての講座を予定しており、(Ⅰ)が終わった後の続きから後半の3構造の進化の途中まで進むことを予定しております。更に(Ⅲ)では、(Ⅱ)の続きから最後まで進むことを目標にしております。
(Ⅰ)内容
第 1 回 宇宙の膨張、宇宙の一様性、ニュートン力学的モデル、
第 2 回 一般相対論的モデル(一様等方な空間)
第 3 回 一般相対論的モデル(ロバートソン・ウォーカー時空)
第 4 回 宇宙パラメーター、エネルギー密度のふるまい、フリードマンモデル
第 5 回 ドジッターモデルと反ドジッターモデル、ルメートルモデル
第 6 回 膨張宇宙の幾何学
第 7 回 ハッブル定数、宇宙モデルの古典的テスト
第 8 回 宇宙年齢、物質の構成と素粒子
第 9 回 バリオン的物質、輻射
第 10 回 ダークマター