個別授業

モデルプラン:【発展】110分×15回

ポアンカレ予想のはじまり

公開日

2021年6月10日

更新日

2021年8月8日

2003年、ペレルマンによって「100年の謎・ポアンカレ予想」が最終的に証明されたというニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか。「ポアンカレ予想」は2020年現在、唯一解決されているミレニアム懸賞問題であり、「トポロジー」「宇宙の形」などの標語と共にテレビや書籍で話題になりました。しかし実は、ポアンカレはこの予想の4年前、間違った主張を出版していたのです。これに気づいたポアンカレは、反例として「ポアンカレ・ホモロジー球面」を構成し、主張が成り立たないことを証明した上で、1904年、次の(正しい)ポアンカレ予想を述べました。

「連結で基本群が自明な閉3次元多様体は3次元球面に同相(位相同型)だろうか?」

本講座では、「位相多様体」「ホモトピー」「基本群」「ホモロジー群」といったトポロジーの基本概念を学び、ポアンカレが反例として挙げた「ポアンカレ・ホモロジー球面」の基本群とホモロジー群を実際に求めてみることで、ポアンカレ予想の真の意味を理解することを目標にします。

※基本群の理解を通して非可換群に親しみましょう。また、ポアンカレ予想の解決の鍵となったサーストンの幾何学的トポロジーにおいても、基本群は大変重要な役割を果たします。

※ポアンカレ・ホモロジー球面は、現在では3次元多様体の分類理論の中で非常に重要であることが認識されています。

受講対象

1. ポアンカレ予想やトポロジーに興味がある方、メビウスの帯が好きな方
2. 見えないものを見る努力ができる方
3. 宿題(教科書の節末問題)を毎回こなす努力ができる方
4. 位相空間論と群論の簡単な知識があることが望ましい(※)
5. 微積分の計算や方程式は一切出てきません。

※仮定する知識、能力
・ユークリッド空間の開集合、閉集合の知識
・群の定義、商群または剰余類の知識、線形代数(行列のランク、ベクトルの一次独立)
・紙の上に書いた図が立体に見える能力

必要な数学知識

発展

モデルプラン

【110分×15回】

・「ホモトピー同値」を理解する
・「位相多様体」の不変量としての「基本群」を理解する
・「胞体分割」して基本群を計算できるようになる
・「積空間」「連結和」の基本群を計算できるようになる
・「連結性」の延長としての「ホモロジー類」の理解
・「位相多様体」の不変量としての「ホモロジー群」を理解する
・「胞体分割」して「ホモロジー群」を計算できるようになる
・ポアンカレホモロジー球面が、境界のないコンパクト向き付け可能3次元多様体であることを理解する。
・ポアンカレホモロジー球面の基本群、ホモロジー群を計算し、ポアンカレ予想の主張の意味を真に理解する
・(余裕があれば)ブラウワーの不動点定理(教科書p110)を証明できるようになる

「曲面と結び目のトポロジー」の補章~第3章「ホモロジー群」の3-4まで(2-9の結び目群は除く)をメインに使用します。

参考テキスト

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