Excel×生成AIでできるデータ分析の実務|営業・人事・経理の活用例
公開日
2026年9月22日
更新日
2026年9月22日
この記事のポイント
- Excelと生成AIを組み合わせると、集計手順や関数を考える際の相談相手として生成AIを活用できます
- 営業・人事・経理など、部門ごとの具体的な活用例を紹介します
- 「入力→依頼→検証→報告」の4ステップと、安全に使うためのルールまで押さえます
「Excelは使えるけれど、関数やピボットは苦手」「データ分析と言われると身構えてしまう」——そんなとき、生成AIは集計手順や数式を考える相談相手になります。ただし、利用するAIがExcelファイルを直接扱えるとは限りません。まず列名やデータ例、得たい結果を伝え、提案された手順をExcel上で試す、という使い方が基本です。
この記事では、コードを書かずに取り組める範囲を中心に、Excelとチャット型生成AIを併用する例を営業・人事・経理の順に紹介します。会社が認めた環境を使い、出力を検証することを前提に読み進めてください。
この記事の主な内容
Excel×生成AIで何ができる?|「関数を覚える」から「依頼する」へ
これまでのExcel活用は、関数やショートカットを「覚えている人」が強い世界でした。生成AIが加わると、その前提が変わります。「この表から月別の売上合計を出したい。手順と数式を教えて」と頼めば、AIがやり方を提示してくれるからです。
つまり、知識を暗記する作業から、やりたいことを言葉にする作業へと重心が移ります。大切なのは関数名を覚えることではなく、「何を知りたいのか」を明確に伝える力です。専門分野にかかわらず練習できますが、元データの意味を理解し、結果を確認する力は必要です。
基本の4ステップ|入力→依頼→検証→報告
部門を問わず、Excel×生成AIの実務は次の4ステップで進めると安定します。
①入力:分析したいデータ(表)と、知りたいことを整理する。②依頼:生成AIに「目的・データの形・出力してほしい形」を伝える。③検証:返ってきた手順や数式をExcelで試し、結果が元データと合うか確認する。④報告:結論を一言でまとめ、根拠の数字を添えて共有する。
特に重要なのが③検証です。生成AIは間違えることもあるため、「AIに作らせて終わり」ではなく、必ず自分の目で数字を確かめます。この型は確認漏れを見つける助けになります。合計値、抽出件数、代表例を元データと照合し、必要に応じて別の担当者にも確認してもらいましょう。
【営業】売上データの異常値発見・日報の要約
営業部門でまず効くのが、売上データの異常値チェックです。「この月別・顧客別の売上表で、増減の大きい箇所と、その大きさを挙げて」と依頼すると、確認候補を絞れます。差の理由までは表だけで決められないため、取引記録や担当者への確認で裏づけます。顧客名や商談メモを扱う場合は、入力前に社内ルールと利用サービスを確認してください。
もう一つ便利なのが日報・商談メモの要約です。社内で入力が認められた情報に限り、「顧客の反応と次のアクションを箇条書きで」と依頼すれば、要約案を作れます。担当者が原文と照合し、顧客名・条件・約束事項の抜けや取り違えを直してから共有します。
【人事】アンケートの自由記述を分類・集計
人事や総務でありがちなのが、アンケートの自由記述(コメント)の集計です。自由記述は、あらかじめ決めた分類基準に沿って生成AIに分類案を作らせる方法があります。個人を特定できる記述を除き、会社が認めた環境を使います。分類結果は一部を人が抜き取り確認し、分類漏れや偏りが大きければ基準を見直します。
確認済みの分類結果をExcelに戻して件数を可視化すれば、報告資料の下書きになります。定量(点数)と定性(コメント)を組み合わせて読むことで、満足度調査やエンゲージメント調査の解像度が上がります。
【経理】予実差異の要因をすばやく言語化
経理・管理部門では、予算と実績の差異(予実差異)の説明に時間がかかりがちです。差異の出た項目をAIに渡し、「各項目の差異額と差異率を整理し、金額の大きい順に並べて」と頼めば、まず注目すべき項目が明確になります。
さらに、裏づけ済みの理由も一緒に示して「経営会議向けに3行で整理して」と依頼すれば、報告コメントの下書きが作れます。差異表だけから原因を推測させず、最終的な要因の判断は担当者が行います。数字の整理と言語化の下ごしらえをAIに任せることで、本来考えるべき「なぜ?」に集中できます。
つまずきやすいポイントと対処法
よくある失敗は、データの形や判断基準を示さずに依頼することです。「A列が日付、B列が商品区分、C列が金額」「月別合計と前年差を出したい」のように、列の意味と目的をセットで伝えます。
見本として数行を渡す場合も、その中に個人情報や機密情報が含まれていないか確認が必要です。架空データや匿名化した例で手順を作り、実データは社内で承認された環境だけで処理する方法もあります。生成された数式は小さな範囲で試し、合計・件数・欠損値を手計算や既存集計と照合しましょう。
安全に使うための確認事項|情報管理
「氏名を伏せればよい」とは限りません。入力する情報の区分、利用を認められたサービス、データの保存・学習利用、アクセス権、ログ、削除方法を社内ルールと契約・管理設定で確認します。個人情報や顧客情報を扱う場面では、目的外利用や再識別の可能性にも注意が必要です。
出力は事実とは限らないため、元データとの照合と承認者を決めます。和からの生成AI活用支援でも、操作方法だけでなく、扱うデータと確認手順を業務ごとに整理します。
和から式「分析依頼・検証カード」
生成AIに渡す前に、次の8項目を1枚にまとめると、依頼と確認の抜けを見つけやすくなります。
- 目的
- 入力してよい情報と利用サービス
- 列名・単位・期間
- 期待する出力
- 生成AIが示した数式・手順
- 合計・件数・代表例の照合結果
- 確認者
- 保存先と削除時期
営業・人事・経理のどの業務でも、まず匿名化した少量データでカードを埋め、確認できた手順だけを実データに適用します。
部門別・最初の一歩 早見表

| 部門 | まず試したいこと | AIへの依頼例 |
|---|---|---|
| 営業 | 売上の異常値発見 | 「増減の大きい箇所を挙げて」 |
| 営業 | 日報の要約 | 「要点と次の行動を箇条書きで」 |
| 人事 | 自由記述の分類 | 「テーマ別に分類し件数を数えて」 |
| 経理 | 予実差異の整理 | 「差異額の大きい順に並べて」 |
| 共通 | 数式・手順の相談 | 「この集計の手順と数式を教えて」 |
確認に使った公的資料
よくある質問(FAQ)
Q. Excelの関数が苦手でも使えますか?
A. 生成AIに数式や手順の案を出してもらえます。ただし、列名・単位・目的を伝え、Excel上で合計値や抽出件数を確認してください。
Q. プログラミングは必要ですか?
A. この記事の例はコードなしでも試せます。利用するAIがExcelファイルを直接扱えるかは、サービスや会社の設定によって異なります。
Q. 機密データは匿名化すれば入力できますか?
A. 匿名化だけで判断せず、社内規程、利用サービスの契約・管理設定、保存・学習利用、アクセス権、削除方法まで確認してください。
まとめ|Excel×生成AIは「依頼力」で差がつく
Excelと生成AIを組み合わせると、集計手順や数式を考える負担を減らせる場合があります。鍵になるのは「入力→依頼→検証→報告」の型と、やりたいことを言葉にする依頼力です。営業・人事・経理それぞれに、今日から試せる一歩があります。まずは匿名化した小さな表で「分析依頼・検証カード」を埋め、出力を元データと照合するところから始めましょう。
部門に合わせた「Excel×AI」研修を
和からは累計3万人以上に数字・データ活用を指導してきました。御社の実データと業務に合わせて、生成AI×Excelの実践研修を設計します。
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執筆:和から株式会社 統計・データ分析講師
「大人のための数学教室 和から」を運営し、累計3万人以上にビジネス数学・統計・データ活用を指導。法人向けには200社以上の研修実績があります。
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