ABC分析のやり方|重点管理を数字で決める4ステップ
公開日
2026年8月9日
更新日
2026年7月31日
この記事の主な内容
この記事のポイント
・ABC分析とは、商品や在庫、顧客などを重要度に応じてA・B・Cの3ランクに分ける分析手法です
・背景にあるのはパレートの法則(80:20の法則)。「一部の品目が売上の大半を占める」という考え方です
・やり方は4ステップ。指標を決める→大きい順に並べる→累積構成比を出す→ランク分けする、という流れです
・Aランクは重点管理、Cランクは役割を確認しながら効率的に管理。Excelでも手軽に作成できます
扱う商品や在庫が増えてくると、「どの商品に力を入れるべきか」「どこから見直せばよいのか」が分かりにくくなります。すべての商品に同じ手間をかけようとすると、在庫も時間も足りなくなってしまいます。
そんなときに役立つのが、ABC分析です。ABC分析は、売上や利益などの数字をもとに、商品や在庫をA・B・Cの3つのランクに分け、重点的に見るべきものを数字で判断するための手法です。
この記事では、ABC分析とは何か、具体的なやり方、ランクごとの管理方針、Excelで作るときの考え方まで、累計3万人以上の学びをサポートしてきた和からの視点でやさしく解説します。
和からでは、単に分析方法を覚えるだけでなく、「その数字を見て、次にどんな判断をするのか」までを大切にしています。ABC分析も、表を作って終わりではなく、在庫管理・商品改善・売上アップなどの行動につなげてこそ意味があります。数字が苦手な方にも、実務で使える形まで一歩ずつ理解できるように説明していきます。
ABC分析とは|パレートの法則をもとに「重点」を決める方法

図:ABC分析(パレート図)のイメージ
ABC分析とは、商品・在庫・顧客などを、売上や数量、利益といった重要度を表す指標で大きい順に並べ、A・B・Cの3ランクに分類する手法です。
一般的には、Aランクが最も重要度の高いグループ、Bランクが中程度のグループ、Cランクが全体への影響が比較的小さいグループになります。
この考え方の背景にあるのが、パレートの法則(80:20の法則)です。これは、「全体の成果の大部分は、一部の要素によって生み出されている」という経験則です。たとえば、店舗の売上の多くが、一部の人気商品によって支えられているケースは少なくありません。
ABC分析では、その「売上や成果に大きく効いている商品」を見つけ、限られた時間や在庫、販促費をどこに集中させるべきかを考えます。つまり、ABC分析は“全部を同じように見る”のではなく、“重点を決めて見る”ための分析です。
ABC分析のやり方|基本の4ステップ
ABC分析の手順は、難しくありません。基本的には次の4ステップで作成できます。
ステップ1:分析する指標を決める
まずは、何を基準に重要度を判断するかを決めます。よく使われるのは、売上金額、販売数量、粗利額、利益額などです。
たとえば在庫管理であれば「売上金額」や「販売数量」、利益改善が目的であれば「粗利額」や「利益額」を使うとよいでしょう。目的によって見るべき数字は変わります。
ステップ2:数値の大きい順に並べる
次に、商品ごとの数値を大きい順に並べます。Excelであれば、対象の列を選び、降順で並べ替えるだけです。
この並べ替えによって、売上や利益に大きく貢献している商品が上位に表示されます。
ステップ3:構成比と累積構成比を計算する
構成比とは、それぞれの商品が全体のうち何%を占めているかを表す数字です。売上を基準にする場合は、次のように計算します。
構成比 = 各商品の売上 ÷ 全商品の売上合計
さらに、上から順に構成比を足していったものが累積構成比です。累積構成比を見ることで、「上位の商品だけで全体の何%を占めているか」が分かります。
ステップ4:A・B・Cにランク分けする
最後に、累積構成比をもとにランク分けします。一般的には、次のような基準がよく使われます。
・累積構成比が70〜80%程度まで:Aランク
・累積構成比が90〜95%程度まで:Bランク
・それ以降:Cランク
ただし、この境目に厳密な決まりはありません。商品数や業種、分析の目的に合わせて調整して大丈夫です。大切なのは、数字を使って「どこを重点的に見るか」を決めることです。
具体例で見るABC分析
ここでは、5つの商品を売上金額でABC分析した例を見てみましょう。
| 商品 | 売上 | 構成比 | 累積構成比 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| A商品 | 500万 | 50% | 50% | A |
| B商品 | 250万 | 25% | 75% | A |
| C商品 | 150万 | 15% | 90% | B |
| D商品 | 70万 | 7% | 97% | C |
| E商品 | 30万 | 3% | 100% | C |
この例では、A商品とB商品だけで売上全体の75%を占めています。つまり、この2つの商品が売上に大きく貢献していることが分かります。
一方で、D商品とE商品は、売上全体に占める割合が比較的小さい商品です。もちろん、Cランクだからといってすぐに不要というわけではありませんが、在庫量や発注頻度、販売方法を見直す候補にはなります。
このようにABC分析を行うと、「なんとなく売れている気がする」ではなく、どの商品が全体にどれくらい影響しているのかを数字で確認できるようになります。
A・B・Cランクごとの管理方針
ABC分析の目的は、ランクをつけることそのものではありません。大切なのは、ランクごとに手のかけ方を変えることです。
Aランク:重点的に管理する
Aランクは、売上や利益への影響が大きい重要な商品です。欠品すると機会損失につながりやすいため、在庫状況や販売動向をこまめに確認します。
具体的には、欠品を防ぐ、品ぞろえを厚くする、販売促進を強化する、価格や陳列を見直すなどの対応が考えられます。
Bランク:定期的に確認する
Bランクは、Aランクほど頻繁に見る必要はないものの、一定の売上や役割がある商品です。定期的に動きを確認し、Aランクに育てられる商品がないかを見るのもよいでしょう。
販売状況によっては、販促や見せ方を変えることで、売上を伸ばせる可能性があります。
Cランク:役割を確認しながら効率的に管理する
Cランクは、売上への影響が比較的小さい商品です。在庫を持ちすぎていないか、発注頻度が多すぎないか、保管コストに見合っているかを確認します。
ただし、Cランクの商品にも大切な役割がある場合があります。たとえば、利益率が高い商品、Aランク商品のついで買いにつながる商品、季節限定の商品、品ぞろえとして必要な商品などです。
そのため、Cランクは「すぐに削る商品」ではなく、役割を見たうえで効率よく管理する商品と考えるのがおすすめです。
ExcelでABC分析を作るときの基本

ABC分析は、Excelでも手軽に作成できます。基本的には、売上などの数値を用意し、降順に並べ替え、構成比と累積構成比を計算するだけです。
たとえば、B列に売上が入力されている場合、構成比は次のように計算できます。
=B2/SUM($B$2:$B$6)
累積構成比は、上から順に構成比を足していきます。C列に構成比がある場合、D2には次のような式を入れます。
=SUM($C$2:C2)
この式を下にコピーすると、上から順に累積構成比を計算できます。
ランク分けもExcelのIF関数を使えば自動化できます。たとえば、累積構成比がD列にある場合、Aランクを80%まで、Bランクを95%までとするなら、次のような式が使えます。
=IF(D2<=0.8,"A",IF(D2<=0.95,"B","C"))
実務では、商品数が多くなるほど手作業での分類は大変になります。Excelで計算式を作っておくと、データを更新したときにもスムーズに分析できます。
ABC分析で注意したいこと|売上だけで決めない
ABC分析はとても便利な手法ですが、結果を見るときには注意も必要です。
特に大切なのは、Cランク=不要ではないという点です。売上が小さくても、利益率が高い商品、季節的に必要な商品、他の商品と一緒に買われやすい商品、ブランドイメージを支える商品などがあります。
また、売上金額だけを見ていると、利益率の低い商品を過大評価してしまうこともあります。売上は大きいけれど利益が少ない商品と、売上は小さくても利益率が高い商品では、管理方針が変わることがあります。
そのため、ABC分析を行うときは、目的に合わせて指標を選ぶことが大切です。在庫管理なら販売数量や在庫金額、収益改善なら粗利額や利益額、顧客分析なら購入金額や購入頻度など、何を重視するかによって使う数字を変えましょう。
また、パレートの法則はあくまで経験則です。必ず「上位2割が売上の8割」を占めるわけではありません。実際のデータを見ながら、自社に合った基準で判断することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. A・B・Cの境目はどう決めればいいですか?
厳密な決まりはありません。一般的には、累積構成比が70〜80%程度までをAランク、90〜95%程度までをBランク、それ以降をCランクとすることが多いです。
ただし、商品数や業種、分析の目的によって調整して構いません。境目を細かく決めることよりも、「どの商品を重点的に管理するか」を明確にすることが大切です。
Q2. パレート分析とABC分析は違うものですか?
考え方はよく似ています。パレート分析は、「一部の要素が全体の大部分を占めている」という偏りを見つける分析です。一方、ABC分析はその考え方をもとに、商品や在庫などをA・B・Cにランク分けして、管理方針を決めるために使います。
パレート図は、棒グラフと累積構成比の折れ線グラフを組み合わせたもので、ABC分析の結果を見やすく可視化するときによく使われます。
Q3. Excelで簡単に作れますか?
はい、Excelで作成できます。売上や利益などの数値を降順に並べ替え、構成比と累積構成比を計算すれば、基本的なABC分析は作れます。
商品数が多い場合は、ピボットテーブルで商品別の売上を集計してからABC分析を行うと、より効率的です。月別・店舗別・カテゴリ別に切り替えて見ることもできます。
Q4. ABC分析は在庫管理以外にも使えますか?
はい、使えます。ABC分析は在庫管理でよく使われますが、商品分析、顧客分析、売上分析、問い合わせ分析、業務改善などにも応用できます。
たとえば、顧客別の売上でABC分析をすれば、売上貢献度の高い顧客を見つけられます。問い合わせ内容でABC分析をすれば、対応すべき重要な課題を見つけやすくなります。
まとめ|ABC分析で「力を入れる場所」を見つけよう
ABC分析は、商品や在庫、顧客などを重要度に応じてA・B・Cに分け、手のかけ方を変えるための分析手法です。背景には、「一部の要素が全体の成果の多くを生み出している」というパレートの法則があります。
やり方は、指標を決める、大きい順に並べる、構成比と累積構成比を出す、ランク分けするという4ステップです。Excelでも、並べ替えと簡単な計算式を使えば作成できます。
今日のポイントをまとめます。
1. ABC分析は、重要度に応じてA・B・Cに分類し、管理方法を変える手法
2. 基本の流れは「指標を決める→並べる→累積構成比を出す→ランク分けする」
3. Aランクは重点管理、Bランクは定期管理、Cランクは役割を見ながら効率管理する
4. Cランク=不要ではない。利益率・季節性・関連購買なども合わせて判断する
とはいえ、実務では「どの指標でABC分析をすればよいのか」「結果を見て何を改善すればよいのか」で迷うことも多いものです。
和からの統計・データ分析教室では、ABC分析のような実務で使える分析手法を、お手元のデータに合わせてマンツーマンでサポートしています。表の作り方だけでなく、数字の読み取り方や改善アクションへのつなげ方まで一緒に整理できるのが特徴です。
「自社の商品でABC分析を作ってみたい」「Excelで売上や在庫をもっと分かりやすく管理したい」という方は、まずは無料カウンセリングで、データの活かし方を一緒に考えてみませんか。
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<監修/和から株式会社 堀口智之>
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