第二種電気工事士に必要な数学とは|主な計算分野と復習方法
公開日
2026年9月28日
更新日
2026年10月13日
この記事のポイント
- 必要な数学の土台は、四則演算・分数、一次方程式、比例・反比例、平方根、比、単位換算です
- 公式過去問には、オームの法則、電力・電力量、合成抵抗、配線設計などの計算例があります
- 公式過去問から必要な計算を選び、式変形・平方根・比・単位換算を手計算で確認します
第二種電気工事士の学科試験で使う数学は、四則演算・分数、一次方程式、比例・反比例、平方根、比、単位換算が基本です。これらを使い、オームの法則、電力・電力量、合成抵抗などを計算します。まずは電圧・電流・抵抗の関係から確かめ、過去問でつまずいた計算を復習しましょう。
この記事では、主な計算分野と具体例、公式過去問を使った学び直し方を紹介します。学科の計算練習と、作品を完成させる技能試験の練習は分けて準備します。
この記事の主な内容
第二種電気工事士に必要な数学の基礎
- 四則演算・分数・一次方程式:公式に数値を入れ、求めたい量が左辺にくるよう式を変形する
- 比例・反比例・比:電圧・電流・抵抗の関係や、問題で与えられた比を扱う
- 平方根:三相交流などで現れる√3を含む計算をする
- 単位換算:WとkW、WhとkWhなどの単位をそろえる
数学をすべて学び直してから始める必要はありません。以下の計算例で使い方をつかみ、難しい箇所だけ基礎へ戻ります。
なぜ学科試験に数学の計算力が必要なのか
学科試験の7科目のうち、特に「電気に関する基礎理論」と「配電理論及び配線設計」では、電圧・電流・抵抗・電力といった量を数式で扱う問題が繰り返し出題されます。これらは配線図問題とは別に出題される、いわゆる「一般問題」の中に含まれており、電気工事の安全な施工を理解するための土台となる分野です。
電気工事士は、実際の現場でも「この配線に必要な太さの電線は何か」「回路にどれだけの電流が流れるか」といった判断を求められます。学科試験の計算問題は、こうした実務上の判断力を試験の形で確認するものだと考えると、単なる暗記科目ではなく、理解して使いこなす力が求められていることが分かるはずです。なお、電気技術者試験センターの案内によると、電気工事士試験では電卓の使用が認められていません。電卓を前提にしない計算練習が必要です。公式過去問と同じ条件で、途中式、平方根の扱い、分数、単位換算を確認しましょう。
主な計算分野(1) オームの法則を使った電圧・電流・抵抗の計算

電気に関する基礎理論の中でも土台となるのが、オームの法則です。ここでは抵抗の値が一定の回路を考え、電圧をV、電流をI、抵抗をRとすると、次の関係が成り立ちます。
電圧V = 電流I × 抵抗R(電圧の単位はV、電流はA、抵抗はΩ)
たとえば電圧100V、抵抗20Ωなら、電流はI = V ÷ R = 100 ÷ 20 = 5Aです。「V = IR」を、求める電流に合わせて「I = V ÷ R」に変形します。
この式を変形すれば、電流は「電圧÷抵抗」、抵抗は「電圧÷電流」として求められます。学科試験では、3つの値のうち2つが与えられ、残り1つを求める形式の問題が繰り返し出題されます。まずはこの関係式を丸暗記するのではなく、「抵抗が一定なら電圧に比例して電流が大きくなる」「電圧が一定なら抵抗に反比例して電流が小さくなる」という比例・反比例のイメージとセットで理解しておくと、応用が利きやすくなります。
主な計算分野(2) 電力・電流・電力量の計算
直流回路や、交流でも力率が1の抵抗負荷では、電力(消費電力)は電圧と電流の積で求められます。交流では電圧・電流の実効値を使い、一般の単相負荷の有効電力には力率を掛けます。
電力(W) = 電圧(V) × 電流(I)
さらに、電力が一定なら、電力に使用時間を掛け合わせると電力量を求められます。
電力量(Wh) = 電力(W) × 時間(h)
たとえば力率1の抵抗負荷で、電圧100V、電流5Aなら電力は100 × 5 = 500Wです。この電力で2時間使うと、電力量は500 × 2 = 1,000Wh = 1kWhになります。
電力の単位はワット(W)、電力量の単位はワット時(Wh)やキロワット時(kWh)で表されるため、単位を混同しないように注意しましょう。公式過去問には、電力・電力量や複数の負荷を扱う問題例があります。オームの法則と組み合わせて、電圧・電流・抵抗・電力の4つの量を相互に行き来できるようにしておくことがポイントです。
主な計算分野(3) 抵抗の直列接続・並列接続の合成抵抗

電気工事の配線を理解するうえで欠かせないのが、複数の抵抗をつないだときの合成抵抗の考え方です。
直列接続の場合
抵抗を直列につなぐと、合成抵抗は単純にそれぞれの抵抗値を足し合わせた値になります。
合成抵抗 = 抵抗1 + 抵抗2 + …
並列接続の場合
抵抗を並列につなぐと、合成抵抗はもとの抵抗より小さくなります。抵抗が2つの場合は、次の式で求められます。
合成抵抗 = (抵抗1 × 抵抗2) ÷ (抵抗1 + 抵抗2)
たとえば10Ωと20Ωなら、直列では10 + 20 = 30Ω、並列では(10 × 20) ÷ (10 + 20) = 20/3Ω(約6.7Ω)です。同じ抵抗でも、つなぎ方によって使う式が変わります。
「直列でつなぐほど合成抵抗は大きくなり、並列でつなぐほど合成抵抗は小さくなる」という感覚を持っておくと、計算結果が明らかにおかしい場合にすぐ気づけるようになります。分数の計算に慣れていない方は、まず簡単な整数の抵抗値で練習し、計算の手順を確認することから始めるとよいでしょう。
主な計算分野(4) コンデンサの合成静電容量
コンデンサは電荷を蓄える部品です。静電容量Cは、蓄えた電荷量Qを両端の電圧Vで割った値(C = Q ÷ V)で、電荷の蓄えやすさを表します。複数のコンデンサを接続したときの合成静電容量の求め方は、抵抗の場合とちょうど逆になる点が特徴です。
- 直列接続:合成静電容量は、抵抗の並列接続と同じ形の式で求める
- 並列接続:合成静電容量は、抵抗の直列接続と同じ形の式で求める
抵抗とコンデンサで直列・並列の式を取り違えないよう、回路図と式を対にして確認します。抵抗の合成計算をひと通り理解したうえで、あえて対比させながら整理すると、記憶に残りやすくなります。
主な計算分野(5) 電気工事に関する数値計算 電圧降下・許容電流など
配電理論及び配線設計の科目では、より実務に近い数値計算も出題されます。代表的なものが電圧降下と、電線の許容電流に関する計算です。
電流が流れる電線では、その抵抗などによって電源側と負荷側の電圧に差が生じます。この差が電圧降下です。電線の材質・太さと電流などが同じなら、配線が長いほど抵抗による電圧降下は大きくなります。単相2線式で往復の電線が同じ抵抗をもち、抵抗分だけを扱う場合は、「電圧降下 = 2 × 片道1本の電線の抵抗 × 電流」で計算します。回路の長さや電線の太さによって電線の抵抗が変わるため、条件を正しく式に当てはめる練習が必要です。
また、電線の太さ(断面積)ごとに安全に流せる電流の上限(許容電流)が定められており、分岐回路に対応する電線を選ぶ問題も出題されます。数値を丸暗記するのではなく、「材質や施工条件などが同じなら、太い電線ほど許容電流は大きくなる」「同じ管に収める電線の本数が増えると、許容電流の低減が必要になる場合がある」という関係性を理解しておくと、初めて見る数値の組み合わせにも対応しやすくなります。このほか、公式過去問には三相交流で√3を使う計算例もあります。
学科試験の計算と技能試験を分けて準備する
技能試験は作品を完成させる実技で、学科試験のような選択式の計算問題を解く試験ではありません。ただし、配線図、器具、寸法などの理解は実技でも必要です。「数学は一切関係ない」とまとめず、学科の計算練習と技能の施工練習を別々に計画しましょう。
学科試験では電卓を使用できません。公式過去問を使い、式を立てる、単位をそろえる、手計算する、選択肢で桁を確認する、という順番で練習します。間違えた問題は、公式・式変形・計算・単位・読み取りのどこで止まったかを記録します。
公式過去問から必要な数学を復習する
過去問では、求める量と与えられた値に単位を添え、使う公式と途中式を書きます。答えが出たら、桁・単位・選択肢を照合しましょう。
間違えたら、式変形で止まったのか、分数・平方根の計算か、単位換算か、問題文の読み違いかを確かめます。該当する基礎を短く復習して同じ問題を解き直すと、学び直す範囲を絞れます。
公式過去問で確認したい計算パターン
| 分野 | 主な公式・考え方 | 学習のポイント |
|---|---|---|
| オームの法則 | 電圧 = 電流 × 抵抗 | 電圧・電流・抵抗のうち2つが分かれば残り1つを求められるようにする |
| 電力・電力量 | 直流または力率1の負荷では電力 = 電圧 × 電流、一定電力なら電力量 = 電力 × 時間 | W(ワット)とWh(ワット時)など単位の違いを意識する |
| 抵抗の直列合成 | 合成抵抗 = 抵抗1 + 抵抗2 + … | 直列につなぐほど合成抵抗は大きくなる |
| 抵抗の並列合成 | 合成抵抗 = (抵抗1×抵抗2) ÷ (抵抗1+抵抗2) | 並列につなぐほど合成抵抗は小さくなる |
| コンデンサの合成静電容量 | 直列は抵抗の並列と同じ形、並列は抵抗の直列と同じ形 | 抵抗と直列・並列の関係が逆になる点に注意する |
| 電圧降下 | 電圧降下 = 2 × 片道1本の電線の抵抗 × 電流(単相2線式で抵抗分のみ扱う場合) | 配線の長さ・太さと電流の関係を押さえる |
| 電線の許容電流 | 電線の太さ(断面積)と流せる電流の対応関係 | 太さだけでなく材質・施工条件に応じた許容電流を確認する |
第二種電気工事士試験の全体像|学科試験と技能試験
試験は「学科試験」と「技能試験」で構成されます。学科試験は、紙の問題用紙で解答する筆記方式と、会場のパソコンで解答するCBT方式があります。公式案内では50問・120分・四肢択一方式で、一般問題が約30問、配線図問題が約20問です。問題数などは変更される場合があります。
学科試験の出題範囲は、電気の基礎理論、配電理論・配線設計、機器・器具・材料・工具、施工方法、検査方法、配線図、法令です。学科試験の合格者または学科試験免除者が技能試験へ進みます。
技能試験は、候補問題をもとに支給材料と持参工具で作品を完成させる実技です。学科試験の計算問題とは形式が異なりますが、配線図や器具の理解は学科と技能の両方に関係します。
2026年度の学科試験は筆記方式とCBT方式から選べます。電気技術者試験センターは2027年度からCBT方式を基本とする予定を案内しているため、受験年度の最新情報を確認してください。
試験制度の確認先
よくある質問
Q. 第二種電気工事士の最初の試験は「筆記試験」ですか?
A. 現在の正式名称は「学科試験」です。2026年度は筆記方式またはCBT方式で受験し、合格者または学科試験免除者が技能試験へ進みます。
Q. 学科試験で電卓は使えますか?
A. 電気技術者試験センターのFAQでは、電卓は使用できません。公式過去問を使って手計算に慣れておきましょう。
Q. どの計算から練習すればよいですか?
A. 公開済みの公式過去問を確認し、オームの法則、電力、合成抵抗、配線設計など、自分が止まった問題から始めます。出題分野を固定的に決めつけないことが大切です。
まとめ
第二種電気工事士の計算は、四則演算・分数、式変形、平方根、比、単位換算などが土台です。オームの法則、電力・電力量、合成抵抗の例で使い方を確認し、公式過去問でつまずいた基礎を復習しましょう。学科の手計算と技能の施工練習を分けて準備し、試験方式や条件は受験年度の公式案内で最終確認してください。
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執筆:和から株式会社 数学講師
「大人のための数学教室 和から」を運営し、累計3万人以上に指導。法人200社以上の研修実績。
<監修/和から株式会社 堀口智之>
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