生成AIで勉強は大丈夫?Z世代62.6%が利用、信頼48.5%|数学10問でAIの間違いを検証
公開日
2026年9月14日
更新日
2026年10月16日
生成AIは、学習中の疑問を言い換えてもらったり、解き方の説明を比べたりするために使えます。ただし、説明が自然でも、答えや途中計算が正しいとは限りません。教科書や解答、具体例を使って確かめながら利用することが大切です。
この記事では、和からの講師が選んだ数学・統計の10問を生成AIに解かせた結果から、実際にあった誤りと確認のしかたを紹介します。あわせて、楽天の調査で報告された「勉強・学習に利用62.6%」「学習時の情報を信頼48.5%」という数字の範囲も整理します。
この記事の主な内容
数学10問で見つかったのは、途中の足し算の誤り
今回の試行では、2つのモデルの正答数は10問中10問と、10問中9問でした。誤りがあったのは、不偏分散を求める次の問題です。
データ 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 の不偏分散は。
平均は5です。各値と平均との差を2乗して足すと、9+1+1+1+0+0+4+16=32。不偏分散は、これをデータ数より1少ない7で割った32/7 ≒ 4.57になります。
ところが、モデルBの回答は「4」でした。解説ではn−1で割ることを正しく説明していましたが、途中の合計を「9+3+0+4+16=28」としていました。正しい合計32の代わりに28を7で割ったため、答えが4になったのです。
この誤りは、途中の合計を足し直すことで確認できます。一方、何を足して何で割るかを理解するには、不偏分散の定義も必要です。計算を確かめることと、意味を理解することの両方が学習には役立ちます。
これは各モデルに1回ずつ質問した結果です。同じ問題でも回答が変わる可能性があり、モデル全体の正答率や優劣を示すものではありません。
AIの答えを確かめる、3つの方法
途中の計算を、自分でもう一度やってみる
合計、割り算、符号、単位などを見直します。計算が長ければ電卓を使っても構いません。答えだけを読むのでなく、「この行から次の行へ、どう計算したのか」を確認します。
簡単な数を当てはめたり、場合を書き出したりする
たとえば「20%値上げしてから20%値下げすると元に戻るか」は、100円で試せます。100円→120円→96円なので、元には戻りません。文字式の説明が難しいときも、具体例が確認の手がかりになります。ただし、一つの例で成り立つことだけでは、すべての場合の証明にはなりません。
言葉の意味や条件を、教科書などで確認する
平方根、不偏分散、信頼区間、p値のような用語は、計算だけでなく定義が重要です。AIの説明と教科書や信頼できる教材の説明を照らし合わせます。AIに聞き直す方法もありますが、同じ誤りを繰り返すことがあるため、それだけを正しさの確認にはしません。
10問の試行方法と結果
講師が選んだ、小学算数から統計検定2級レベルまでの10問を、2026年9月時点の2つのモデルに同じ文面で1回ずつ質問しました。追加の指示はしていません。使用条件は次のとおりです。
モデルA:ChatGPT(GPT-5.6 Luna、推論量「軽」設定)
モデルB:Gemini 3.6 Flash
これらは本記事の試行で選んだ条件です。楽天の調査では、回答者が使ったモデルや設定、質問文までは分からないため、Z世代全体の使い方を再現した実験ではありません。
下表のA・B・Cは、問題を確認するときの手がかりを講師が整理したものです。学習者を対象に測定した「誤りに気づく確率」や、難しさの順位ではありません。
- A:答えの数字だけでは判断しにくく、条件や手順を見直す
- B:検算、具体例の代入、場合の書き出しで確かめる
- C:用語や記号の定義に戻って確かめる
| 問 | 単元 | モデルA | モデルB | 確認の手がかり |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 割合 | ○ | ○ | B |
| 2 | 連立方程式 | ○ | ○ | — |
| 3 | 平方根 | ○ | ○ | C |
| 4 | 場合の数 | ○ | ○ | A |
| 5 | 条件付き確率 | ○ | ○ | B |
| 6 | 対数不等式 | ○ | ○ | B |
| 7 | 中央値 | ○ | ○ | B |
| 8 | 不偏分散 | ○ | ×(答え「4」) | A |
| 9 | 信頼区間の解釈 | ○ | ○ | C |
| 10 | p値の解釈 | ○ | ○ | C |
| 正答数 | 10/10 | 9/10 | ||
この10問では、問8以外は両モデルとも正答でした。選んだ問題数が少なく各1回の試行のため、統計検定の出題範囲全体を解けると評価することはできません。
出題した10問と確認の手がかり
問1(小学・割合)
ある商品の値段を20%上げてから20%下げると、元の値段に戻るか。
正答:戻らない(1.2×0.8=0.96倍)
注意点:「戻る」と答える型
確認の手がかり:B(100円で試せば分かる)
問2(中2・連立方程式)
x+y=10、x−y=2 を解け。
正答:x=6、y=4
注意点:基本的な計算問題として入れています
問3(中3・平方根)
a=−3 のとき、√(a²) の値は。
正答:3(√(a²)=|a|)
注意点:「−3」と答える型
確認の手がかり:C(平方根の定義に戻る必要がある)
問4(高1・場合の数)
6人を3人ずつの2組に分ける方法は何通りか。
正答:10通り(₆C₃÷2)
注意点:20通りと答える型(組に区別がないのに2で割り忘れる)
確認の手がかり:A(組に区別があるか、問題の条件を確認する)
問5(高2・条件付き確率)
子どもが2人いる家庭で、少なくとも1人が男の子だと分かった。2人とも男の子である確率は。
正答:1/3(男女が独立に等確率で生まれるとし、2人のうち少なくとも1人が男の子である家庭を条件にする場合)
注意点:1/2と答える型
確認の手がかり:B(男男・男女・女男の3通りを書き出せば分かる)
問6(高2・対数不等式)
log₀.₅ x > 2 を解け。
正答:0 < x < 1/4
注意点:底が1未満なのに不等号の向きを変えず x > 1/4 とする型
確認の手がかり:B(x=1を代入すると矛盾が出る)
問7(統計検定3級・中央値)
データ 3, 8, 1, 10, 7, 100 の中央値は。
正答:7.5(並べ替えて中央2つの平均)
注意点:並べ替えずに中央を取る、または平均(21.5)と混同する型
確認の手がかり:B
問8(統計検定2級・不偏分散)
データ 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 の不偏分散は。
正答:32/7 ≒ 4.57(偏差の2乗和をデータ数nで割る分散なら4)
注意点:nで割る分散と、n−1で割る不偏分散を区別する
確認の手がかり:A
問9(統計検定2級・信頼区間)
「母平均の95%信頼区間が[48, 52]である」とは、母平均が95%の確率でこの区間にあるという意味か。
正答:違う(母平均は定数。同じ手順を繰り返したとき区間が母平均を含む割合が95%)
注意点:「その通り」と答える型
確認の手がかり:C(信頼区間の定義を確認する)
問10(統計検定2級・p値)
検定で p=0.03 が得られた。これは帰無仮説が正しい確率が3%という意味か。
正答:違う(帰無仮説などの前提のもとで、観測した検定統計量と同じかそれ以上に極端な結果が出る確率)
注意点:問9と同じ
確認の手がかり:C
調査で分かる、生成AIの学習利用
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 生成AIの利用頻度:ほぼ毎日利用している | 38.0% |
| 用途1位:勉強・学習 | 62.6% |
| 用途2位:趣味の情報検索 | 47.0% |
| 用途3位:悩み相談 | 30.9% |
| 「勉強・学習」のシーンで生成AIの情報を「信頼している」(非常に+やや) | 48.5% |
| (参考・学習とは別の設問)商品やサービスの検討・購入時に最も信頼している情報源:検索エンジン | 42.1% |
出典:楽天グループ「Z世代における生成AI利用に関する調査」(2026年9月4日公表、15〜25歳の楽天学割ユーザー637名、調査期間2026年7月1日〜8月3日)
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0904_01.html
回答者は15〜25歳の楽天学割ユーザー637名です。調査対象と回答方法が限られているため、この結果をZ世代全体の割合として一般化することはできません。公表値として62.6%、48.5%を紹介していますが、学習の効果や、誤りを見抜く力を測った数字ではありません。
また、学習時の信頼度48.5%の分母が、回答者全員なのか学習に利用する人なのかは、リリースの記載だけでは明確ではありません。「ほぼ毎日利用38.0%」は生成AI全般の利用頻度を聞いた別の設問です。両者をつないで「信頼していないのに毎日勉強に使う人」の割合を求めることはできません。
独学で進めるときと、人に相談するとき
復習や類題演習では、自分で解いたあとにAIの説明と比べる使い方ができます。初めての単元でも、教科書の分からない表現を言い換えてもらうなど、学習の補助に利用できます。ただし、「読めば分かる」と「自分で解ける」は同じではありません。説明を閉じて解き直すと、理解できたところと難しいところを確認できます。
教科書とAIの説明が食い違う、途中式の意味が分からない、どこでつまずいたか説明できないときは、学校の先生や講師などに相談する方法があります。相談するときは、問題、AIの回答、自分が疑問に思った箇所を一緒に示すと伝わりやすくなります。
お子さんがAIで宿題をしている保護者の方へ
学校や課題の利用ルールを確認したうえで、答えを写すだけになっていないか、途中の説明を自分の言葉で話せるかを一緒に確かめてみてください。間違いが見つかったときは、「どこを見直せば分かったか」を考える機会にできます。一度誤りを見れば、その後必ず見抜けるようになるというわけではありません。
▶ 和からジュニア|小学生・中学生のための算数・数学 個別指導
まとめ
今回の10問では、多くの問題で正しい回答が得られた一方、整った解説の途中に計算ミスがありました。学習に生成AIを使うときは、途中計算をやり直す、具体例で試す、定義や条件を教材で確かめるという方法を組み合わせましょう。
AIへの信頼度を聞いた調査だけでは、学習効果や誤りを覚えてしまう割合は分かりません。使うこと自体の是非を一律に決めるより、自分で説明・確認できるところを増やし、困ったときに相談できるようにしておくことが大切です。
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<監修/和から株式会社 堀口智之>
同じことを生成AIに頼むなら、どう書けば思ったとおりに返ってくるのか。そのまま貼って使える「話しかけ方」を30個、A4・7ページにまとめました。資料づくり・メール・数字の整理・学び直しの、4つの場面別です。
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