生成AI活用企業の18.8%が「使いこなし格差」を認識|社内研修で見直したい4つの確認点
公開日
2026年9月13日
更新日
2026年9月13日
生成AIを全社に導入して、半年ほど経った会社を想像してみてください。
利用率は上がった。研修もやった。アンケートの満足度も悪くない。それなのに、ふと気づくと、AIを使った提案書も、データの集計も、議事録の要約も、同じ3人のところに集まっている。「あの人に頼めば早い」。その言葉が、また社内で増え始めている。
AIに関する仕事が一部の人に偏れば、別の形の属人化が生まれるおそれがあります。帝国データバンクの調査を手がかりに、調査で分かったことと、職場で注意したいことを分けて考えてみます。
この記事の主な内容
生成AI活用企業の18.8%が「使いこなし格差」を認識
帝国データバンクは2026年3月、全国2万3,349社を対象に調査し、1万312社から回答を得ました。生成AIを業務で「活用している」と答えた企業は34.5%で、その活用企業3,560社のうち86.7%が業務への効果を感じています。
活用企業に悪影響やトラブルを複数回答で尋ねた設問では、「悪影響やトラブルはない」が67.7%でした。一方、「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」は18.8%、大企業では23.6%でした。
「約5社に1社」という表現は、回答企業全体ではなく、生成AIを活用している企業を母数にした結果です。また、この設問だけでは、特定の社員に仕事が集中しているか、研修が原因かまでは分かりません。
調査から言えること、言えないこと
同じ研修を受けても差が残る会社はあり得ますが、帝国データバンクの調査は、研修の有無や内容と格差の因果関係を検証したものではありません。「操作研修では差が埋まらない」と断定する根拠にはできません。
一方、企業が挙げた懸念・課題の1位は「情報の正確性」50.4%でした。「上長の確認と検証に手間がかかるようになった」という企業の声も紹介されています。調査のまとめでは、最終判断を人が担う運用ルールと、出力を検証・編集するための社内教育が重要だとされています。
プロンプトや機能の説明だけで終わらせず、出力の根拠を確かめる練習も研修に入れておきたいところです。ただし、どんな研修が合うかは会社や業務によって違います。参加者と評価方法を決め、実際の仕事で確かめる必要があります。
仕事が一部の人に偏る場合に確認したいこと
ここからは調査結果そのものではなく、職場で想定されるリスクです。AIの出力を確認できる人に検証作業が集中すると、その人の負荷が上がり、他の社員が確認方法を学ぶ機会も減りかねません。
気になる場合は、AI関連の仕事が誰にどれだけ集まっているかを一度書き出してみます。依頼が集中する理由も、「ツール操作」「業務知識」「数字の検証」「承認権限」に分けてみましょう。どこで詰まっているかによって、必要な研修や運用ルールは変わります。
帝国データバンクの調査では「社員が業務をAI任せにして、仕事への意欲やスキルが低下した」が4.0%、「若手が育たなくなった」が2.2%でした。これらと18.8%の格差拡大は別々の複数回答項目であり、一方が他方を生んだとまでは言えません。
和から式「AI出力・数字4点チェック」
AIが出した数字や結論を業務で使う前に、次の4点を確認します。
- 出典:元データや資料は何で、いつの情報か
- 母数と比較:何件中の数字で、何を基準に比較したか
- 計算とばらつき:集計方法は再現でき、平均だけでなく分布も確認したか
- 人の判断:誰が最終確認し、修正理由をどこに残すか
たとえば「前年比プラス12%」なら、期間、対象件数、比較条件、計算式を確認します。4点のどこで止まったかを残しておくと、操作の説明を増やすべきか、業務知識や統計を学ぶべきかが見えやすくなります。
効果測定では利用人数や回数だけでなく、根拠を確認できた件数、誤りを修正できた件数、確認者の偏りも見ます。指標は業務目的に合わせ、導入前後で同じ方法で測ることが重要です。
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和からの法人研修で整理していること
和からの法人研修では、生成AIの操作だけでなく、業務で扱う数字や出力の確認方法も、課題に応じて組み合わせます。事前に、仕事が集中している工程、誤りが起きやすい工程、最終確認の担当を確認し、必要な内容を絞ります。
詳しくは生成AI研修(法人向け)と統計・データ分析研修(法人向け)をご覧ください。
よくある質問
Q. 「格差拡大18.8%」の母数は全回答企業ですか。
A. いいえ。帝国データバンクの調査で、生成AIを業務で活用していると答えた企業を対象にした複数回答の結果です。
Q. この調査から、操作研修では格差が埋まらないと言えますか。
A. 言えません。調査は研修の有無や内容と格差の因果関係を検証していません。一方で、出力の正確性や検証負担が課題として挙げられています。
Q. 社内研修では何を測ればよいですか。
A. 利用人数だけでなく、根拠を確認できた件数、誤りを修正できた件数、確認作業が特定の人に偏っていないかを、同じ基準で継続して確認します。
出典
帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日公表、調査対象2万3,349社、有効回答1万312社)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/
監修/堀口智之
同じことを生成AIに頼むなら、どう書けば思ったとおりに返ってくるのか。そのまま貼って使える「話しかけ方」を30個、A4・7ページにまとめました。資料づくり・メール・数字の整理・学び直しの、4つの場面別です。
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