先手必勝!?戦略とゲーム理論(中級編)
公開日
2020年10月2日
更新日
2020年10月2日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回は前回お話した「石取りゲーム」の続きをお話していきたいと思います。ぜひこちらも併せてご覧ください。
この記事の主な内容
1.復習:石取りゲームのルール確認
まず、石取りゲームのルールを確認しておきましょう。まず2人対戦のゲームであり、先攻と後攻を決めます。複数の石をいくつかの山に分けておき、先攻から石を取っていき、石が取れなくなった方が負けです。もちろん石の取り方にはルールがあります。
①いくつ取ってもいいが、必ず1つ以上取ること。
②同じ山からしか取れない(複数の山から同時に石を取ることはできない)。
このルールのもと、今回は山3つで進めていきたいと思います。
2.3つの山で対戦
今回もAさんとBさんに登場してもらいましょう。山Xは7個、山Yは5個、山Zは3個とし、Aさんが先攻です。
Aさん「う~ん、最初はどうするか迷うなぁ。では一番多い山のXから5個取っちゃいます。」
Bさん「かなり減りましたね!じゃあ、何となくYから4つ取ることにします。」
鋭いAさん「(…!?これってもしかして、僕負け決定…?)とりあえず、Zから3個全部取ります。。。」
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にやけるBさん「これは2つの山の場合と同じだね!ということはXから1個取って山の数を同じにすればいいんだね!★」
敗北を確信するAさん「(無言でXから1個取る)」
こうして、最後の1つをBさんが取ることで、Bさんの勝利が決定しました。いかがでしょうか?負けを読んでいたAさんも鋭かったわけですが、こんなゲームに必勝法なんてあるのでしょうか。
3.Aさんがとるべきだった一手
必勝法は実はあります。方法を知っていれば、なんとAさんは確実に勝利していたのです。Aさんが取るべき最初の一手は、どこの山でもいいので、「1つ石を取る」だけです。たとえばXから1個石を取ったとしましょう。
驚くべきことに、この後Bさんがどんな手を打とうと、確実にAさんが勝てる状況に持ち込めたのです。前回の話(2つの山の場合)の教訓から、Bさんが少なくともやってはいけない手は「同数の山を作る」ことです。例えばYから2個石を取ると(X,Y,Z)=(6,3,3)となります。するとAさんは同数でないXの山を全て取り去ることで、「同数2山」の状態に持ち込めます。それを踏まえて、例えばBさんがYから4個石を取ったとしましょう。
するとAさんは取るべき一手は先ほどの対戦の教訓からXの山から4個取ることで(X,Y,Z)=(2,1,3)にします。先ほどの対戦で明らかなように、山の数が(1,2,3)になった時点でと相手の打つ手はなくなります。つまり、Aさんの勝利になります。
とにかく恐ろしいのは、Bさんがどんな手を打っても、Aさんには必ず“神の一手”が存在することです。そして何より、数学(ゲーム理論)を使うことで戦況を支配することができるのです。これがゲーム理論の面白さです。
5.さいごに
いかがでしたでしょうか。せっかくなので、(7,5,3)の状況からAさんが勝利するまでのルートを以下にまとめてみました(ただし、2山にする、同数の山を作ることは避けています)。
こうしてみると、最初に山の石の数が7、5、3個である場合、先攻のAさんが必勝一手を行うとBさんははじめからなす術がないことが分かります。次回はいよいよ、数学を使った解説を行います。必ず存在する「神の一手」を極めましょう!お楽しみに!
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<文/岡本健太郎>