先手必勝!?戦略とゲーム理論(初級編)
公開日
2020年9月28日
更新日
2020年9月28日
こんにちは。和からの数学講師の岡本です。今回はゲームについてお話します。例えば囲碁や将棋などはまさに、戦略がものをいいます。現代では、AI(人工知能)を使って「最良の手」などが解析されています。しかしながら、一手一手の手数の組み合わせの数は途方もなく多く、なかなか人間の頭の中で「必勝法」を確定するのは難しいようです。
今回は一例として「石取りゲーム」という1対1のゲームについて考えていきます。
この記事の主な内容
1.石取りゲームとは
まず、なるべく多くの石を用意します。その石をいくつかの「山」に分けて盤上に置きます。2人のプレイヤーは交互に「山」から石を取っていきます。ただし、取っていく石は何個でも構いませんが、必ず1個以上は取ることと、取る場合は1つの山からのみとします。
つまり、複数の山から少しずつ石を取っていくことはできません。このルールのもと、最後に石を取ったプレイヤーが勝利とします。
最も簡単な例として山が1つの時を考えます。
この場合は先手必勝です。最初のプレイヤーが全ての石をもっていけばゲーム終了となり、全く面白くありません。なので、山は2つ以上で考えていくことにします。
2.山が2つの場合でやってみよう!
山が2つの場合を考えましょう。例えば、石の数7個の山Xと4個の山Yという具合に分けておき、Aさん→Bさんという順番で石取りゲームを始めます。
Aさん「まず、山Xから石を2個取ることにします。」
Bさん「では、Xから石を4個取ることにします。」
Aさん「う~ん。あ!ひらめいた!では、次はYから3個頂きます!」
Bさん「あ…、しまった…(泣く泣くYから1個を取る)」
Aさん「では、いただきます!(最後の1個を取り、Aさんの勝利)」
という具合でAさんが勝利しました!
3.戦略を考えてみる
では、戦略について解説していきましょう。2節のシチュエーションの場合、先方のAさんが優位なのです。それどころか、戦略がわかっていれば、Aさんは必ず勝利できます。
実はこのゲームの必勝方法は「石の数を同じにすること」です。つまり、最初のAさんが7個ある石のうち3個を取ることで石の数のペアを(4, 4 )にします。
この後、Bさんがどんな手を使っても、Aさんはそれを真似して石の数の多い山から石を取り、同数にすることができます。これを繰り返していくことで、いつか必ず石の数のペア(1, 1)でBさんの番となるはずです。ここまでくれば、もうAさんの勝利は確定します。なぜならBさんは必ず1つ以上の石を取らなくてはいけませんし、1つの山からしか取れないというルールのため、Bさんはどちらかの山から1個石を取ることしか選択肢がありません。よってAさんが最後の石を取ることで勝利します。このような戦略に関する数学的な研究分野として「ゲーム理論」というものがあります。次回以降にもう少し詳しくお話していこうと思います。
5.さいごに
いかがでしたでしょうか?今回は山が2つの場合について、その必勝方法を解説してきました。でもまだまだ物足りないですよね?次回は山が3つ以上の場合について考えます。面白くなってくるのはここからです!果たして最良の手があるのか?「神の一手」は存在するのか!?ぜひ次回もお楽しみに!!
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<文/岡本健太郎>