数学教室「和」お客様インタビュー・佐伯様「音楽も数学も楽しいから好き」
公開日
2018年1月21日
更新日
2018年1月21日
和から株式会社が運営する大人のための数学教室「和(なごみ)」。実際にどのような方が「和(なごみ)」に通われているか疑問をお持ちの方も多いはず。今回はお客様インタビューということで私、中村が「和(なごみ)」に約2年通われているという佐伯様にインタビューしてきました!そして、佐伯様の担当講師である小林先生にも同席していただきました。
通い始めたきっかけや今学んでいること
中村:初めまして。中村俊介と申します。よろしくお願いします。 佐伯様(以下、佐伯):佐伯と申します。こちらこそよろしくお願いします。 中村:今佐伯さんはお仕事は何をなさっているのですか? 佐伯:音楽教室でピアノの先生をしています。あとは時々演奏をしたりセッションを企画したりなど、割と自由きままに(笑) 中村:音楽の先生なんですね。音楽と数学は一見少し遠い世界のような気がするのですが、「和(なごみ)」に通われ始めたきっかけは何だったんでしょうか? 佐伯:きっかけ…。音楽科って理系科目が無くなるんです。中学数学で止まってしまっていて。数ⅠAからやったことが無かったんです。それで普通科の方がやるようなこともやっておきたいと思って、ネットで「大人 塾 数学」でヒットしたんです。 小林先生(以下、小林):中学の時から数学が好きだったという事もあったようですし、それに音楽というのも論理的ですよね。そういった力があるのに数学を高校で出来なかった。かと言って普通の塾では高校生と一緒になってしまいますし…。そういうわけでこちらに来られたんです。 中村:そうなんですね。数学が好きなのに中学数学までしか習わないことは確かに勿体無いなと思います。高校数学以降からようやく少しずつ学問らしくなってきて徐々に数学の面白さが出てくると思っているので。 佐伯:そもそも塾って入れるんですかね?普通の所に。 中村:予備校に行くにも、大学目指していないし。みたいな感じですよね(笑)「和(なごみ)」はその点、普通に受け入れてくれそうで良いですね。
▲佐伯様
中村:そのホワイトボードに書いてあるのは、高校数学の微分計算ですよね? 小林:今日は数Ⅲの始まりですね。三角関数の微分をしていました。普通のカリキュラムだと極限だけを一気に習ってしばらくしてから微分がでてきますが、それだと何に向かっているのかが良く分からないので自分はまず導関数からお話をして、極限の問題に突き当たってから極限の話に入っていくという自然な流れを意識して授業をしています。 中村:こういった授業は小林先生がどこをやるか決めるんでしょうか? 小林:まずは今興味があることを佐伯さんに聞いて、その上で分野を決めて授業をしていますね。 中村:先生が教えたいと思っている話を教えるのではなく、先生がお客様の学びたい所に合わせるというのは凄く良いですね。佐伯さんは「和(なごみ)」だから出来ているというサービスを他に何か感じていますか? 佐伯:聞きたい所を聞く事が出来るという所ですかね。例えば今数Ⅱをやっているから数Ⅱというわけではなく、やっている所に縛られずに聞くことが出来るので。 中村:そうですね、確かに先生の知識がとても幅広いので、何でも興味の赴くままに聞く事が出来ますよね。大学数学でも面白い分野が沢山ありますし。
▲佐伯様(左)、小林先生(右)
音楽と数学
中村:先程音楽高校と仰っていましたが、僕も音楽が好きでMathPowerでの音楽と数学の講演を聞いたりもしていたんです。音楽と数学の繋がりというのは私にとってはとても楽しいのですが、習っていて数学を音楽に使えるなという部分はありますか? 佐伯:直接数学を使うとなると音の周波数をひとつひとつ考えていくことになると思うんですが、例えばクラシックの和声理論とジャズ・ポップスのコード理論というのが同じもので、それが一致しているという統一的な視点は数学的だと思います。例えばジャズでは、コード進行を見て和声理論に当てはめ、今自分はどのKeyに居るのか?と考えて弾きますし、ポップスの曲も、ここで音階固有外の和音を使っていてこの部分は転調している、などという風に曲を分析する事が出来ます。 中村:ジャンルが違っても共通の見方ができるという事ですよね。 小林:そうです。よく見ていくと同じ事を言っているという。和声理論を分かりやすく学びやすく取り出したものがコード理論のようになっているのですが。 中村:確かに、統一的な視点へというのは目指す方向としては数学や物理と同じように感じます。実は前から関心があったのですが、音楽と相性の良い数学の分野ってどこになるのでしょうか?代数学とかですかね? 小林:群論などを用いて音楽を考えるというのは現代音楽でやっている人がいると思います。西洋的ないわゆるクラシックは元々ピタゴラス教団が数の比からピタゴラス音階というのを考えて…。自分が色々答えて良いのかな(笑) 一同:笑 中村:すみません(笑)自分も興味があってつい聞いてしまいました。 中村:数学の良い所の1つとして音楽だけでなはく物理学や生物学、ファッション等色々な分野に応用できる汎用性があると思うのですが、他に数学をこのように応用したいというのはありますか? 佐伯:そうですね、、何かに役に立てようと思っていなくて、ただ勉強するのが目的で面白いから来ている感じです。大人でピアノを習いに来る人はピアノを弾くのが楽しいから来ますよね。それと同じ感覚で来ていると思ってもらえれば。 小林:習い事の1つとして数学はなりうるということですよね。ピアノやお茶を習うように数学を習う。 中村:その感覚分かります(笑)自分も数学物理はゲーム感覚でしたし。習い事と言うかゲーム、遊びなんですよね。佐伯さんは数学の何が楽しいというのはありますか?学んで行って知識が増えていくのが楽しいのでしょうか? 佐伯:そうだと思います。例えば1人で黙々と問題集をやっていて勉強していて楽しいですね(笑) 小林:佐伯さんがお仕事にされている音楽と数学というのも似ていますよね。とても記号的な所とそこに意味を見いだせる所が。本当に記号だけで行ってしまうと、理論的には正しいけれど不自然な音楽になってしまったり。 佐伯:そうですね。それは感じています。音楽でも理論だけで課題を解くことは出来るのですが、実際に音を鳴らすとどうなるかを考えた方が良いんじゃないかと思っています。教えていて意味を理解している人は頭の中できちんと音が鳴っているんですよね。 中村:何だか科学的ですね。理論と実験、理論の価値を担保するものとして実験がある。そんな話に聞こえます。ファッション×数学でも同じ事を聞いたような…。小林先生が佐伯さんを担当されているのはやはり小林先生が数学にも音楽にも精通されていてこういった話も出来るからなのでしょうか? 佐伯:そうだと思います。最初に誰の先生のつくかの面談をした時に音楽の話をしていたので。 小林:自分がジャズを学んでいたのと、中学数学から大学数学初歩まで教えられるということで最適な形だったのかなと思いますね。
▲小林先生
今後学ぶこと
中村:数学は色々な分野があって人によって好みもあると思うのですが、これから学ぶ分野はどのようなものがありますか? 小林:決まった分野はないのですが、佐伯さんの興味のあることを分野ごとの繋がりを大切する意識で教えて行きたいと思っています。例えば、大学では微分積分、線形代数という感じで単元ごとに深掘りしますが、そうではなく色んな分野を行き来しながら分野と分野の繋がりを見せる。そういった広い視点は独学では難しいと思っているので。 中村:確かに全体を俯瞰するというのは1人では難しいですよね。自分も大学の頃は一つ一つを深掘りしていって学んでいくうちに全体像が見えてきたという感じがするので、そういう全体像を教えて導いてくれる人が先生というのはとても羨ましい環境だと思います! 小林:あと、本を読んだりすると色々と証明などがすらすらと書いてありますがその証明や気付き等の「自然さ」も大切にしています。例えばここですごい解き方をしていて、このイコールは分かるのだけれど、何故この発想が出てきたのか?とかです。その辺りの突っ込んだ所まで佐伯さんは考えてくださっていますね。 中村:それはすごくいい勉強になっていますね!となると、一方的な授業ではそのあたりの解説は難しそうですね。 佐伯:そうですね、会話をしながら授業をしてもらっています。どこかで分からなければ「ちょっと待って下さい、ここがこれになるのは何をしたんですか?」とその場で思ったことを聞いていますね。 小林:例えば今日は「積の微分と合成関数の微分」といったように、今日これをするという幹は授業前に考えてはいるのですがそこを伝えたら後は楽しく佐伯さんの興味の赴くままに授業をしていますね。どの問題を解くかまで決めているわけではないですし、今日もこの三角関数はこの場で例を挙げて微分の計算をしていました。 佐伯:で私が、「どんなグラフになるのですか?」と聞いて(笑) 中村:なるほど(笑)気ままで楽しんでいる感じが伝わってきますね。すごく楽しい数学をしていそうで、とてもいい勉強な気がします。 佐伯:自分の理解がついていけるところまで(?)数学の勉強を続けていきたいと思います。 中村:興味の赴くままにというのが自由でいいですね!僕も何だか数学をやりたくなってきました。
次回もお楽しみに!
お客様インタビューの目的だったのですが、小林先生も沢山お話してくださり思いもかけず数学と音楽との繋がりについての話にもなりました。 数学を学ぶ事自体が楽しいという佐伯さんは、習い事の1つとして数学を捉えていました。 これから佐伯さんの中で音楽と数学がもっと深く繋がり、新しい芸術が生み出されて行くのではないかと個人的にはわくわくしています!それでは次回もお楽しみに!
(文/中村俊介)