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事業展開等リスキリング支援コースで対象外になる研修、対象になる研修|令和8年8月改正の判定例

公開日

2026年9月23日

更新日

2026年9月23日

対象になる研修・ならない研修の判定例

人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースで、生成AI研修が助成の対象になるかどうかは、講座の名前ではなく中身で決まります。令和8年8月3日の改正にあわせて厚生労働省が公表した変更点リーフレットでは、「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」が助成対象とならない例として挙げられ、その一方で「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」が助成対象となる例として挙げられています。分かれ目は、特定の業務への具体的な適用があるかどうかです。

同じ「生成AI研修」でも、プロンプトの書き方一般を学ぶ設計なら対象外、営業担当者が提案書を作る業務に落とし込んだ設計なら対象になりうる。この記事では、改正の中身と厚生労働省の判定例を確認したうえで、生成AI研修を対象になりやすい形に設計する考え方と、職種別の具体例を紹介します。

この記事のポイント
・令和8年8月3日改正の柱は、受講回数の上限と、対象とならない訓練の2点
・厚労省は「汎用的なプロンプトの作り方」を対象外の例、「営業担当者向けの提案書作成」を対象の例として示した
・判定理由の表現は「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため助成対象外」
・対象講座の一覧は存在せず、可否は個々のケースごとに労働局が審査する

令和8年8月3日の改正で変わったのは2点

厚生労働省の「令和8年8月3日からの変更点」リーフレットは、「『受講回数の上限』が変更になります」「『対象とならない訓練』が変更になります」の2つを挙げています。研修の企画に直接関わるのは後者ですが、前者も年間計画の立て方を左右します。

受講回数の上限は、同一の労働者に対して一の年度で3回まで、eラーニングによる訓練の場合は一の年度で1回までとされています。ここでいう年度は、支給申請日を基準として4月1日から翌年3月31日まで。そして回数には、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講のみが算入されます。8月3日より前に提出済みの計画届による受講は回数に含まれないため、改正前から研修を続けてきた企業でも、カウントはここから始まることになります。

なお、リーフレットには「今回の変更には経過措置がございます。詳しくは支給要領・パンフレットをご確認ください。」という注記があります。令和8年8月2日以前に契約や申込みを済ませた研修の扱いまでは本記事で確認できていないため、改正をまたぐ時期の研修については管轄の労働局にご確認ください。

厚労省が示した判定例を原文で読む

変更点リーフレットには、助成対象となる例とならない例が訓練の内容つきで並べて示されています。原文のまま引用します。

区分 厚生労働省が挙げている訓練の例
助成対象となる例 生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練
助成対象となる例 自社のエネルギー使用量データの収集方法、CO₂排出量算定ルールに基づく計算手順を学ぶ訓練(CO₂排出量算定業務を担当する者を対象とする場合)
助成対象とならない例 生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練
助成対象とならない例 DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練
助成対象とならない例 脱炭素の基本理念や国際情勢、GX化を進める上で企業に求められる対応を学ぶ訓練

対象外の理由として書かれているのが「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため助成対象外」という表現です。問われているのはテーマそのものではなく、その内容が受講者の特定の業務にどう適用されるかが訓練に組み込まれているかどうかです。

見落としやすいのが受講者の側です。CO₂排出量算定の例には「CO₂排出量算定業務を担当する者を対象とする場合」という限定が付いています。内容が具体的でも、受講者本人の職務と結びついていなければ対象外になりうるということです。

支給要領が「助成対象とならない」としているもの

判定例の背景にあるのが、支給要領0305の表1に列挙された「OFF-JTのうち助成対象とならないもの」です。生成AI研修に関係が深いのは次の3つです。

ひとつは、職業または職務に間接的に必要となる知識および技能を習得させる内容のもの、つまり職務に直接関連しない訓練等。生成AIの一般的な使い方を学ぶ講座は、特定の職務との直接の関連という点で説明が難しくなります。ふたつめは、職業または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの。全社員一律の「生成AIリテラシー研修」は、この書きぶりに当てはまりやすい形です。みっつめが、役職として求められる知識・技能の習得を目的とするもの。管理職向けに生成AIの活用方針やマネジメント上の留意点を扱う研修は、職務ではなく役職に紐づく内容と見られる可能性があります。

研修の値打ちの話ではなく、この助成金が「職務に直接関連した、特定の業務のための訓練」に絞られているという制度の性格の話です。

生成AI研修を対象になりやすい形に設計するには

ここまでの線引きを踏まえると、カリキュラムを組む方向性ははっきりします。まず、講座名と科目名に「部門・職種」と「業務」の両方を入れること。「生成AI活用研修」ではなく「営業担当者向け・生成AIを用いた提案書作成」のように、誰が何の業務のために学ぶのかが名称だけで読み取れる状態にします。厚生労働省の対象例が「営業担当者向けの訓練」「商品提案書の構成案作成」と書かれていることと対応します。

次に、生成AIの仕組みや一般的なプロンプトの原則といった概念説明にあてる時間を小さく抑えること。導入として最低限の説明は必要ですが、そこが主役のカリキュラムは対象とならない例の書きぶりに近づきます。演習は、汎用的な練習課題ではなく自社の業務を模した題材で組むこと。実際に使っている提案書の構成や数字の形式に沿った演習なら、訓練が特定の業務へどう適用されるのかを説明できます。

ただし、こう書けば必ず通るという書式や言い回しがあるわけではありません。助成の可否は、訓練内容と受講者の職務との関連性や経費・賃金の支払い状況などを労働局が審査し、個々のケースごとに判断します。

職種別に考えた研修テーマの例

営業職なら、自社商品の提案書について構成案の作成から文章生成、修正までを扱う研修。経理職なら月次データの整理と報告資料の作成を、自社の科目と帳票の形式に沿って進める研修。マーケティング職なら施策の効果検証を、データの読み取りから報告のまとめ方まで扱う研修です。

いずれもテーマは生成AIの活用ですが、入り口が職種と業務になっています。全職種一律で受けさせるより、職務ごとにカリキュラムを分けるほうが制度の考え方と噛み合います。

「対象講座一覧」はないので、講座名では判断できない

「助成金対象講座」という案内は、厚生労働省が認定した一覧があるかのように見えます。しかし事業主向けQ&Aには、「この訓練機関のこの訓練を受講すれば助成対象となると厚生労働省が認めた訓練はありますか。」という問いに対して「そのような訓練はありません。業種や受講者の職務と訓練の内容との関連性、実際に行われた訓練内容、経費や賃金の支払い状況などさまざまな要件を審査し、個々のケースごとに助成の可否を判断します。」と書かれています。

対象かどうかは講座名では決まらず、自社の事業展開等の計画、受講者の職務、カリキュラムの中身の組み合わせで判断されます。同じ講座でも受講者の職務が変われば結論が変わりうるということです。

だからこそQ&Aは「計画届の提出前に、余裕を持って管轄の労働局またはハローワークにご相談ください。」と案内しています。計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出するものなので、相談の時間も含めれば、研修の実施を決めた段階で動き始めるのが現実的です。カリキュラムと受講者の一覧を持って相談しておけば、見直しが必要になっても開始日を動かさずに済みます。

よくある質問

Q. 生成AI研修は令和8年8月の改正で助成対象外になったのですか?

一律に対象外になったわけではありません。厚生労働省の変更点リーフレットは、対象とならない例として「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」を挙げる一方、対象となる例として「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練」を挙げています。特定の業務への具体的な適用を伴うかどうかが分かれ目です。

Q. 汎用的な内容の研修でも、演習を追加すれば対象になりますか?

演習を足せば対象になるという基準は示されていません。示されているのは「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため助成対象外」という判定理由です。演習を自社業務を模した内容にすることはその適用を示す手立てですが、可否は受講者の職務との関連性などを踏まえて労働局が審査します。

Q. 令和8年8月2日以前に申し込んだ研修も、新しい基準で判断されますか?

変更点リーフレットには「今回の変更には経過措置がございます。詳しくは支給要領・パンフレットをご確認ください。」との注記があります。改正前に契約・申込みをした訓練の具体的な取扱いは本記事では確認できていないため、管轄の労働局にご確認ください。

Q. 受講回数の上限は、いつの受講からカウントされますか?

回数には、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講のみが算入されます。上限は同一の労働者に対して一の年度で3回まで、eラーニングによる訓練の場合は一の年度で1回まで。年度は支給申請日を基準として4月1日から翌年3月31日までを指します。

まとめ

令和8年8月3日の改正は、事業展開等リスキリング支援コースの線引きを、テーマではなく業務への適用で見る方向に整理したものです。生成AI・DX・GXのいずれについても、概念や考え方を学ぶ訓練が対象とならない例として、特定の職種が特定の業務で使う訓練が対象となる例として示されました。判定理由である「特定の業務への具体的適用を伴わない汎用的内容であるため助成対象外」は、カリキュラムを点検する物差しとしてそのまま使えます。

企画する側がやるべきことは、講座名と科目名の立て方、概念説明と演習の時間配分、演習の題材という3か所の見直しに集約されます。対象講座の一覧は存在せず可否は労働局が個々に審査するため、計画届の提出前の事前相談は省けない手順です。

カリキュラムを職種と業務に寄せて作り直すことは、助成金の要件を満たすと同時に、研修の内容を受講者の実際の業務に近づける作業でもあります。実際の提案書や月次データを題材にした演習なら、受講者は普段扱っている形式のまま手を動かすことになります。制度が求める「特定の業務への具体的適用」と、業務に沿って研修を設計することは、ほぼ同じ内容を指しています。

和からでは、職種ごとの実際の業務に沿って生成AIを実習する法人研修を、助成金の活用を前提に設計しています。制度の要件を踏まえたカリキュラム作りから、ご相談いただけます。

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参考にした資料
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)令和8年8月3日からの変更点(厚生労働省)
人材開発支援助成金支給要領(令和8年8月3日版・厚生労働省)
人材開発支援助成金 詳細版パンフレット(令和8年8月3日版・厚生労働省)
人材開発支援助成金 事業主向けQ&A(令和6年10月版・厚生労働省)

※本記事は2026年9月時点の公表資料(支給要領 令和8年8月3日版ほか)に基づく解説です。助成の可否と金額は管轄の労働局の審査で決まります。制度は改正により変更される可能性があるため、最新の情報は厚生労働省の公式ページでご確認ください。

監修/和から株式会社 堀口智之

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