OpenClawとは?自律AIエージェントの仕組み・作業例・安全に試すための確認事項
公開日
2026年10月16日
更新日
2026年10月21日
OpenClaw(オープンクロー)は、チャットで依頼を受け、AIと接続したツールを使って、パソコンやサーバー上の作業を進める仕組みです。たとえば、指定した資料を読み、要点を整理して下書きを作るような使い方を検討できます。実際にできることは、接続したモデル・ツールと、許可した操作によって変わります。
この記事では、まず簡単な作業例で全体像をつかみ、そのあとに仕組み、データの処理先、安全に試すための確認事項を説明します。
この記事のポイント
- チャットの窓口、AIモデル、実行するツールをつなぐ仕組みとして理解します。
- 自分の端末で動かす部分があっても、クラウド型AIを使えば情報が外部へ送られる場合があります。
- 最初に作業範囲を決め、その作業に必要な権限だけを与えます。使い慣れても、権限を広げる必要があるとは限りません。
この記事の主な内容
OpenClawで何ができるのか、作業例から考える
ここでは、公開された資料を読んで社内向けのメモを作る場面を例にします。以下は仕組みを理解するための想定例で、特定の企業での導入実績ではありません。
- 依頼する:利用者がチャットで「この公開資料の要点を3つにまとめて」と伝えます。
- 資料を読み、整理する:接続したAIが依頼を解釈し、許可された閲覧ツールで資料を参照して、要点をまとめます。
- 人が確認する:返ってきた下書きと元資料を照らし合わせます。共有する場合は、内容と共有先を人が確認します。
この作業なら、最初からメール送信、ファイル削除、社内システムの更新まで許す必要はありません。まずは公開情報の参照とチャットへの回答など、目的を満たす小さな範囲に絞れます。
文章を返すだけの使い方に加え、ツールによる作業までつなげられるのがAIエージェントの特徴です。ただし、指示したことが必ず正しく完了するわけではなく、結果の確認や、判断に迷ったときに人へ戻す手順も必要です。
仕組みを、窓口・AI・ツールに分けて理解する

OpenClawは、Peter Steinberger氏が開発を始めたオープンソースのプロジェクトです。オープンソースとは、ソースコードが公開され、内容を確認したり改良に参加したりできるソフトウェアのことです。
全体像は、次の3つに分けると理解しやすくなります。
- 指示を受ける窓口:Slack、Discord、Telegram、WhatsAppなどの対応するチャットアプリを接続します。チャットから使う場合も、事前の接続設定は必要です。
- 依頼を解釈するAI:設定したAIモデルが、何を調べ、どんな作業をするかを考えます。
- 作業を行うツール:資料の閲覧、ファイル操作、ブラウザ操作、コマンド実行などを、許可された範囲で行います。
これらの接続や会話の管理を担う中核が「Gateway(ゲートウェイ)」です。自分のパソコンやサーバーで動かせます。OpenClaw自体と、文章を生成・判断するAIモデルは、役割が異なります。
会話履歴や保存した情報を参照する機能もありますが、すべての指示が常に保持・参照されるわけではありません。重要な条件は、保存されている内容と実行前の確認で確かめます。機能の詳細はOpenClaw公式ドキュメントを参照してください。
「自分の端末で動く」と「外部へ情報を送らない」は別
OpenClawのGatewayやツールの実行環境は、自分の端末に置けます。このように自分で動作環境を用意することを「自己ホスト」と呼びます。
ただし、クラウド型のAIモデルを接続すると、依頼文や参照資料の内容がモデル提供者へ送られる場合があります。どこでツールが動くかと、どこでAIが処理するかを分けて確認することが重要です。
社内情報を使う前に、モデルの設定、送信先、保存条件、社内の利用ルールを確認します。まずは秘密情報を含まない公開資料やダミーデータで試すと、扱う情報を限定できます。
安全に試すために、必要な権限だけを決める

権限は、慣れるにつれて順番に広げるものではありません。やりたい作業に必要な操作だけを選び、不要な操作は許可しないのが基本です。次は、作業と権限を分けて考えるための例です。
| 目的 | 検討する操作範囲 | 先に決める確認 |
|---|---|---|
| 公開資料を整理する | 必要な資料の閲覧と回答 | 参照先を限定し、回答を元資料と照合する |
| 下書きをファイルにする | 専用の作業場所への限定的な書き込み | 既存ファイルの上書きを避け、保存先と戻し方を決める |
| 計算や処理を実行する | 必要なコマンドだけの実行 | 隔離した環境で、アクセス先や実行内容を確認する |
| メールやチャットを送る | 決めた宛先への送信 | 宛先と内容を人が確認してから送る |
| 削除・決済・契約変更を伴う | 影響の大きい操作 | 初期の試行から外し、原則として人が実行する |
最初に紹介した資料整理の例なら、閲覧と回答だけで目的を満たせます。書き込みや送信が必要になった場合も、その必要性と影響を改めて確認します。テスト用の環境で、操作ログ、止め方、問題があったときの戻し方を確かめてください。
誰が指示できるかも、権限の一部
ファイルやツールへのアクセスだけでなく、誰がエージェントにメッセージを送れるかも確認します。公式ガイドでは、1つのGatewayは、互いに信頼しない利用者を安全に隔離する境界として扱わないよう説明されています。DMやグループの許可範囲を限定し、利用者が共有する権限を把握します。
読んだ資料の中にも、危険な指示が混ざり得る
Webページ、メール、文書に「別の場所へ情報を送れ」などの指示が含まれ、AIの動作へ影響することがあります。これをプロンプトインジェクションと呼びます。資料の内容を、そのまま利用者からの操作指示として扱わないよう、アクセス範囲と実行前の確認を組み合わせます。
コマンドの隔離環境(サンドボックス)や許可リストは、設定・有効範囲を確認して初めて役立ちます。導入時や設定変更時は、公式のセキュリティガイドに沿って確認してください。
機能を追加するClawHubは、内容を確認して使う
ClawHubは、機能拡張のためのスキルを探せるレジストリです。必要な手順や機能を追加する際に利用できますが、公開されていることだけで安全性が保証されるわけではありません。
第三者のスキルは、提供者、内容、要求する権限を確認してから導入します。更新時にも変更点を確認します。コミュニティによるソフトウェアの改良と、AIが自ら安全に自己改善することは別です。
名称の変遷:Warelay、Clawd/Clawdbot、Moltbot、OpenClaw
公式の沿革では、初期のWarelayはWhatsApp向けのゲートウェイでした。その後、アシスタント/プロジェクトはClawd、Clawdbotとして発展し、2026年1月にMoltbot、さらにOpenClawへ名称が変わりました。WarelayをOpenClawそのものの最初の公開名と断定するより、機能とプロジェクトが段階的に発展した流れとして捉えるのが正確です。
短期間の改称で過去記事の名称が混在しているため、情報を調べる際は現在のOpenClaw公式の沿革と公式ドキュメントを基準に確認しましょう。
よくある質問
Q. OpenClawはどのようなツールですか?
A. チャットの窓口とAIモデル、作業用ツールをつなぐオープンソースの仕組みです。Gatewayを自分のパソコンやサーバーで動かし、許可された範囲で資料の閲覧やファイル操作などを行わせます。できることは接続と設定によって変わります。
Q. なぜ短期間で何度も名前が変わったのですか?
A. Warelayは初期のWhatsAppゲートウェイで、その後アシスタント/プロジェクトがClawd、Clawdbotとして発展しました。2026年1月にMoltbot、さらにOpenClawへ改称されています。公式の沿革によると、ClawdbotからMoltbotへの改称は、Anthropicから商標上の理由で名称の変更を求められたことがきっかけです。名称が混在した過去記事を読む場合は、公式の沿革を確認してください。
Q. 会社の業務で使う場合、何に気をつければよいですか?
A. まず対象の業務と扱う情報を決め、必要な権限だけを与えます。指示できる人、AIへのデータ送信先、第三者スキル、ログと停止手順も確認します。使い慣れたことを理由に、送信や削除などの権限を追加する必要はありません。
まとめ
OpenClawは、チャットからの依頼をAIとツールによる作業につなぐ仕組みです。最初は公開資料の整理などの具体的な仕事を選び、必要な接続、データの処理先、人が確認する場所を整理しましょう。
安全に使うための出発点は、作業に必要な権限だけを与えることです。自分の端末で動く場合も外部への情報送信は起こり得るため、実行環境とモデルの処理先を分けて確認します。
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執筆:和から株式会社 数学講師
「大人のための数学教室 和から」を運営し、累計3万人以上に指導。法人200社以上の研修実績。
<監修/和から株式会社 堀口智之>
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