通っていた塾が閉塾したら。保護者が最初の1週間でやること
公開日
2026年10月20日
更新日
2026年10月20日
通っていた塾から閉塾の知らせが届いた。あるいは、ある日教室が閉まっていた。そうしたとき保護者が確かめることは、大きく分けて「払ったお金」と「子どもの勉強の続き」の2つです。この記事では、閉塾がわかってから最初の1週間でやること、次の塾の選び方、算数・数学について気をつけたいことを順に整理します。
この記事の主な内容
塾の閉塾は、いまは珍しい出来事ではありません
東京商工リサーチの集計では、2025年の学習塾の倒産は55件でした。同社が集計している2006年以降で最も多く、それまで最多だった2024年の53件を上回っています。帝国データバンクの集計(負債1,000万円以上の法的整理が対象、2025年12月26日までの速報値)でも46件で、こちらも過去最多です。2社で件数が違うのは、集計の基準が違うためです。
倒産とは別に、経営者が自分で教室を閉じる休廃業・解散もあります。東京商工リサーチによると、2024年の学習塾の休廃業・解散は195社で、同じ年の倒産53件の3倍を超えていました。統計の上でも、通っている塾が閉まることはどの家庭にも起こりうることだとわかります。
閉塾がわかったら、最初の1週間でやること
次の4つは、閉塾の知らせを受けてから1週間ほどのうちに手をつけておくと、あとで困りにくくなります。
1. 支払ったお金と契約の内容を確かめる
まず、月謝や講習費、教材費をいつまでの分払っているかを確かめます。契約書、申込書、領収書、口座振替やクレジットカードの明細、塾からのお知らせ(メールやアプリの通知、配布された紙)を一か所に集めておきます。
前払いした分が残っていても、返金されるかどうか、どのくらい戻るかは、契約の内容や塾の状況(自主的な閉塾か、破産などの法的な手続きに入ったか)によって変わります。家庭だけで判断せず、相談先に確かめてください。
- 消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。
- クレジットカードで払っていた場合は、カード会社にも状況を伝えて相談します。
- 塾が破産の手続きに入った場合は、裁判所が選んだ破産管財人から書類が届くことがあります。届いた書類は捨てずに保管し、内容がわからなければ相談先に見せます。
2. 教材と進度の記録を残す
次の塾や先生に引き継ぐための記録です。教室が閉まると、カリキュラムや成績の資料をあとから取り寄せるのが難しくなることがあります。手元に残しておきたいのは次のものです。
- 使っていたテキストの名前と、どこまで進んだか(ページや単元)
- 直近の模試や確認テストの結果
- 宿題として出ていた範囲と、まだ扱っていない単元
- 講師から指摘されていた課題(計算ミスが多い、文章題の式が立てられない、など)
テキストの該当ページを写真に撮っておくだけでも、次の先生が状況をつかみやすくなります。まだ教室と連絡が取れるなら、進度表や指導記録を受け取れないか聞いてみてください。
3. 受験までの残り期間を数える
受験を控えている場合は、入試日までの週数を数えます。たとえば10月下旬に閉塾し、2月中旬に入試があるなら、残りは約16週です。この週数から、次の塾を探すのに使える時間と、塾がない間に家庭で進める範囲を決めます。
受験学年でなくても、次の定期テストまでの日数を数えておくと、どの科目から手当てするかの順番を決めやすくなります。
4. 子どもの気持ちを聞いておく
塾がなくなったことの受け止め方は、子どもによって違います。仲のよい友達や信頼していた先生と離れることを気にする子もいれば、勉強の遅れを心配する子もいます。
次の塾を決める前に、前の塾の何がよかったか、何が合わなかったかを本人に聞いておくと、次を選ぶときの材料になります。受験生なら、3で数えた残りの週数と、次の塾が決まるまでの段取りを本人と共有しておくと、当面何をすればよいかが本人にも見えます。
転塾先の選び方
科目ごとに分けて考える
前の塾で全科目を受けていたとしても、次も1か所で全科目をそろえる必要はありません。科目ごとに「今の進度」「苦手の度合い」「受験での配点」を書き出すと、急いで受け先を決めたい科目と、しばらく自習や学校の授業で回せる科目が分かれます。急ぐ科目から先に決めると、勉強の空白を短くできます。
前の塾の進度を引き継げるかを聞く
体験授業や面談では、2で残した記録を見せて、どこから始めるかを具体的に聞きます。確かめたいのは次の点です。
- 前の塾のテキストを続けて使えるか、別の教材に切り替えるか
- 切り替える場合、前の塾で済んだ単元との重なりや抜けをどう扱うか
- 入塾後、最初の数回の授業で何をするか
集団授業の塾はクラスの進度が決まっているため、途中から入ると、もう終わった単元やまだ習っていない単元が出ることがあります。その差をどう埋めるかについて具体的な答えがあるかどうかが、判断の材料になります。
他の塾との併用も考える
閉塾した塾で受けていた科目を、いくつかの塾や家庭教師に分けて引き継ぐ方法もあります。たとえば英語と国語は近くの集団塾、数学だけは個別指導、という組み合わせです。月々の費用と通う時間が増えすぎないかは、申し込む前に計算しておきます。
オンラインの塾も候補に入れる
近くに条件の合う塾がない場合や、受験直前で移動の時間を減らしたい場合は、オンラインの個別指導も候補になります。通う時間がかからない一方で、家庭に机と通信環境が必要です。画面越しだと集中しにくい子もいるため、体験授業で実際のやり取りを確かめてから決めると、合う合わないを見極めやすくなります。
算数・数学は、空白の期間を短くしたい科目です
算数・数学は、前の単元を使って次の単元を学ぶ積み上げの科目です。
中学では、1年生で学ぶ文字式と方程式が、2年生の連立方程式と一次関数の土台になり、それが3年生の二次方程式や関数 y = ax² につながります。小学校でも、分数と小数の計算が、割合や比、速さの問題の前提になります。
そのため、ある単元でつまずいたまま次へ進むと、後の単元でも同じところで止まりやすくなります。塾がない間に学校の授業が先へ進むと、前の塾で途中だった単元を誰も扱わないまま残る、ということも起こりえます。
数学だけでも次の受け先を早めに決めておくか、それが難しければ、2で残した記録をもとに、前の塾のテキストの続きを家庭で少しずつ解いておくと、空白を短くできます。
出典・一次情報
- 東京商工リサーチ「2025年の『学習塾』倒産 過去最多の55件 少子化と物価高の中、小規模な学習塾が苦戦」(2026年1月17日):2025年の倒産55件、2024年の53件、2006年以降で最多の根拠
- 帝国データバンク「『学習塾』の倒産動向(2025年、速報)」(2026年1月4日、PR TIMES掲載のプレスリリース):2025年の倒産46件と集計基準の根拠
- 東京商工リサーチ「学習塾の約3割が赤字 約20社の大手塾が市場の66.2%をおさえる」(2025年1月24日):2024年の休廃業・解散195社の根拠
- 政府広報オンライン「消費者ホットライン(消費者庁)」:188の案内先の根拠
いずれも2026年10月20日に確認しました。
和からでは、通っていた塾が閉塾した小学生から高校生・浪人生までを対象に、算数・数学の個別指導で受け入れています。前の塾の教材と進度を初回の面談で伺い、その続きから進めます(オンラインで全国から受講できます)。詳しくは「塾が閉塾・倒産した生徒さんの受け入れ」のページをご覧ください。
<監修/和から株式会社 堀口智之>
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