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独立性とは【統計学をやさしく解説】

公開日

2022年11月26日

更新日

2024年8月4日

独立性

ある事象Aと別の事象B独立性を満たすとは2つの事象が互いに関係していないことをいいます。
簡単な例を考えると、一般的にサイコロの出目は独立性を満たすと考えられています。1回目に3の目が出たとしても2回目にサイコロを振ったときに3の目が出やすくなったり出にくくなったりすることはありません。
この記事では、独立性の定義と例を紹介します。

独立性の定義

独立性は確率によって、以下の2通りで定義されます。

1. P(A∧B)=P(A)・P(B)
P(A) P(B) はそれぞれ事象Aと事象Bが起こる確率です。
また、P(A∧B) は事象Aと事象Bが両方起きる確率を表しています。

例えば、事象Aがサイコロで偶数の目が出ることで事象B3の倍数が出ることであった場合は
P(A)=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}、P(B)=\frac{2}{6}=\frac{1}{3}なので
P(A)・P(B)=\frac{1}{2}・\frac{1}{3}=\frac{1}{6}となります。

事象Aと事象Bが同時に起こるのは6の目が出るときなので、P(A∧B)=\frac{1}{6}となります。
P(A∧B)=P(A)・P(B)が成立しているので独立と分かります。

2. P(B|A)=P(B), P(A|B)=P(A)
こちらの条件は条件1に確率の乗法定理を用いることで導けます。
P(B|A) は事象Aを条件づけた時の事象Bの確率、P(A|B) は事象Bを条件づけた時の事象Aの確率を表します。
Aを条件づけたときのBの確率とはAが起きたという仮定のもとBが起こる確率のことです。

先ほどの例を用いるとP(B|A) は偶数であるとき3の倍数である確率のことなので{2,4,6}のうち{6}が出る確率\frac{1}{3}になります。これはP(B) と一致するため独立と分かります。

この定義では、片方の事象が起きることで他方の事象が起きる確率が変化しないとき独立であると解釈できます。

独立でない試行の例

前のセクションでは、サイコロを用いて独立性の例を確認しました。
しかし、一見独立と思われるものの実際にはそうでない事象も存在します。

例えば、同じ入学試験を受験する2人の受験生を考えてみましょう。受験生Aが合格する事象を事象Aとし、受験生Bが合格する事象を事象Bとします。受験者数に対して合格者数は一定だとすると、それぞれの受験生が合格する確率は一見独立であるように思えます。
ところが、例えばが体調を崩し欠席した場合には受験者の母数が減少し合格の倍率が低下します。このとき、P(B|A)≠P(B)であるため独立性が成立しません。言い換えると、他の受験生のパフォーマンスによって合格率が影響を受けるため、この例では独立性を満たしません。

他にも、袋から異なる色の玉を取り出す例を考えてみましょう。玉を一度取り出し袋に戻す場合には一回目の玉の色と二回目の玉の色は独立です。反対に、一度取り出した玉を袋に戻さない場合には独立ではありません。これは一度目に引いた色の玉が一つ減ったことで、他の色の玉が引かれる確率が上がるためです。

独立性の活用

統計学では、異なる事象が独立かどうかは非常に重要な考え方になります。例えば、CPIなどの経済指標とその国の株価が独立でないと判断できれば経済指標を用いた株価の予測モデルなどを作ることができます。
反対に、異なる事象が独立である場合には計算が簡単になるというメリットがあります。独立でない事象を同時に考えるときにはそれぞれの事象の依存関係を考える必要がありますが、独立な事象では前述のように掛け算を用いて同時に起きる確率などを求めることができます。

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<文/須藤>

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