マスログ

2020/08/07

確率論の原点!ギャンブルで負けないための方法とは

和から講師の岡崎です。

先日の記事で和からの名刺には色々な数式が入っている!というお話がありました。

和からの日常 ミステリー編(?) -美しい数 3816547290-

ちなみに私の名刺はこんな感じです。
「組み合わせの式」「パスカルの三角形の和の公式」と呼ばれるものですね。

肩書きに数学コーディネーターというのも一風変わっていますが、肩書きや名前よりも目立つところに1つの数式をドンッと記載しています。

世界を変えた数式

和からは「大人のための数学教室」だけあって、数式には人一倍こだわりのある講師が多いです。そのため、好きな数式を1つ選ぶのにも非常に時間がかかり、その分スタッフから「名刺ができるのが遅くなるから早く決めて!!」と怒られることもしばしば笑。かくいう私もその一人です。

というのも、歴史の中で文字通り「世界を変えた」素晴らしい数式はとてもたくさんあり、その中から1つ選ぶのは至難です。万物の運動を支配する「ニュートンの運動方程式」、電気と磁気の世界を描く「マクスウェル方程式」、アインシュタインによって導かれた「エネルギーと質量の等価性の式」など、現代の科学技術を支える数式は数多くあります。

ニュートンの運動方程式
\(ma = F\)
木から落ちるリンゴも、地球のまわりを回る月も同じように「力(重力)」によって動いていることを突き止め、とてもシンプルな一つの式にまとめました。

マクスウェル方程式
\begin{align*} &\nabla \cdot \boldsymbol{B}(t, \boldsymbol{x}) =0\\\\ &\nabla \times \boldsymbol{E}(t, \boldsymbol{x})+\frac{\partial \boldsymbol{B}(t, \boldsymbol{x})}{\partial t} =0 \\\\ &\nabla \cdot \boldsymbol{D}(t, \boldsymbol{x}) =\rho(t, \boldsymbol{x})\\\\ &\nabla \times \boldsymbol{H}(t, \boldsymbol{x})-\frac{\partial \boldsymbol{D}(t, \boldsymbol{x})}{\partial t} =\boldsymbol{j}(t, \boldsymbol{x}) \end{align*}
理論物理学者マクスウェルによって生み出された電気・磁気の理論(電磁気学)は、車やスマートホンなど、現代のあらゆる電化製品に活用されています。

質量とエネルギーの等価性
\(E=mc^2\)
かの有名なアインシュタインによって「質量とエネルギーは水の液体と固体(氷)のように、同じものの別形態にすぎない」ことがわかりました。この式によって物質を莫大なエネルギー源として活用できるようになり、原子力発電などに応用されています。

私の好きな数式

そんな中、私が名刺に載せる数式に選んだものは「組み合わせの式」です。実はこの式、私が学生のころに確率や統計を学び、データ分析をはじめるきっかけになったものです。

組み合わせの式
$$ {}_n C_k = {}_{n-1} C_{k-1} + {}_{n-1} C_k $$

私が和からでデータ分析や統計学の講義を行うようになるずっと前、確率や統計を学ぶきっかけになったものは、あまり胸を張って言えるものでもないですが、ギャンブルでした(とは言っても当時学生で、買ってきたチョコレートやスナック菓子を賭ける程度のものでしたが…笑)。勝つとこの上なく嬉しい一方、負けると塞ぎ込みたくなるくらい悲しい気持ちになります。賭け事をしない人も、日常や仕事でも大なり小なり勝ち負けが決まることはあると思います。私は、最初はプレイヤーとして夢中になりましたが、いつしかギャンブルのルールそのものを作ることに興味を持ち始めました。「常に勝てるギャンブルはないのか?」これが、私が「確率」と「統計」に出会ったきっかけです。

勉強を始めて間もなく気づいたのが、実はなんと確率論の起源もギャンブルだったのです!ガリレオ・ガリレイブレイズ・パスカルなど、その時代を代表する科学者たちが研究したのもまた、「どのように振る舞えばギャンブルに勝てるか」ということでした。私は一気に確率や、それを計算するための数学にのめり込んでいきました。

ガリレオ・ガリレイ(1594-1642)。貴族から持ちかけれたギャンブルの問題をきっかけに、確率の研究を行った。

ブレイズ・パスカル(1623-1662)。確率論の基礎を築いた大数学者。

では、どのようにしてギャンブルに勝つための確率を計算するか。それは、「結果の組み合わせを考える」ことでした。

例えば、サイコロを1回投げて、偶数の目が出たら勝ち奇数の目が出たら負けとしましょう。この時結果は1から6のいずれかの目が出ることであり、「2, 4, 6」であれば勝ち「1, 3, 5」であれば負けとなります。そうすると、6つの結果のうち3通りが自分の勝ちですから、勝率は3/6 = 0.5 = 50(%)となります。

この場合、勝率は完全に50%、運否天賦のギャンブルになります。さて、もう一つのケースを考えてみましょう。

まず、奇数か偶数のいずれかを選んでください。サイコロを100回投げて、選んだ方が60回以上出たら1万円受け取れるとしましょう。ただし60回以上でなければ500円失うとします。あなたは、このギャンブルを持ちかけられた時に「伸るか反るか」

一見すると、100回中60回と、10回だけ勝ち越せば勝てる上に、一見負けても賞金の20分の1しか損がない、参加しやすいギャンブルに見えます。私の周りの人10人に持ちかければ、2、3人は乗ってくれるでしょう。ですがこれこそが落とし穴で、これを正しく確率を求めると、100回中60回以上奇数(偶数としても同じです)が出る確率は、1.8%で2%もないような確率なのです。つまり、このケースは参加すればするほど損をするようになっているのです。

確率は、いとも簡単に人の直感を裏切ります。確率の計算は、実際のところどのくらいで勝てるか、負けるかを明らかにしてくれます。そのための数式が、私が名刺に載せている、「組み合わせの式」なのです。「組み合わせの式」について詳しく知りたくなった方は、確率論を勉強してみるといいでしょう。

こんな私ですが、現在ギャンブルは一切行っておりません笑。なぜかというと、ギャンブルは最終的に損をすることを学んだからです。ギャンブルをきっかけに生まれた確率ですが、天気予報保険など、確率が応用できるものは非常に幅広く、確率をより社会に活かせるところはたくさんあるのです。これも歴史上、確率を非常に熱心に研究した数学者が、ほとんど同じことを言っています。ギャンブルで作った借金に生涯苦しみ続けながら、ギャンブルの必勝法を探し続けた数学者カルダノが遺した金言、ギャンブルで負けないためのたった一つの方法は、

ギャンブラーにとっては、まったくギャンブルをしないことが最大の利益となる

– ジローラモ・カルダノ

お後がよろしいようで…(笑)

<文/岡崎 凌> ⇒ 講師紹介ページへ

数学教室和(なごみ)」では社会人向けに社会に役立つ数学や美しい数学など、様々な数学について授業を行っております。学んでみたい方、どこから学べばよいかわからない方はまず無料相談にお越しください。オンラインでも承っております。お問い合わせはこちらから。お問い合わせページへ

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