正の数・負の数の加法・減法|数直線で解く足し算・引き算のルール【中学数学】
公開日
2020年8月9日
更新日
2026年7月26日
こんにちは。和からの西原です。講師として、算数や中学数学の学び直しを担当しています。
中学数学のつまずきポイントとして、必ず名前が挙がるのが正の数・負の数の加法(足し算)と減法(引き算)です。とくに「マイナスを引くとプラスになる」というルールは、そのまま覚えようとすると必ずどこかで混乱します。この記事では、数直線の上を「行進」と「ムーンウォーク」で歩くゲームに置き換えて、符号の決まり方を目で見て納得できるかたちで解説します。
この記事の主な内容
この記事のポイント
・かっこの中の符号は「向き」、真ん中の符号は「進む/下がる」
・(+3)+(+4)=+7、(+3)+(−4)=−1 を数直線で確認
・引き算はすべて「引く数の符号を反対にした足し算」に直せる
・同符号は絶対値を足す、異符号は絶対値を引いて大きいほうの符号にする
結論|「かっこの中の符号は向き」「真ん中の符号は進む向き」
先に結論からお伝えします。正の数・負の数の加減は、次の2つだけで説明がつきます。
・かっこの中の符号(+3 の「+」、−4 の「−」)= 顔をどちらに向けるか。+ なら右向き、− なら左向き。
・真ん中の符号(足し算・引き算の記号)= 前に進むか、後ろに下がるか。+ なら前進、− なら後退(ムーンウォーク)。
この2つを組み合わせるだけで、「−(−4)= +4」のような、丸暗記に頼りがちな部分まで自然に説明できます。
なぜ正の数・負の数はややこしく感じるのか
小学校までの算数では、数は0から右にしか伸びていませんでした。足し算は「増える」、引き算は「減る」——それだけで一貫していたのです。
ところが中学で負の数が登場すると、この対応が崩れます。「足したのに減る」(+3 に −4 を足すと −1)、「引いたのに増える」(+3 から −4 を引くと +7)という場面が出てくるからです。足し算=増える、引き算=減る、という思い込みを一度手放すこと。ここが最初の関門です。
そのために効くのが、数を「量」ではなく「0を基準にした位置」として捉え直すことです。計算に登場する数が、基準である0より右にあるのか左にあるのか。まずはそこを意識してみてください。
ゲームのルール|近衛兵の行進とムーンウォーク
数直線の上に、イギリス王室の近衛兵に立ってもらいます。ルールは3つだけです。
ルール1.進み方
加法(足し算)のときは近衛兵のまま前に進みます。減法(引き算)のときはダンサーにキャラ変更して、後ろに下がります(ムーンウォーク)。
ルール2.数はかっこで囲む
その数が正なのか負なのかをはっきりさせるため、(+3) や (−4) のようにかっこで囲んで書きます。
ルール3.かっこの中の符号は「顔の向き」
+(プラス)なら右向き、−(マイナス)なら左向きに顔を変えます。左から順番に処理していくのがコツです。
たとえば (+5) + (−2) なら、まず (+5) で5の位置に右向きで立ち、次の (−2) で左向きに変え、真ん中が + なので前に2歩進む——つまり左へ2つ動いて、答えは +3 です。
例題で確認|4つのパターンを数直線で解く
Q1.(+3) + (+4)|正の数 + 正の数
+3 の位置に右向きで立ち、(+4) でも右向きのまま。足し算なので4歩前進します。右に4つ動いて、答えは +7。小学校の足し算と同じ感覚ですね。

Q2.(+3) + (−4)|正の数 + 負の数
+3 の位置に右向きで立ったあと、(−4) で左向きに変更。真ん中は + なので、そのまま4歩前進します。左を向いているので、進む先は左。3から4つ左へ動いて、答えは −1 です。「足したのに減った」のは、向きが変わったからだと目で見てわかります。

Q3.(+3) − (+4)|正の数 − 正の数
+3 の位置に右向きで立ちます。(+4) も右向きのまま。ただし真ん中が − なので、今度は後ろに4歩下がります。右を向いて後ろに下がるので、動く先は左。答えは −1 です。

Q4.(−3) − (+4)|負の数 − 正の数
スタート地点が −3 になります。(+4) で右向き、真ん中が − なので後ろに4歩下がる。右を向いて下がるので左へ4つ動き、答えは −7。スタート位置が変わっても、ルールは何も変わりません。

「−(−4)」がプラスになる理由
いちばんの難所である (+3) − (−4) も、同じルールで説明できます。
+3 の位置に立ち、(−4) で左向きに顔を変える。真ん中が − なので後ろに4歩下がる。左を向いて後ろに下がれば、動く先は右です。したがって答えは +7。
「マイナスとマイナスでプラス」という呪文を覚える必要はありません。向きを反対にする操作を2回行えば、もとの向きに戻る——それだけのことです。日本語でも「行かないわけではない」が「行く」を意味するのと同じ構造だと考えると、腑に落ちやすいかもしれません。
計算をラクにする3つのコツ
コツ1.すべての引き算を足し算に直す
引く数の符号を反対にすれば、引き算は足し算に書き換えられます。(+3) − (+4) は (+3) + (−4)、(+3) − (−4) は (+3) + (+4)。こうしてしまえば、覚えるルールは足し算のぶんだけで済みます。
コツ2.符号と数字を切り離して考える
先に答えの符号だけを決め、そのあとで数字の計算をします。同じ符号どうしなら絶対値を足して符号はそのまま、違う符号どうしなら絶対値の大きいほうから小さいほうを引き、符号は大きいほうに合わせる。この2行がすべてです。
コツ3.迷ったら数直線を描く
手が止まったら、その場で数直線を引いて印を付けてみてください。頭の中だけで符号を追うより、はるかに確実です。慣れてくれば、数直線は自然と頭の中に浮かぶようになります。
ここまでの内容を、一覧表にまとめておきます。
| 式 | 足し算に直すと | 符号の決め方 | 答え |
|---|---|---|---|
| (+3) + (+4) | そのまま | 同符号 → 3+4、符号は + | +7 |
| (+3) + (−4) | そのまま | 異符号 → 4−3、符号は大きい方の − | −1 |
| (+3) − (+4) | (+3) + (−4) | 異符号 → 4−3、符号は − | −1 |
| (−3) − (+4) | (−3) + (−4) | 同符号 → 3+4、符号は − | −7 |
| (+3) − (−4) | (+3) + (+4) | 同符号 → 3+4、符号は + | +7 |
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ「−(−3)」がプラスになるのですか?
「−」には「反対向きにする」という働きがあるからです。数直線のゲームで言えば、引き算は「後ろ向きに下がる(ムーンウォーク)」動きで、かっこの中の「−」は「顔を左に向ける」動きにあたります。左を向いたまま後ろに下がれば、進む先は右、つまりプラス方向です。反対の反対はもとに戻る、と考えると納得しやすくなります。
Q2. 正の数・負の数の計算で、符号を間違えないコツはありますか?
先に符号だけ決めてしまうのがコツです。同じ符号どうしの足し算なら、絶対値を足して符号はそのまま。違う符号どうしなら、絶対値の大きいほうから小さいほうを引き、符号は絶対値が大きいほうに合わせます。数字の計算と符号の判断を切り離すと、ミスが目に見えて減ります。
Q3. 引き算はどうやって足し算に直すのですか?
引く数の符号を反対にして、足し算に書き換えます。たとえば (+3) − (+4) は (+3) + (−4) と同じで、答えは −1 です。(−3) − (+4) なら (−3) + (−4) となり、答えは −7 になります。すべての引き算を足し算に直してしまえば、覚えるルールは足し算の分だけで済みます。
Q4. 大人になってから中学数学をやり直すことはできますか?
もちろん可能です。むしろ大人のほうが「なぜそうなるのか」を理屈で理解できるぶん、有利な面もあります。和からの「大人のための数学教室」では、正の数・負の数のような基礎から一つずつ確認しながら進められる個別指導をご用意しています。学び直しの入り口として、無料の学習相談もご利用いただけます。
まとめ|符号は「向き」、計算は「歩き方」
正の数・負の数の加法・減法は、数直線というひとつの舞台の上で、顔の向き(かっこの中の符号)と歩き方(真ん中の符号)を組み合わせるゲームとして捉えると、丸暗記に頼らず理解できます。
0を基準として、計算に登場する数が右にいるのか左にいるのか。この意識を持つだけで、負の数が加わって増えた「計算の種類」が、実は同じルールの組み合わせにすぎないことが見えてきます。次のステップとして、正の数・負の数の乗法(掛け算)・除法(割り算)にも同じ発想が使えます。ぜひ続けて確認してみてください。
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