「なぜ数学を学ぶのか」で話題の大人のための数学教室「和」に潜入してきた(後編)
公開日
2017年10月4日
更新日
2017年10月4日
最近話題の数学教室「和(なごみ)」。数学教室の内部って実際どうなってるの???というわけで、前回の記事では、数式だらけの時計を見て興奮したり、数学書だらけの本棚を見て興奮したり、思い出したように入会までの流れや受講者の構成などを教えてもらったりしました。
そして今回は、じゃあ数学教室のスタッフってどんな人達なの? という部分に焦点を当てて何人かの方にお話を伺ってきました。
松中:今日いる人の中でも、なかなかおもしろい経歴を持ってる人とかいるんで、何人か話を聞いていって下さいよ。
鯵坂:やったー。
事務スタッフ・菊池由夏さん
▲菊池由夏さん
鯵坂:ちょっとお話お伺いしてもよろしいですか?
菊池:偶然近くにいただけなんですけど大丈夫なんでしょうか。
鯵坂:和からでもこんな企画やるのが初めてなんで、こっちも手探りなんですが多分大丈夫です。よろしくお願いします。
菊池:よろしくお願いします。
鯵坂:菊池さんは今はどういうお仕事をされてらっしゃるんですか?
菊池:基本的には事務ですね。私は今はもう完全に事務方ですけど、ちょっと前までは一番最初に問い合わせをしてきたお客さんから、どういうことをやりたいかお話を伺って、それを担当できる講師の方をご紹介する、ってことをやってました。
鯵坂:なるほど。それこそ「コーディネーター」ってことですよね。
菊池:ですね。
鯵坂:菊池さんはどういういきさつでこの会社に?
菊池:普通に就職活動してまして、たまたま求人を見つけて。私は完全に文系の人間なので、学校卒業したら数学なんてまったく関わりないものだと思ってたんですが、「大人のための数学教室」なんてものがあるんだ、面白いなーってなって。別に数学好きってわけじゃなかったんですけど(笑)
鯵坂:見つけてしまったと。
菊池:そんなにニーズがあるなんて知らなかったので、面白いなーと思って、「ちょっとのぞいてみよ~」みたいな感じで。
鯵坂:軽い気持ちで。
菊池:軽い気持ちで。
鯵坂:実際に数学教室で働いてみていかがですか?
菊池:数学ってものについて私まったく知らなかったんです、私が知ってる数学って高校までの計算を覚えて、とかそういうやつで。
鯵坂:公式を当てはめて、みたいな。
菊池:はい。そしたら全然違って「数学ってこんなに広くて深いんだ」と思いましたね。
鯵坂:ありがたいコメントいただけました。
菊池:いまだによくわかってないですしね。
鯵坂:実際に授業を聞いててそう思ったということですか?
菊池:それもありますし、お客さんがあれやりたいこれやりたいっておっしゃってくる中で、初めて見る言葉も多いです。
鯵坂:そうなんですね。例えばどういう言葉ですか?
菊池:ほんとそれこそ「数論」ってなんですか、そんな言葉があるんですかってレベルなんです。
鯵坂:そうでしたか。意外でしたが言われてみれば数学教室運営してる人がみんな数学得意である必要はないですよね。
松中:講師のサポートみたいな仕事だと、講師に対して「その教え方だと私わからないです」って言えたりすることも重要なので、数学あんまり得意じゃないスタッフが存在することは実はお客さまの満足率、数学講師全体の指導能力向上にも役立ってるんです。
菊池:だといいんですけどね。
鯵坂:いろいろ聞かせていただいてありがとうございました。
菊池:こんな感じで大丈夫でしょうか。
鯵坂:たぶん。
事業統括本部長・綱島佑介さん
▲綱島佑介さん
鯵坂:はじめまして。
綱島:いや、実ははじめましてではなくてですね。
鯵坂:やっべ。
綱島:いやでもお会いしたの一年前とかそれくらいですけどね。
鯵坂:よかった(?)。では早速いろいろ聞かせていただこうかと思うんですが、綱島さんはこちらではどういうお仕事をされてらっしゃるんですか?
綱島:事業統括なので、人事・法務・財務・総務・税務、全部一人でやってます。
鯵坂:すごい。裏方全般みたいな感じなんですね。
綱島:あと講座の設計とか、社長の伝えたプロジェクトの内容を噛み砕いてみんなに落とす役割とか。資金調達なんかもやってます。
鯵坂:綱島さんいなくなったら一気に崩壊しそう。綱島さんが和から株式会社に来た理由ってなんなんですか?
綱島:いやちょっとそれは言えないっスよね。
鯵坂:え~っ! なぜ!
綱島:面接の時に「遊んで暮らせる仕組みが作りたいっス」「ゲーム大好きなんで、ゲームに使えそうな数学学びにきました」とか超ふざけたこと言ってたら社長が大爆笑しまして。
鯵坂:たしかにあの社長そういうのに弱そう。
綱島:そしたら「あっこの人意外といろいろできるじゃん」みたいに思ってもらって。
松中:いやほんとすごいこの人なんでもできるんですよ。
鯵坂:いや確かになんでもできるオーラが出てますよ。
綱島:いやいやとんでもない。経験だけはあるんですよね。金融・製造・建設・医療、で今。なので。その経験で「まあこんな感じかな」みたいなノリで適当にやらしてもらってます。
鯵坂:それでなんとかなってるってのが有能さの証左ですよ。もともと数学はお好きだったんですか?
綱島:いや全然。バリバリ文系です。文学少年でした。
鯵坂:ええええ。いやだったら逆になんで和からの門を叩いたんですか。
綱島:ゲームの解析とかするのに、なんとなくの計算でやってたんですけど、実は二次関数とか推論がちゃんとわかってるともっと理解できるよみたいなことを聞いて、で和からの推論の授業を聞いてたんですけど30分くらいで頭がパンクしまして。
鯵坂:まじすか。意外だ。
綱島:だから数学はからっきしです。社長が好きだからこの会社にいるだけなので。だから社長がいなくなったらすぐやめちゃいます。
鯵坂:おっとォ。これはいいことを聞いたぞ。それ後で伝えときますね。
綱島:いやよく言ってるから多分知ってますよ。
鯵坂:ありがとうございます。ごちそうさまです。
「文学少年だった」っていうのが気になったんですが。どういう本を読まれてたんですか?
綱島:ほんとなんでも読みましたよ。ファンタジーとか。純文学とか。漢詩とかも。今じゃほとんど読めないですけどね。
松中:錬金術とかもですよね。
綱島:はい。錬金術は勉強しましたね。
鯵坂:は!? どういうことですか!? 勉強ってガチのやつですか?
綱島:結構ガチでやってましたね。白魔術とか黒魔術とか。
鯵坂:いやちょっとまってあまりに盛りだくさんすぎて綱島さんだけでこの記事お腹いっぱいなんですけど。その辺の詳しい話はまたいつか別の機会に聞かせてください。
松中:次行きましょう。
鯵坂:ありがとうございました。
綱島:ありがとうございました。
専属講師・酒井義彦さん
▲酒井先生
鯵坂:よろしくお願いします。今酒井さんはどういうことを教えてらっしゃるんですか?
酒井:今はSPIとか数的処理とかですね。
鯵坂:SPIというと……。
酒井:まあいわゆる「推論」とか。
鯵坂:はいはい! あの「誰が先にゴールしたか」みたいなやつですね。
酒井:そうそうそうそう!
鯵坂:あんまり「数学」って言う感じの話ではないですよね。
酒井:そうですね。あんまり数学って枠組みではやらないですね。
鯵坂:どちらかというと「論理学」というか。
酒井:ですね。「論理と集合」っていうと数学ですけど、あれを文章で置き換えたようなものです。
鯵坂:もともとそちらの方が専門分野だったんですか?
酒井:いえ、もともとは物理が専門でして、SPIとかに関しては和からに入ってから頑張って勉強したという感じですね。これは和からのホームページにも書いてあるんで言っても大丈夫だと思うんですけど、もともと数学は一番苦手で嫌いだったんですよね(小声)。
鯵坂:めっちゃ遠い目した。
酒井:SPIとか偉そうに教えてますけど自分でも頭痛くなってきちゃうし。
鯵坂:(マジかよ……)でも逆にそういう先生だとなんか安心感ありますね。教えられる側と同じ立場に立っててくれそうで。
酒井:でも数学教えてるってのは本当に楽しいんで、天職だと思ってますね。
鯵坂:天職!
酒井:こんないい仕事なかなかないんじゃないですかね。僕多分、ここだからやっていけてるんだと思いますね。
鯵坂:ここだからというのは?
酒井:だって普通のなんとかゼミナールみたいなとことか、僕そんな頭良くないからムリですよ。
鯵坂:いやいやそんな。
松中:謙遜ですよ。和からの講師採用率は10%以下なので、頭良くないということはありえないです。
鯵坂:10%以下! それはすごい。
和に来るのは大人の方たちですから、受けようとしてる試験の内容的には結構レベル高い人もいらっしゃると思うんですがそのへんはどうなんですか?
酒井:高い人は高いです。でもレベル高い人はホラ。他の講師の人にまかせれば……ね。
鯵坂:めっちゃ小声。
松中:ちょっとほんとにめちゃくちゃ謙遜されるんであれなんですけど、酒井先生本当はめちゃくちゃ頭いいんですよ。共感能力が高いので、ご自身が数学苦手だったことがあるからこそ「わからない人の気持ちがわかる」ことができるんです。だからお客さんが酒井先生を慕うし、つい勉強してしまうんですよね。
酒井:そういうことにしといてください。
鯵坂:酒井さんが頭いいだろうなっていうのは喋っててもすごく伝わってくるから大丈夫ですよ。酒井さん、いろいろ聞かせていただいてありがとうございました。
酒井:ありがとうございました。
▲スタッフルームの様子
みんな「数学は苦手」……?
松中:今日はこんなところですかね。
鯵坂:なかなかいいお話を聞かせてもらいました。今日は3人の方にしか話を聞けてないですが、たしかに色んな人がいるんだなって感じですね。
なんかこうやって聞いてるとみんな「学生時代は数学得意じゃなかった」って方ばっかりなんですが……。
松中:確かに……。まあでもそこは私がさっきフォローしたとおりなので……。
鯵坂:今回は講師の方にあんまり話聞けなかったからってのもありますかね。
松中:それもあると思います。その話なんですが、もっちょさん、もしよかったらこのブログで講師の方一人ひとりに話を聞いていくみたいな企画やってくれませんか?
鯵坂:面白そうですね! いいですよ! やりましょう!
というわけで、和からで数学を教えている講師の方一人ひとりに、数学との出会いや和からに入ったいきさつなどをインタビューしていく企画がスタートします! お楽しみに!
▲門田先生(写真右)とのお昼ご飯の様子。門田先生は面白話が多すぎたので今度別の機会で単独インタビューします。