アクチュアリー試験「数学」の出題範囲とは|合格への学習順序
公開日
2026年10月4日
更新日
2026年10月4日
この記事のポイント
- 2026年度の第1次試験は「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目です
- 2026年度の「数学」の公式範囲は「確率」「統計」「モデリング」です
- 受験順は公式に定められていません。受験年度の制度と科目別の理解度から決めます
アクチュアリー試験の第1次試験には、確率・統計・モデリングを扱う「数学」科目があります。受験を考える際は、出題範囲と指定教科書を確認し、復習が必要な単元を調べるところから始めましょう。
この記事では、アクチュアリー試験の基礎科目全体の構成を整理したうえで、「数学」科目の出題範囲を確率・統計・モデリングの3分野に分けて解説します。あわせて、この科目がなぜ難しいといわれるのか、そして独学で取り組む場合にどの分野からどの順序で学習を進めるべきかについても紹介します。2027年度からの制度改正もあるため、受験年度を区別して学習計画を立てるための材料にしてください。
この記事の主な内容
アクチュアリー試験とは何か
公益社団法人日本アクチュアリー会の資格試験は、第1次試験(基礎科目)と第2次試験(専門科目)で構成されます。2026年度はCBT方式で実施され、第1次試験は5科目から受験科目を選びます。
2027年度から第1次試験・研修制度の組み替えが予定されています。この記事の5科目構成は2026年度の制度です。2027年度以降に受験する場合は、既合格科目の扱いを含め、日本アクチュアリー会の制度改正案内で確認してください。
2026年度・第1次試験5科目の全体像
2026年度の科目は「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」です。「KKT」は受験者の間で使われる略称ですが、記事内では正式名称も併記します。
受験科目は選択でき、受験順は公式には指定されていません。数理科目には関連がありますが、「数学から始めれば全員に最適」とは限りません。公式教科書・出題範囲と過去問を確認し、前提知識、仕事との関連、学習時間から順番を決めます。
「数学」科目の出題範囲(1)確率

「数学」科目のうち「確率」の分野では、次のような内容が出題範囲として挙げられています。
- 事象と確率の基本的な考え方(和事象・積事象・条件付き確率など)
- 確率変数、確率分布、確率密度関数、分布関数
- 確率変数の平均値や分散の計算
- 積率母関数、確率母関数、特性関数
- 大数の法則と中心極限定理
これらは大学の教養課程で学ぶ確率論の基礎に相当する内容です。確率変数とは「サイコロの出目」のように、結果が確率的に決まる量のことです。確率密度関数は、連続的な値をとる確率変数について、ある区間で曲線の下の面積を求めると、その区間に値が入る確率になる関数です。まずはこうした基本用語の意味を一つずつ理解していくことが大切です。
「数学」科目の出題範囲(2)統計
「統計」の分野では、確率で学んだ考え方をもとに、実際のデータからどのように結論を導くかという内容が問われます。
- データの整理方法(度数分布やグラフによる要約など)
- 統計的推定と区間推定
- 統計的検定
- 標本分布論
- 最小2乗法、相関係数・回帰係数の推定と検定
統計的推定とは、手元にある一部のデータ(標本)から、全体(母集団)の特徴を推測する方法のことです。例えば、適切に抽出した標本の調査結果から、調査対象の母集団の傾向を推測します。確率の分野で学んだ確率分布の知識が、この統計の分野を理解するための前提になっているため、確率と統計は続けて学習するのが効果的です。
「数学」科目の出題範囲(3)モデリング
「モデリング」は、確率・統計で学んだ基礎知識を応用し、より実践的な分析手法を扱う分野です。
- 回帰分析
- 時系列解析
- 確率過程
- シミュレーション
回帰分析とは、ある結果(例えば保険金の支払額)が、どのような要因(年齢や契約年数など)とどの程度関係しているかを数式で表す手法です。時系列解析は、時間の経過とともに変化するデータ(株価や気温の推移など)の特徴を分析する手法を指します。公式範囲では、回帰分析・時系列解析・確率過程・シミュレーションが挙げられています。指定教科書の範囲外部分もあるため、教科書名だけでなく年度別の出題範囲を確認します。
「数学」で学習量が増えやすい理由
公式範囲は、確率、統計、モデリングの3分野にまたがります。確率分布から推定・検定、回帰、時系列、確率過程、シミュレーションまで、前後のつながりを確認しながら進める必要があります。
2026年度要領では、出題範囲は教科書に限ると明記されています。まず指定教科書の対象章と対象外を確認し、過去問で正答率と所要時間を測ると、復習範囲を絞れます。
「数学」科目内の学習順序を決める
確率分布の知識は統計やモデリングの理解に関わるため、確率から始める方法があります。ただし、全員に同じ順番が最適とは限りません。まず公式過去問を分野別に解き、前提知識が不足している箇所を確認します。
確率・統計・モデリングを完全に分けず、教科書で学んだ内容を早めに過去問で使ってみます。「分からない」「計算が遅い」「条件を読み違えた」を分けて記録すると、戻る場所が明確になります。
5科目の受験順は固定しない

数学を先に学ぶ方法はありますが、受験順は公式に定められていません。生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論にはそれぞれ指定教科書と出題範囲があります。
2027年度から科目構成が変わるため、複数年計画では既合格科目の移行ルールも確認が必要です。「一般的な順番」ではなく、自分の受験年度、既合格科目、学習時間を1枚にまとめて判断しましょう。
独学でつまずきやすいポイントと対策
指定教科書で式の導出が分からないときは、そこで使われている定義や前提条件を確認します。例えばモデリングで確率分布の知識が必要になったら、該当する確率の単元を復習します。仕事と両立する場合は、学習に使える時間に合わせて進める章を決めましょう。
復習した後は、元の問題に戻って式の導出を追えるか確かめます。疑問が残る箇所は、分かった部分と分からない部分を分けて記録しておきます。
自分で解決できない疑問は、教科書の該当箇所や途中式を示して質問します。個別指導を利用する場合も、どの定義や計算で分からなくなったかを伝えると、説明を受けたい内容が明確になります。
和から式「出題範囲→問題トラッカー」
科目ごとに、次の7項目を記録します。
- 受験年度
- 公式の出題範囲
- 指定教科書の章
- 対応する過去問
- 正誤と所要時間
- 誤りの理由(概念・条件・式・計算・時間)
- 次の復習日
2027年度以降を受験する場合は、制度改正後の科目名と既合格科目の扱いも追記します。
| 科目名 | 主な内容 | 関連・特徴 |
|---|---|---|
| 数学 | 確率・統計・モデリング | 2026年度の公式範囲を指定教科書で確認 |
| 生保数理 | 利息、生命表、保険料、責任準備金など | 指定教科書と対象章を確認 |
| 損保数理 | 料率算定、リスクモデル、支払備金など | 指定教科書と対象章を確認 |
| 年金数理 | 年金数理・年金財政の基本 | 指定教科書と対象章を確認 |
| 会計・経済・投資理論 | 会計、ミクロ・マクロ経済、投資理論 | 分野別の最低ラインにも注意 |
試験制度・出題範囲の確認先
よくある質問
Q. 2026年度の「数学」の出題範囲は何ですか?
A. 公式要領では、確率・統計・モデリングです。指定教科書の対象章と除外範囲も年度別要領で確認してください。
Q. 2026年度の試験はマークシート方式ですか?
A. 2026年度はCBT方式です。試験会場、持ち込み可能品、電卓などは当年度の受験案内で確認してください。
Q. 2027年度以降も第1次試験は同じ5科目ですか?
A. 2027年度から第1次試験・研修制度の組み替えが予定されています。既合格科目の扱いも含め、制度改正の公式案内を確認してください。
まとめ
2026年度の第1次試験は5科目で、「数学」の公式範囲は確率・統計・モデリングです。受験順は固定されていません。「出題範囲→問題トラッカー」で指定教科書、過去問、正答率、所要時間を対応づけて計画しましょう。2027年度以降に受験する場合は、改正後の科目構成と既合格科目の扱いを公式案内で確認してください。
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執筆:和から株式会社 数学講師
「大人のための数学教室 和から」を運営し、累計3万人以上に指導。法人200社以上の研修実績。
<監修/和から株式会社 堀口智之>
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